ワインバーでのひととき ファースト（改訂） ８５ページ目 マジシャンソムリエとの対決

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「和さんの正解です！　私の負けです。」


高木社長は、口惜しそうな表情を浮かべて言った。


「次は、狩野さんの番です。　頑張ってください！」


　狩野は、紙に覆われたワインをテーブルに置いた。

次に、赤い切子のワイングラスを置いた。

そして、赤いグラスに、赤い光のライトを当てる。


「私の用意したこのワインを赤ワインか白ワインかを当ててもらいます。」


　狩野は、紙に覆われたワインの栓を抜き、赤いグラスに注いだ。

赤いライトが当てられているので、見た目では、赤ワインか白ワインかは判らない。


「和音さん、テイスティングをどうぞ！」


　和音は、赤いグラスを手に持った。　

赤いライトは、赤いグラスを追いかけて、光を当て続ける。

和音は、赤いグラスを口元に持っていき、香りを嗅いで、一口飲んだ。


「これは、赤ワイン用ブドウ品種のカベルネ・ソーヴィニヨンだ！」


　和音は、さらに一口含んだ。


「常識的には赤ワインということになる。しかしこのワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン

のタンニンをあまり感じることができない。」


　和音は、もう一度ワインを飲んだ。


「このワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンの皮を取り除いて造った白ワインとも受け取れる。」

　
　和音は、迷っているように見えた。