労働法規のなし崩し的な緩和により、非正規労働の拡大に呼応するようにして、労働条件の悪化、劣悪な働かせ方が蔓延しています。正規職員を減らす、場合によっては正規職員が全くいない中で管理者も非正規で対応する。このようなことが拡大した中でブラック企業、ブラックバイトが拡大しているのだと思います。
企業は人口の減少、経済成長が止まった社会で、売り上げが伸びない、利益がなかなか出ない。その対応策として、コストの削減、特に、その中でも人件費の切り詰め競争にさらされています。この主張でも言う、企業の経営方針の問題と指摘するような風潮があります。しかし、現実に企業が存続し、営業をし続けるためには、利益を出さなければならず、労働法規ですべての企業の遵守する労働のあり方をルール化することにより、抜け駆けを許さない社会、労働法規を企業に守らせることが必要です。その上で、その労働法規が徹底できているかどうかを行政が点検し、指導を行う。ここに最大の問題点があるのだと思います。自民党政権、特に、小泉、竹中による規制緩和政策の結果として非正規労働の拡大、労働法規のなしくづし的な緩和によって、ブラック企業、ブラックな労働が拡大しているのだと思います。
貧困化の問題は、低賃金労働、収入による教育格差の拡大などがその背景に存在しています。貧困が長時間、過密労働を強要する社会的背景も生み出しています。時間単価の大幅な引き上げ、賃上げの実施を政治が主導して取り組まなければなりません。もう1つの問題は、国鉄解体民営化のときに、国労、動労の労働者を攻撃し、清算事業団に追い込みました。国労、動労は組織労働者の中でも機関車的な役割を果たしていました。そのような労働組合、労働者を攻撃することで労働組合、労働運動を弱体化させた自民党中曽根政権の狙いがこのような結果を引き起こすことになっています。彼らは、明確にそのことを意図して労働組合攻撃を行いました。その結果、労働組合の弱体化、企業内労働組合の弱体化、企業は戦わない労働組合を育成するなどが一般化しています。人事部かと思うような労働組合もあります。
経営者の暴走を監視し労働ルール遵守を要求する労働組合は労働者を守る砦であることを再認識すべきです。
ブラックバイト許さない 学生らが労組で対抗
学生アルバイトなのに、学業に支障をきたすほどの重労働を強いられたり、正社員のような責任を課されたりする「ブラックバイト」が広がっている。正社員を減らしている影響で、基幹業務の担い手がほかにいない企業が増えているためだ。問題の解決を目指し、東京都内の学生ら約二十人は一日、労働組合のブラックバイトユニオンを結成した。
都内の男子大学生(21)は六月から、牛丼チェーンの店で深夜バイトを始めた。深夜帯は二人体制で営業することになっているのに、五回目で一人勤務をさせられた。メニューの写真を見ながら調理。肉の量や盛り付け方がどうしても分からず、スマートフォンで調べると、同じような質問をしている人がいて、その回答も見つけた。
昨秋に三カ月勤務した衣料品店では、制服として商品約五千円分を購入させられた。勤務日が決まると、休みたいと申し出ても「代わりを探さないとだめ」と言われた。
勤務可能日として申告した日すべてが勤務日となり、出席日数が足りずに単位も落とした。学生側も、経済状況の悪化で親の仕送り額が減る傾向にあり、劣悪な職場でも簡単に辞められない事情がある。「仕送りだけでは足りない。授業と両立しながらやっていきたいが、なかなかそういうバイトがない」と漏らす。
一昨年に来日し、都内の大学に通う中国人の男子留学生(24)が六月まで働いたドラッグストアは、レジの列が途切れることがなかったという。夜はアルバイト三人で商品の補充や呼び込みもする。「明らかに人手不足なのに、これくらい早く慣れてできるようにならないと、と怒鳴られたりもした」。午後十一時の閉店時間には全員にタイムカードを押すよう指示があり、その後はサービス残業をさせられた。
ブラックバイトユニオンは、こうした状況をNPOに相談していた学生らが中心となり結成。若者の労働問題に取り組んできた大学院生で共同代表の佐藤学さん(27)は「経済的に苦しく、バイトを簡単に辞められないことに付け込んで過酷な働き方をさせている企業も多い。実態調査や労働法を学ぶ場もつくっていきたい」と話す。
ユニオンは三日午後一~四時、弁護士らによる無料の相談ホットラインを設置する。フリーダイヤル(0120)987215。これとは別に弁護士やNPO法人などでつくるブラック企業対策プロジェクトは、ホームページで対応方法を伝える冊子を無料で公開している。同プロジェクトは十日、学生が授業に出てこられない事情を知り、ブラックバイトと名付けた中京大(愛知県)の大内裕和教授らによるセミナーも開く。問い合わせは電03(6673)2261。
<ブラックバイト> 中京大の大内裕和教授の定義では、学生であることを尊重しないアルバイト。低賃金であるのに正規雇用並みの義務を課されたり、学生生活に支障をきたすほどの重労働を強いられたりする。残業代の不払いや休憩時間を与えないなどの違法行為がみられることも多い。