つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

ギャロップ

2015年01月19日 11時58分42秒 | Review
 飯星景子/角川文庫

 1991年9月25日初版。第一話・平成元年10月29日の天皇賞、東京競馬場から始まって、京都・エリザベス女王杯、京都・マイルチャンピオンシップ、東京・ジャパンカップ、阪神・桜花賞、東京・日本ダービー、ぐるり回って第七話・平成2年6月27日の大井記念、大井競馬場まで。登場人物はいつも異なり、それなりに異なる話になっているが、背景がいつも“競馬場”であるために、どうも同じようなイメージの話になってしまう。七話、短編なのでなかなか乗るに乗れないということもある。

 作家という割には作品がほとんど無い。役者、或いはタレントというべきかもしれない。かつて著者には「統一協会」の話や「オウム」の話も飛び交っていたようだが、作家と言うのは何でもやってみる人達だから、そういうこともあるかもしれない。がしかし、それが肥やしにならなければ何の意味も無い。「わたしたちの競馬、そして恋」・・・ね。

 解説は競馬に憧憬の深い伊集院 静さんが書いているが、伊集院さんの競馬はオヤジ競馬、飯星さんのはギャル競馬、競馬の魅力はそれぞれである。「名馬オグリキャップの描写」は飯星さんに対する伊集院さんの心からのエール。しかし、その実現(ゴール)ははるか先のようにも思える。人生ままならないものだ。私は競馬をやらないが、株よりは人間的か。「誰のために走るでもなく、一生懸命に走ってさ」というのは解かる気がする。


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