ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 155ページ目 盲目のソムリエ  いいワインを入手  

2015-04-17 00:20:53 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【155ページ】


 大沢理事長は、シャトー・パルメの入ったグラスを手に持って、一口飲み、

のどを潤した。


「そんな悩んでいたある日、父親からいいワインを手に入れたから飲もうと

誘われました。

父親から有名な介護施設で一年間働いて、約束の2年後の介護福祉事業経営の

ヒントをつかんだかな?訊ねられました。

私は、経営の利益と介護士の人数は反比例することを伝えました。

すると父親は、それに対して何も言わず、ワインをグラスに注いでくれました。

そして、ワインの感想を訊かれました。

そのワインはメドック格付け1級のシャトー・マルゴーだったのです。」


Chateau Margaux シャトー・マルゴー 1993
クリエーター情報なし
シャトー・マルゴー





「おいしかったですか」と和音が訊いた。


「ええ、まだワインの味はよく判らなかった私ですが、普段仲間と飲んでいたカジュアルなワイン

と比べて、香りの複雑さ、味のコク、深み、繊細さがまったく違っていました。」


 大沢理事長は、シャトー・パルメのグラスをじっと見つめ、何かを思い出しているような

表情を見せた。


「次に注いでくれたワインは、このシャトー・パルメだったのです。

父親は、これはメドック3級の格付けのワインだけど、シャトー・マルゴーと

比べてどうかな?訊いたのです。

私は、シャトー・パルメの方がよりおいしく感じると答えました。

それもそのはず、いいワインを手に入れたというのはシャトー・パルメであって、

シャトー・マルゴーは当り年のヴィンテージではなかったのです。」


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