ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 13ページ目 美しい切子のワイングラス

2012-09-25 23:13:37 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【13ページ】


 鯵元社長の専属ソムリエが2本のワインをテーブルに並べた。


「和さん、私の話はもうしばらく続きますので、先に次のワインを飲みませんか?」

「ええ」


 鯵元社長は2本のワインを手に持ち、和音にラベルを見せた。


「このワインは、どちらもレ・フォール・ド・ラトゥールです。」

「シャトー・ラトゥールのセカンドワインですね?」

「はい、ヴィンテージは1966年と2003年です。

和さんは、どちらを飲みたいですか?」


鯵元社長は、両方のワインを和音の目の前に突き出すようにしてヴィンテージを見せた。


「1966年は、レ・フォール・ド・ラトゥールの初ヴィンテージですね?

そして2003年は当り年のヴィンテージです。 どちらを選ぶか迷いますが、

1966年は希少なレ・フォール・ド・ラトゥールになるので、記念に取って置くべきでしょう」

「あはは・・・」


鯵元社長は、大きな声で笑った。


「レ・フォール・ド・ラトゥールは、少し軽めで、早く飲み頃を迎えるから、

和さんは、本当は1966年はおいしくないと言いたかったのでは?

では2003年を飲みましょう」


鯵元社長の専属ソムリエは、レ・フォール・ド・ラトゥール2003年を抜栓し、グラスに注いだ。


「和さん、どうぞ!」

「では、頂きます。」