ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 127ページ目 ロワール川巡り① 

2012-06-09 06:24:50 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【127ページ】


 マスターは、ワインのボトルを取り出し、良子に見せた。

良子は、ラベルを見て、ワイン名を読んだ。


「コトー・デュ・レイヨン1980年、オールドヴィンテージのワインね?」

「このコトー・デュ・レイヨンは、1930年までは評価が高く、市場に流通していたのです。

ところが、ソーテルヌ、ドイツ、ハンガリーの貴腐ワインに押され、市場から忘れされてしまったのです。」


とマスターが説明した。


「そしてコトー・デュ・レイヨンは基本的には遅摘みの甘口ワインですが、ヴィンテージによって貴腐ワインで

ない場合もあるそうです。」

「ポトリティス・シネレ菌がブドウに付かなかった年ですね?」

「そうです。」

「マスター、早くコトー・デュ・レイヨンを飲ませてよ! 良子さんも飲んでから話を聞いたら?」

「マスター、和さんに早く飲ませてあげて!」


良子は笑いながら言った。

マスターは、コトー・デュ・レイヨンを抜栓し、グラスに注いだ。


「どうぞ」とマスターは二人に奨めた。

「おお、プリテュールノブル!」

「ほんとだわ、とても高貴な貴腐ワイン!」


和音の感嘆の言葉に良子がうなずいた。

フランス語のプリテュールノブルは、単に貴腐ワインと訳されているが、

実は高貴な貴腐ワインという意味なのだ。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿