つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

鴨川ホルモー

2018年03月07日 21時53分39秒 | Review

万城目 学/角川文庫

 2009年2月25日初版のデビュー作。鬼の姿が見えるようになってからの非現実、姿が見えなくなってからの現実、落差を感じないシームレスな連続性。古い京都であれば、それも有りかなと思ってしまう小説ならではの青春グラフィティー。結局のところ、主人公の片思い(女の鼻に魅惑されるフェチ?)と、思わぬところで出現する彼女との出会いが本音か。
 話としては、本当にたわけたバカバカしい話なんだけれども、いや、現代の若者が普段感じることのない、あまたおわすはずの八百万の神々に対して敬意をもって少なからず理解しようとしている姿こそが本音であろうか。
 何事にも消極的で、すぐに諦め、自分に対する自信もなく人を信じることもできない。情けない自分を脱ぎ捨てることこそがゲーム・ホルモーの本旨なのかもしれない。