東京電力が破綻し、その他の電力会社の独善ぶりは目に余るものがあります。関西電力、九州電力、北海道電力は、東京電力破綻後の原子力発電所再稼動競争を競っています。国民にとって良いこと、国民が望むことはことごとく無視し、安倍、自民党政権と手を組み、原子力発電所再稼動に血道をあげることに狂奔しています。浅ましい限りです。
このような独善的な電力会社に、電力の製造、販売を独占させることを止めなければならないと強く感じます。そのためにも、再生可能エネルギーの投資、電力に占める構成比を引き上げること。発電と送電の分離、総括原価方式を止め、電力の地域独占供給、販売をやめさせることが必要です。
<北海道新聞社説>再値上げ説明会 誠意を欠く北電の対応
これでは首をすくめて批判をやり過ごし、再値上げの手続きを進めることだけを狙っているようなものではないか。北海道電力の電気料金の再値上げに関する一般向け説明会が、道内各地で始まっている。
北電は泊原発の長期停止で財務悪化に歯止めがかからないことを訴えるだけで、さらなる経営努力や原発に頼らない中長期の戦略についてほとんど語らない。
重い負担を強いられる利用者は到底納得できまい。こんな説明会では、意味をなさないと批判されても仕方がない。
一般向けの説明会は来月5日までの予定で開かれる。
北電は昨年9月の値上げの際、実施後に説明会を開催した。だが、出席者から「時期が遅い」などの指摘があり、今回は国の認可前に開くことにした。それ自体は評価できる。
家庭向けは平均17%超、企業向けは平均22%超の大幅値上げだ。
北電に明示してほしいのは、経営の展望である。しかし、説明会では、原発が再稼働できず、収支が厳しいと繰り返すばかりだ。
原子力についても、安価で重要な電源であると主張するが、福島の事故後は事故のリスクや再処理のコストを含む総体の費用が問われているのである。
この説明では、出席者に受け入れられないのは当然だ。すでに終了した経済団体などへの説明会でも同様の批判があった。
利用者が問うているのは、電気料金と再稼働を結びつける北電の姿勢である。独占的立場にあるだけになおさらだ。
経営効率化についても、値上げに見合う努力をしているのか不信がある。
こうした問いに、北電が明確に答えなければ、不満を聞くという過程を踏むために説明会を開いたと言わざるを得ない。
「泊原発が再稼働すれば電気料金を値下げする」との北電の主張も、再稼働しない限り、料金が上がり続けると受け止められても仕方なかろう。
北海道新聞の世論調査で、泊原発の再稼働に66%が反対している。道民の多くが再稼働を望んでいないのは明らかだ。
説明会では「安全なエネルギー導入など希望が見える我慢であれば受け入れる」との声もあった。北電はこうした意見に真剣に耳を傾け、原発が動かないことを前提にした経営を真剣に考える時ではないか。
<北海道新聞社説>北海道電力料金申請 最値上げは納得いかぬ
北海道電力が7月31日、電気料金の再値上げを国に申請した。10月実施を目指すとしている。値上げ幅は家庭向けが平均17%、国の認可の要らない企業向けは22%超だ。泊原発の再稼働のめどが立たず、火発用燃料費の増加で財務状況が悪化している。それを理由に挙げた。
冬の需要期を前にした値上げである。消費増税に加え原油価格も高止まりする中、道民生活への影響は計り知れない。
経営見通しの甘さを棚に上げ、道民に重い負担を強いる。安易な再値上げは、到底容認できない。
東電福島第1原発事故後に料金を上げた電力7社のうち、再値上げを申請したのは初めてである。
電気料金の値上げを判断する仕組みが一昨年大きく変わった。新制度での再値上げ審査は人件費などの項目が削られ、燃料費上昇分などに限られるようになった。
生活に直結する公共料金の審査としては納得いかない。政府はあらゆる角度から問うべきだ。
北電は合理化策として社宅の売却や厚生費の削減などを打ち出した。だが、胸を張れる中身ではない。身を切る努力をさらに重ね、その内容を道民につまびらかにする必要がある。
今回の再値上げ申請であらためて鮮明になったのは、原発に過度に依存した経営の限界だ。
昨年の値上げ申請時点で、北電は今年6月までに泊原発の3基すべてが稼働するという現実味のない想定を掲げていた。
今度は、来年11月ごろの泊3号機の再稼働を見込む。膠着(こうちゃく)する原子力規制委員会の審査状況を考えれば、前提が崩れないとの保証はどこにもない。
そもそも電気料金と再稼働を結びつけること自体、筋違いだ。「脱原発」という大きな流れに逆行し、その結果、再生可能エネルギーの導入など電源多様化への方策もしっかり示せない。
川合克彦社長は記者会見で、泊が稼働すれば料金を値下げすると明言した。いつまで、「原発頼み」の物言いを続けるのか。
申請通りに値上げになれば、家庭用のモデル電気料金は昨年の値上げ前に比べ25%の負担増だ。年金生活者や母子家庭などの弱者の暮らしを直撃する。
そればかりか、電力を大量消費する加工分野の中小企業の経営を圧迫し、北海道経済に暗い影を落とすことは容易に想像できる。
北電には、再値上げの撤回を含め大幅な見直しを求めたい。