“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

立憲主義、民主主義を守れ

2016年01月04日 20時14分36秒 | 臼蔵の呟き

「選挙前までは経済最優先を訴え、選挙が終わると国論を二分するような政策を数の力で押し切る。安倍政権の政治手法の特徴である。」

「憲法は権力者のものではなく、私たちのものだ。」憲法は、行政権力、国会、司法を縛り、暴走を防ぐものです。

<毎日新聞社説>安部政権と憲法 生活者の実感を大切に

 政治は選挙を経てギアチェンジを繰り返す。今年は参議院の選挙が実施される年だ。

 返り咲きから4年目に入った安倍晋三首相は、参院選に並々ならぬ闘志を抱いているようだ。

 例年より半月ほど早く、きょうから通常国会が開幕する日程にしたのも、昨年暮れに公明党の主張を入れて軽減税率の協議を決着させたのも、すべては参院選を有利に戦うための布石とみられている。

 ただし、参院選はあくまで表の主役、陰に控える真の主役は憲法だと考えておくべきだろう。

公布から70年の節目

 安倍首相は昨年11月28日、自ら会長を務める右派系の議員連盟「創生日本」の会合でこう訴えている。

 「憲法改正をはじめ占領時代に作られた仕組みを変えることが(自民党の)立党の原点だ。来年の参院選で支援をお願いしたい」今年11月3日で憲法は公布から70年を迎える。来年は施行70年だ。これまで一度も改正されていない。

 憲法を変えるには、衆参両院ともに「総議員の3分の2以上」の賛成を得て改正案を発議し、国民投票にかけなければならない。一時の多数派の意向だけで容易に変更ができないよう設けられた高いハードルだ。

 現在、与党である自民、公明両党は衆院で3分の2以上の議席を占める。しかし、参院では3分の2まで30議席程度足りない。

 安倍首相の自民党総裁任期は2018年9月までだ。長期政権を視野に入れる首相だが、党規約を改正して任期を延長しない限り、参院選に臨むのは今年が最後になる。

 このため、首相としては何としても参院選に大勝し、改憲要件をクリアしたいところだろう。

 会期150日間の通常国会は6月1日に閉会する。その直前、5月26日からは日本で主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催され、安倍首相が議長を務める。

 これならサミットの成果を誇示する形で参院選になだれ込める。会期末に衆院を解散すれば7月に衆参同日選も可能になる。少なくとも同日選をにおわしておけば、野党の足並みを乱すことができる。

 安倍政権が設定した国会日程からは、こんな思惑がうかがえる。

 首相は参院選に向けて「1億総活躍社会」の実現や「新三本の矢」をアピールするはずだ。

 選挙前までは経済最優先を訴え、選挙が終わると国論を二分するような政策を数の力で押し切る。安倍政権の政治手法の特徴である。 今年の参院選で同じことが繰り返されてはならない。結果次第で憲法改正という戦後最大のギアチェンジに直結する選挙になるからだ。

 すでに自民党内では、参院選後をにらんで大災害を想定した「緊急事態条項」の追加を憲法改正の出発点にしようとする動きがある。昨年来言われてきた「お試し改憲」に近い発想だ。憲法に風穴を開けて本丸の9条に迫ろうというのだろう。

 安倍首相が改憲に執念を燃やす理由を知るうえで印象深いやり取りがある。昨年5月の党首討論だ。

価値観を押しつけるな

 日本が敗戦時に受け入れたポツダム宣言について、共産党の志位和夫委員長から感想を求められた安倍首相は「つまびらかに読んでいないから論評を差し控えたい」と答えた。

 志位氏がただしたのは、宣言が日本の行為を「世界征服の挙」と非難している部分だったが、宣言は同時に日本の民主化と言論の自由、基本的人権の確立を求めている。

 憲法学者の長谷部恭男氏は「国家が戦争を通じて攻撃しているのは、実は敵国の憲法原理だ」と述べている。この表現に従えば、日本は憲法の戦いに敗れて、新たな憲法原理を獲得したことになる。

 「戦後レジームからの脱却」を唱え、現憲法を「占領軍の押しつけ」と呼んできた安倍首相だ。出発点であるポツダム宣言を読んでいないとは考えにくい。むしろ、宣言への抵抗感を隠すために論評を避けたととらえるのが自然ではないか。

 私たちは憲法改正を決して否定はしない。改憲論者は好戦的で、護憲論者は平和主義といったステレオタイプの色分けも排する。

 ただし、憲法が国民に特定の価値観を押しつけるものであってはならない。日本の伝統は守られるべきだが、憲法による保護を一番必要としているのは普遍的な人権だ。

 すなわち最も基本的な国のルールである憲法の改正論議は、国民がいかに暮らしやすい国にするかをベースに組み立てられるべきだろう。

 憲法が定めるのは抽象的なことではない。自由に小説や音楽を楽しめるのも、差別はいけないと多くの人が考えるのも、外国との関係を良くしようとする力が働くのも、憲法が基になっている。

 憲法の議論ではそんな生活者の実感を大切にしたい。憲法は権力者のものではなく、私たちのものだ。


自民党型政治を改革するために

2016年01月04日 17時19分20秒 | 臼蔵の呟き

通常国会が始まりました。議席数では、衆参ともに自民党、公明党の与党には、野党の議席をすべて束ねても数ではかないません。民主主義は多数決であるとする安部、山口流の見解では、国会において憲法改正以外はすべてできることになります。こんなことを国民が衆議院選挙で、判断し、自民党、公明党に投票したのではないことは自明のことです。

日本の政治、社会がどうあるべきかを政府、国会が国民に提起し、議論し、その意義、目的をわかるように解説することが求められます。そのことが議会制民主主義を、機能させ、政治不信を改善することになるでしょう。

<信濃毎日社説>対抗力を育てる政治に★政党の危機

 「桃栗三年、柿八年というが、桃と栗は何とか収穫できた」

 安倍晋三首相は第2次政権発足から3年を迎えた昨年暮れ、こう成果を誇った。

 桃と栗は何を意味するか。経済と外交・安全保障政策のことを示しているのではないか。

 経済面では円安・株高の演出が挙げられる。政府から独立した存在であるはずの日銀の金融政策に首相が首を深く突っ込んだ結果でもある。

   <役割見失った与党>

 安保政策では民意の反対を無視し、地球規模で自衛隊が米軍に協力できるようになる安保関連法を成立させている。これらは、ほとんど官邸主導で進められた。いずれも日本の針路を左右する重要な政策でありながら、与党は追認するばかりだった。政策の功罪や展望について熟議した気配はない。自民党内では首相が国政選挙で連勝してきたため異を唱えにくい雰囲気が強まっている。

 当初、安保政策の転換に慎重だった公明党は、公言していた首相のブレーキ役を十分に果たしてはいない。政権に居続けることを最優先にしていないか。

 与党は首相がこだわる政策実現のための応援団と化し、政党としての役割を見失っている。

 憲法は立法、司法、行政の三権分立を取り入れている。互いにチェックし合い、権力の暴走を防ぐ仕組みである。中でも国会は国権の最高機関と明記し、優位性を与えていることは重要だ。

 政党は議会制民主主義の要石である。なのに、行政の頂点に君臨する首相と側近で固めた官邸にその座を明け渡してしまったかのようだ。政党政治の劣化が懸念される事態である。

   選挙制度にも弊害

 野党はどうか。民主党は7年前に歴史的な政権交代を果たしたものの、政策や政権運営が迷走し、政権から転落した。失望感は今も国民の記憶に残り、支持率は低迷したままだ。

 自民、民主に対抗するはずだった第三極勢力の各党も離合集散を繰り返している。

 行き場のない票は増えるばかりだ。衆院選の投票率は過去最低を更新している。

 なぜ、このような事態を招いたか。まず功罪を再点検すべきは衆院の選挙制度だ。1996年、政治改革の柱として比例代表制との組み合わせで、導入された小選挙区制である。

 第2次安倍政権を誕生させた2012年の衆院選を思い起こしてほしい。自民は小選挙区で4割ほどの得票率で8割近くの議席を得ている。一昨年暮れの衆院選も同様の結果となった。

 小選挙区制は政権交代可能な二大政党制を実現し、比例代表制は多様な民意を反映させるためと説明されてきた。

 現実には選挙での得票に比例しない過分な議席を大政党に与えている。与党は敵対する野党への批判を強め、分断工作に徹する。与野党逆転の可能性は低くなり、一強体制が固定化しがちだ。

 二大政党制を考える上で、歴史に教わることは多い。昭和時代初期に政権を交代で担った政友会と民政党である。

 当時、不況で国民の暮らしは行き詰まっていた。その一方、両党は政争に明け暮れた。

 「発言力を強めたのは軍部である。民政党が軍縮を進めると、政友会は軍や右翼と結んで『国防を危うくする』と激しく批判した。マスコミも強硬路線を支持し、政治不信に拍車をかけた」

 京都大学の奈良岡聰智教授(日本政治外交史)は本紙のインタビューにこう述べている。

 1931年には満州事変が起きた。民政党の若槻礼次郎首相は反対だったが、世論からは見放されていた。国民の中に戦争が問題を解決してくれるとのムードが広がっていたともされる。その後、日本は敗戦へと無謀な戦争をひた走ることになった。

 今の政治や社会状況と単純に結び付けることはできないとしても政党不信が何を生むか。くみ取るべきことは多い。

 話を首相に戻そう。桃と栗に続いて収穫する柿は何を意味するかだ。憲法改定との見方が強い。今夏の参院選の結果にもよるが、個人の自由や権利が狭められ、国家重視の改憲へと、動きが加速する恐れが否定できない。

   <野党の立て直しから>

 昨年暮れ、野党の中に新たな動きが起きた。民主、共産、維新、社民の各党が参院選の熊本選挙区で野党統一候補を無所属で立てると発表したのだ。

 野党共闘がどう展開するかは見通せない。安保や原発政策など、民意の受け皿となることを第一に考えるべきだ。野党の立て直しは緊張感ある政治を生む第一歩になる。与党の対抗勢力が育たなければ民主主義は成熟しない。