種牡馬考察 (リヴリア)
先日とある所で、種牡馬リヴリアがなぜ成功したかという質問を頂きました。そこで、簡単ではありますが、種牡馬としてのリヴリアを考察してみたいと思います(あくまでも血統面からの考察であり、また自分の主観としての考察でありますので、間違い等あるかと思いますが何卒ご容赦ください)。
残念ながら早世し、これといった後継を出すことなく途絶えた系統ではありますが、種牡馬3強(サンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービン)と言われた時代の種牡馬であり、長く種牡馬を続けられてさえいれば、個人的に種牡馬4強の時代を迎えていた、と言えるほどのポテンシャルを秘めた種牡馬であったと考えています。
まずリヴリア自身の血統から解説をしていきたいと思います(以下は公式の8項目評価であり、参考程度に自己診断を載せてありますが、自己診断の基準は変更してあり、60点満点と変更してあります)。
リヴリア
〇〇〇□◎〇□〇 □〇 1A (46/60)1A
芝8~12F ダ8~10F
主導は父の傾向を引き継ぎSir Gallahad5×6の系列クロス、次いでBlenheim。Nearcoの4×4は中間断絶の為、影響力は弱いが結合をアシストしている。スピードを主導たるSir Gallahad(Plucky Liegeの欠落から明確なスタミナと機能せず、Romanの影響からも中距離向きのスピードを再現)から再現し、スタミナをVaguely Noble内NearcoやLoika・Tracery・Asterusから再現。そのバランスも良く、血統全体でBay Ronaldを結合の中核とし血の流れも良好だと言える。惜しむらくは、父Riverman内の米系を生かせず、そのスピード・スタミナの再現が不完全になった点で、ここが真の上位クラスとあたった際に勝ちきれなかった要因だと考えられる。
ここでリヴリアの種牡馬としての特徴を、当時の繁殖牝馬プールを念頭において、箇条書きで、あげてみたいと思います。
① 血統としては欧米系が入り混じった血統構成であるが、割合としては7:3程度で欧州系が優位(父Rivermanが、やや欧州系がつよく、母Dahliaが欧州系主体)。この為、種牡馬導入当時において国内に浸透したノーザンテースト・マルゼンスキー・トウショウボーイ・リアルシャダイ等の欧州系主体かつ米系を含む種牡馬群との相性の良さが期待できた。
② 自身の土台構造をSt.Simon26ケで形成し、結合の肝となったBay Ronaldが14ケも存在し、自身が種牡馬となった際に自身の産駒にSt.Simonを8ケBay Ronaldを6ケ残す事ができ、産駒のⅠ・Ⅱブロックにおいてこのクロスから流れる血の流れの良さを維持できた(他の種牡馬、サンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービンと比較しても、非常に多くSt.SimonやBay Ronaldを産駒の血統内に残す事ができた)。
③ 欧米系が混じる血統構成でありながら欧州系主体の配合に対応でき、Riverman内の米系Man o`War・Black Toney・Blue Larkspurの存在により、米系にもある程度対応できる血統構成である(上位レベルを望むならクロスさせたい血ではある)。
④ 国内においてメジャーな血統となっていた、Nasrullah及びHyperionを持ち、浸透し始めていたTeddy系を自身の主導としている。アトランダムな配合を試みた場合において、仮にNasrullah・Hyperion・Sir Gallahadが同時にクロスしたとしてもそれぞれの世代がリヴリア内において、4・6・6代目となりNasrullahが明確な主導として機能するため、極端にバランスの悪い産駒ができる可能性が低い。
⑤ 自身の血統構成は、ひと息不満が残る部分を残すものの、父母の血統構成が非常に優秀で(特に母Dahlia)、Nasrullahをクロスさせなかった場合、日本適性にかける事が想像されるが、Hyperion・Sir Gallahadを用いて突き抜けた優秀な配合(ナリタタイシン=3Aの様な)を作る事もできた。
⑥ ⑤でも述べたようにトップクラスの産駒を望むなら、Nasrullahをクロスさせないほうが望ましくはあるものの、主導を明確にしつつ、クロスさせる事によって日本向きのスピードを前面で確保し、父のスピードの再現が比較的簡単にできた。また、産駒の4代目にNasrullahが存在するために、Nasrullah内の8代目にSpearmint、9代目にSt.Simonを残す事が出来、米系の取り込みにおいて優位に働く事が想像される。特に、8代目に存在するSpearmintの存在は、サンデーサイレンス産駒において主導となりやすいAlmahamoudが産駒の8代目においてSpearmintを持つ事と同等の強みを種牡馬として潜在的に抱えていると考えてよい。
⑦ 父Rivermanの母系において仏系であるDjbel~Tourbillonを抱え、国内に浸透したパーソロンの系統を、特段の相性の良さを発揮しないものの、離反させる事が無く利用でき9代目Bayardo・Teddyによって主導と連動させる事ができた。
⑧ アトランダムな配合で、前面でクロスしやすい血はNasrullah~Nearco・Alibhai~Hyperion・Roman~Sir Gallahad等が考えられるが、世代のバランスをさほど考慮しない(Aランクまでは望まない)のであれば、Nearco・HyperionでNortern Dancerを、Nasrullah・Hyperionでテスコボーイを、Sir GallahadでRobertoやNijinsky、更にはMr. ProspectorやAlydarさえも、活用できた。その能力の再現は個々の配合(当たり前だが母母方をも含めた母内の血の形態。父と母父だけで語る血統はナンセンスです)によるものであるために、一概にその血を持っていれば良配合とは言えないが、どの種牡馬群とも壊滅的な相性の悪さは無く、近親度がかなり強くなる為、一流馬の輩出は難しかっただろうが、ミルジョージやブレイヴェストローマン等とも、一応は血を合わせる事が可能であった。
⑨ 当たり前ではあるが国内においてRivermanの系統を持つ種牡馬が存在せず、ミルジョージ等のMill Reef系を除けば、極端な近親配合が出来づらい血統構成で繁殖と血をあわせやすかった。
かなり大ざざっぱな考察ではありますが、種牡馬リヴリアの血統を考察してみました。リヴリアの代表産駒と言えば、ラディガとの組み合わせであるナリタタイシン(3A)でありますが、欧米系の血を生かした配合として、マルゼンスキーとの組み合わせでケイパーソン(2A)や、マイヨジョンヌ・メイショウデンゲキ兄弟(1A)、ノーザンテーストとの組み合わせでペガサス(1A)・マーブルリヴァー(3B)等をだし、欧州系主体の血を生かして、サティンゴとの組み合わせでシルキーパレード(3B)、タイテエムとの組み合わせでナリタプリマドンナ(3B)を出し、また米系主体であるホープフリーオン(=Alydar)との組み合わせでリンデンリヴリア(3B)を輩出するなど、その血の融通性を結果として残しています。
この血統からくる融通性・上位配合を狙える血統構成こそが、種牡馬リヴリアをサンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービンと比肩しうる可能性を秘めたと、個人的に考える最大の理由であります。
リヴリアは残念ながら、わずか11歳という若さで亡くなりましたが、国内において浸透しはじめた米系を有用に使いつつ、St.Simon及びBay Ronaldを活用できた種牡馬であり、世界的に繁栄していると言い難いRiverman系を国内に根付かせる事の出来た種牡馬であったと思います。彼の早世が、国内の血統プールにおいてどれほどの損失だったかは、各人の判断に任せたいと思いますが、もしもう少し長く、その血を残す事が出来たなら、今日の日本競馬の彩りはもう少し鮮やかだったかもしれません。
今回は、このあたりで筆を置きたいと思います。相変わらずの、乱筆乱文はどうかご容赦ください。
先日とある所で、種牡馬リヴリアがなぜ成功したかという質問を頂きました。そこで、簡単ではありますが、種牡馬としてのリヴリアを考察してみたいと思います(あくまでも血統面からの考察であり、また自分の主観としての考察でありますので、間違い等あるかと思いますが何卒ご容赦ください)。
残念ながら早世し、これといった後継を出すことなく途絶えた系統ではありますが、種牡馬3強(サンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービン)と言われた時代の種牡馬であり、長く種牡馬を続けられてさえいれば、個人的に種牡馬4強の時代を迎えていた、と言えるほどのポテンシャルを秘めた種牡馬であったと考えています。
まずリヴリア自身の血統から解説をしていきたいと思います(以下は公式の8項目評価であり、参考程度に自己診断を載せてありますが、自己診断の基準は変更してあり、60点満点と変更してあります)。
リヴリア
〇〇〇□◎〇□〇 □〇 1A (46/60)1A
芝8~12F ダ8~10F
主導は父の傾向を引き継ぎSir Gallahad5×6の系列クロス、次いでBlenheim。Nearcoの4×4は中間断絶の為、影響力は弱いが結合をアシストしている。スピードを主導たるSir Gallahad(Plucky Liegeの欠落から明確なスタミナと機能せず、Romanの影響からも中距離向きのスピードを再現)から再現し、スタミナをVaguely Noble内NearcoやLoika・Tracery・Asterusから再現。そのバランスも良く、血統全体でBay Ronaldを結合の中核とし血の流れも良好だと言える。惜しむらくは、父Riverman内の米系を生かせず、そのスピード・スタミナの再現が不完全になった点で、ここが真の上位クラスとあたった際に勝ちきれなかった要因だと考えられる。
ここでリヴリアの種牡馬としての特徴を、当時の繁殖牝馬プールを念頭において、箇条書きで、あげてみたいと思います。
① 血統としては欧米系が入り混じった血統構成であるが、割合としては7:3程度で欧州系が優位(父Rivermanが、やや欧州系がつよく、母Dahliaが欧州系主体)。この為、種牡馬導入当時において国内に浸透したノーザンテースト・マルゼンスキー・トウショウボーイ・リアルシャダイ等の欧州系主体かつ米系を含む種牡馬群との相性の良さが期待できた。
② 自身の土台構造をSt.Simon26ケで形成し、結合の肝となったBay Ronaldが14ケも存在し、自身が種牡馬となった際に自身の産駒にSt.Simonを8ケBay Ronaldを6ケ残す事ができ、産駒のⅠ・Ⅱブロックにおいてこのクロスから流れる血の流れの良さを維持できた(他の種牡馬、サンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービンと比較しても、非常に多くSt.SimonやBay Ronaldを産駒の血統内に残す事ができた)。
③ 欧米系が混じる血統構成でありながら欧州系主体の配合に対応でき、Riverman内の米系Man o`War・Black Toney・Blue Larkspurの存在により、米系にもある程度対応できる血統構成である(上位レベルを望むならクロスさせたい血ではある)。
④ 国内においてメジャーな血統となっていた、Nasrullah及びHyperionを持ち、浸透し始めていたTeddy系を自身の主導としている。アトランダムな配合を試みた場合において、仮にNasrullah・Hyperion・Sir Gallahadが同時にクロスしたとしてもそれぞれの世代がリヴリア内において、4・6・6代目となりNasrullahが明確な主導として機能するため、極端にバランスの悪い産駒ができる可能性が低い。
⑤ 自身の血統構成は、ひと息不満が残る部分を残すものの、父母の血統構成が非常に優秀で(特に母Dahlia)、Nasrullahをクロスさせなかった場合、日本適性にかける事が想像されるが、Hyperion・Sir Gallahadを用いて突き抜けた優秀な配合(ナリタタイシン=3Aの様な)を作る事もできた。
⑥ ⑤でも述べたようにトップクラスの産駒を望むなら、Nasrullahをクロスさせないほうが望ましくはあるものの、主導を明確にしつつ、クロスさせる事によって日本向きのスピードを前面で確保し、父のスピードの再現が比較的簡単にできた。また、産駒の4代目にNasrullahが存在するために、Nasrullah内の8代目にSpearmint、9代目にSt.Simonを残す事が出来、米系の取り込みにおいて優位に働く事が想像される。特に、8代目に存在するSpearmintの存在は、サンデーサイレンス産駒において主導となりやすいAlmahamoudが産駒の8代目においてSpearmintを持つ事と同等の強みを種牡馬として潜在的に抱えていると考えてよい。
⑦ 父Rivermanの母系において仏系であるDjbel~Tourbillonを抱え、国内に浸透したパーソロンの系統を、特段の相性の良さを発揮しないものの、離反させる事が無く利用でき9代目Bayardo・Teddyによって主導と連動させる事ができた。
⑧ アトランダムな配合で、前面でクロスしやすい血はNasrullah~Nearco・Alibhai~Hyperion・Roman~Sir Gallahad等が考えられるが、世代のバランスをさほど考慮しない(Aランクまでは望まない)のであれば、Nearco・HyperionでNortern Dancerを、Nasrullah・Hyperionでテスコボーイを、Sir GallahadでRobertoやNijinsky、更にはMr. ProspectorやAlydarさえも、活用できた。その能力の再現は個々の配合(当たり前だが母母方をも含めた母内の血の形態。父と母父だけで語る血統はナンセンスです)によるものであるために、一概にその血を持っていれば良配合とは言えないが、どの種牡馬群とも壊滅的な相性の悪さは無く、近親度がかなり強くなる為、一流馬の輩出は難しかっただろうが、ミルジョージやブレイヴェストローマン等とも、一応は血を合わせる事が可能であった。
⑨ 当たり前ではあるが国内においてRivermanの系統を持つ種牡馬が存在せず、ミルジョージ等のMill Reef系を除けば、極端な近親配合が出来づらい血統構成で繁殖と血をあわせやすかった。
かなり大ざざっぱな考察ではありますが、種牡馬リヴリアの血統を考察してみました。リヴリアの代表産駒と言えば、ラディガとの組み合わせであるナリタタイシン(3A)でありますが、欧米系の血を生かした配合として、マルゼンスキーとの組み合わせでケイパーソン(2A)や、マイヨジョンヌ・メイショウデンゲキ兄弟(1A)、ノーザンテーストとの組み合わせでペガサス(1A)・マーブルリヴァー(3B)等をだし、欧州系主体の血を生かして、サティンゴとの組み合わせでシルキーパレード(3B)、タイテエムとの組み合わせでナリタプリマドンナ(3B)を出し、また米系主体であるホープフリーオン(=Alydar)との組み合わせでリンデンリヴリア(3B)を輩出するなど、その血の融通性を結果として残しています。
この血統からくる融通性・上位配合を狙える血統構成こそが、種牡馬リヴリアをサンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービンと比肩しうる可能性を秘めたと、個人的に考える最大の理由であります。
リヴリアは残念ながら、わずか11歳という若さで亡くなりましたが、国内において浸透しはじめた米系を有用に使いつつ、St.Simon及びBay Ronaldを活用できた種牡馬であり、世界的に繁栄していると言い難いRiverman系を国内に根付かせる事の出来た種牡馬であったと思います。彼の早世が、国内の血統プールにおいてどれほどの損失だったかは、各人の判断に任せたいと思いますが、もしもう少し長く、その血を残す事が出来たなら、今日の日本競馬の彩りはもう少し鮮やかだったかもしれません。
今回は、このあたりで筆を置きたいと思います。相変わらずの、乱筆乱文はどうかご容赦ください。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます