ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 92ページ目 知れば知るほど迷路に

2012-04-18 23:06:51 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【92ページ】


「田辺さんのワインワールドのイメージ判る気がします。ワインは世界各国で生産されて

いるが、同じブドウ品種でも畑一つ違うだけでまったく別のワインが出来上がると言われて

いるよね?」

「ええ。」


良子がうなずいた。


「それがワインの広がりを感じさせの!」

「また他の食べ物や飲み物は、時が経てば品質の劣化が始まるものが多いが、ワインは

熟成によってよりおいしく、より複雑になっていく!」

「はい、そこがワインの奥深さを感じさせるところです。」


そこまで話すと、良子はルピアックの貴腐ワインを飲み干した。

マスターは、空いたグラスにそれを注ぐ。


「さらに、毎年万を越える新しいワインが生産され、新しい土台が形成される。

ワインの山は高くなるばかりだね?」


良子はうなずき、ため息をついた。


「私ソムリエとしてやっていけるのかしら?」

「田辺さんの悩みは、勉強熱心で、探究心の旺盛なソムリエほど陥る悩みだと思いますよ。」

「勇気づけて頂きありがとうございます。」


良子は、真剣な表情で和音を見つめた。


「私、これからどうしていけばいいのかしら?」


「2,3アドバイスをさせてもらってもいいですか?」


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