ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 87ページ目 マジシャンソムリエとの対決  

2012-04-13 20:28:24 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【87ページ】


「和音さんが紙に書いた答えは、カタカナでシロです! 違いますか?」

「そうですが、どうして判りました?」

「マジシャンの道具は、私の体の一部のようなものです。和音さんが答えの紙をマジックに

使った箱に入れた瞬間にシロの文字が浮かびました!」


狩野は、和音に勝ったのを確信した。そしてワインを覆っている紙を取り払った。


「赤ワイン?」


高木社長が不思議そうな顔をして言った。


「いえ、ロゼワインです。」

「赤ワインにしては、色が薄いと思った!白でもなく、赤でもなく、ロゼワインだ!

この勝負は、和さんの負けですか?」


高木が、和音に念押しをした。


「そのようですね。」と和音が答える。

「今回のテイスティング対決は、一勝一敗ということでよろしいですか?」

「ええ、今日のワイン会とテイスティング対決は、狩野さんの一人舞台でしたね。」


 高木社長が和音に挑んだテイスティング対決は引き分けた。

高木は、和音を玄関まで見送って部屋に戻ってきた。

その時、狩野は和音の答えの紙を見ながら、涙ぐんでいるようであった。


「和さんとの勝負に勝って、感激の涙ですか?」

「いいえ、マジシャンがマジックで負けた悔しさの涙です。」


 狩野がそう言って、和音の答えの紙を高木に手渡した。


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