ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 109ページ目 タブレットを操るソムリエ ペリエール?

2013-12-30 22:59:02 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【109ページ】

「ムルソー・シャルムに負けず劣らずすばらしいワインだ!」


 秋月が2本目のムルソーの感想を述べた。


「ワイン造りには、苦労が絶えないのですが、このワインを飲むと

それを惜しまず、手をかけているのが判りますね。」


 滝川社長と秋月は、和音がヴィンテージを示唆する言葉を発して

いるか、彼の言葉を頭の中で反芻していた。

苦労? いやこのワインは96年のヴィンテージではない。


「秋月さん、ワイン名は判りますか?」

「ええ、このワインはムルソー・ペリエールでシャルムと並ぶプルミエクリュだと

思いまます。 しかしドメーヌまでは・・・」

「ではヴィンテージは?」

「ヴィンテージは1985年だと思います。」

「和さん、ヴィンテージを答えてください」

「滝川社長、ムルソーのヴィンテージだけでいいのですね?」

「ええ、勿論! 秋月さんはプルミエクリュ名まで答えましたが、

勝敗に関係ありません。」


 和音は、もう一度グラスを手に取り、一口味見をした。


「ムルソーには、先ほど話したように数多くの種類があり、私が

飲んだことのないワインも多いですから・・・・」


 滝川社長は、和音の迷っている表情を見て、「何を迷っている、

私が流した情報でムルソー・ペリエールの1985年であることを

知っているだろう」と心の中で叫んだ。





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