つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

卵のふわふわ

2013年10月17日 12時39分19秒 | Review

ー八丁堀食い物草紙・江戸前でもなしー
 宇江佐真理/講談社文庫

 臨時廻り同心の椙田忠右衛門・ふでの夫婦、そして同居している隠密廻り同心の息子正一郎・のぶの夫婦、ときどき訪ねてくる幇間の桜川今助。江戸、八丁堀の町屋に囲まれた岡崎町の組屋敷で暮らす二組の夫婦の物語だ。主人公は若奥さんののぶさん。この本は2007年7月13日初版なので比較的新しい作品である。ただ、講談社ではこの「卵のふわふわ」の前に4冊ほど出ているので、またもや新旧逆に読むことになりそうだ。

 で、宇江佐さんの作品は「髪結い伊三次」以外、短編が多いのだが、「卵のふわふわ」はめずらしく長編(中編?)小説である。「卵のふわふわ」なんて、変なお題だなと思っていたが、なるほど「ふわふわ」は、各々世代夫婦の心模様を言っているようで、なんとなく納得した。その他にもいろいろな夫婦(或いは男と女)が出て来るが、やはりどれも「ふわふわ」で、この心模様は現代にあっても全く変わらない。このことは宇江佐さんが時代小説を書く上での根本的な動機でもあるだろう。

 「たまごふわふわ」は「仙台下向日記」「東海道中膝栗毛」などにも登場するらしい。静岡県袋井市観光協会が町おこしとして「たまごふわふわ」に目をつけ、これを当時の文献をもとに再現販売しているらしい。いま流行のB級グルメである。ん~、食べてみたい!


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