「秘書による口利きが今も日常的に行われているとしたら驚きだ。カネで政治をゆがめることがあっては断じてならない。甘利氏だけではなく、政治に関わる者全員が姿勢を問われている。いま一度、襟を正すべきである。」
小選挙区制度を導入したときに、政党助成金制度をセットで導入しました。政治活動に税金を投入し、政治と企業献金の腐れ縁を断ち切ることを理由としました。ところが、自民党、公明党、民主党、共産党をのぞく政党は、政治資金を企業献金という形で依然として受けています。そのことが今回の甘利氏の疑惑となっているのです。しかも、今回は政党幹部が口利きをして、公的な組織に補償金を出させた事件であり、資金報告書に記載しなかっただけではなく、政治を政治資金、企業が利用した点でさらに悪質な違法行為と言えます。
自民党型政治は、政治と企業献金を直結させ、大手企業、金融機関、多国籍企業の代弁者としての機能させることを基本としています。その点では、安倍、甘利は彼らの代理人であり、彼らにとって不利益、不都合な政治は行わない。これこそが彼らの政治信条であり、鉄則なのです。原発稼働は電力会社、原子力産業である重電メーカーからの企業献金を千万単位で受領した結果です。
戦争法は、憲法を敵視し、軍需産業が税金を山分けするために必要な仕組みと法の改悪です。同時に、そのことが彼らに都合のよい軍事国家の確立に必要な条件であったからです。しかも、その自衛隊を使って、海外派兵を行い、日本の多国籍企業の海外活動を軍事力で擁護させようとするものです。そのためにも平和憲法、憲法九条は彼らにとって、どうしても否定しなければならない対象となているのでしょう。
<東京新聞社説>政治とカネ 甘利氏は疑問に答えよ
またか、というのが率直な思いだ。
現職閣僚に関わる「政治とカネ」の問題が報じられた。事実なら政治への信頼を著しく損ねる。甘利明経済再生担当相は、国民の率直な疑問に答えるべきだ。
甘利氏の「政治とカネ」の問題を報じたのは、きのう発売された週刊文春である。
記事によると、千葉県の建設会社が、県道工事をめぐり独立行政法人都市再生機構(UR)とトラブルになったことから、建設会社の総務担当者が二〇一三年五月に甘利氏の事務所に相談。URから補償金を得られたため、八月に謝礼として甘利氏の公設秘書に五百万円を渡した。
総務担当者らはその後、十一月に、甘利氏に大臣室で直接、五十万円を謝礼として渡した。さらにURと新たなトラブルが起きたため、一四年二月、内容を説明した上で甘利氏に再び五十万円を渡した、という。
甘利氏はきのうの参院決算委員会で、野党側の追及に対し「その会社の社長一行が大臣室を表敬訪問したのは事実だが、何をしたのか記憶が曖昧なところもある」「事務所に(業者が)来たことは覚えているが事実関係、記憶をたどっている」などと答えた。
自身の金銭受領の話である。本当に記憶にないのだろうか。
受領が事実なら、大臣室での五十万円は政治資金収支報告書への記載はない。寄付を受け取りながら意図的に記載しなかったとしたら、政治資金規正法違反に問われる可能性もある。甘利氏は事実関係を説明すべきであり、国会には追及の責務がある。
甘利氏は安倍晋三首相を支える政権の中心メンバーで環太平洋連携協定(TPP)も担当する重要閣僚だ。「政治とカネ」の問題を抱えたままでは内閣全体の信頼性も揺らぐ。一六年度予算案審議への影響も避けられない。首相には任命責任もある。いずれ進退を判断せざるを得ないだろう。
ただ、仮に閣僚や議員を辞めることがあっても、それで幕引きは許されない。甘利氏は政治倫理審査会など国会の場で、進んで説明責任を果たすべきだ。
法に反する疑いがあるのなら、もちろん司法の出番である。
秘書による口利きが今も日常的に行われているとしたら驚きだ。カネで政治をゆがめることがあっては断じてならない。甘利氏だけではなく、政治に関わる者全員が姿勢を問われている。いま一度、襟を正すべきである。