ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 113ページ目 タブレットを操るソムリエ 負けを認める  

2014-01-04 22:25:45 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【113ページ】


「滝川社長、和音さん、2本目のテイスティング対決は私の負けです。」

「なんだって!」


 滝川社長は、秋月の突然の敗北宣言に驚いた。


「2本目は、和さんがヴィンテージを答えることができないと言って、

棄権したのだ! 秋月さんがヴィンテージを誤っても負けになって

いない。」


「滝川社長・・・・」


 秋月は一言発して、頭を振った。


「和音さんは、2本目のワインがムルソーでないから、ヴィンテージを

答えることができないと言ったのです。」


「我々のト」


 滝川社長がトリックと言いかけて、口を噤(つぐ)んだ。


「滝川社長、すべてを打ち明けてもいいですよ!」

「我々のトリックを見破られたというのか?」

「ええ、和音さんのコメントの中でブドウ畑の畝から畝へとねずみが飛べない

と話していましたが、それはムルソーのような畝の間隔が狭い畑のワインでは

ないと示唆していることに気付いたのです。」

「そうだったか・・・・」


 滝川社長は、秋月の言葉に納得したように頷き、2本目のワインを覆っていた

紙を取り払った。



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