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将棋界通信 2013年7月号 (その他)

2013年07月29日 02時33分52秒 | ボードゲーム
 一応毎月を目標としています。いきなりの挫折はやっぱりよくないかな、と思いますが、さて何を書こうか……
 このネタでどの程度のボリュームになるのか、イマイチ不安ですが、今回は『女流棋士』のレベルなどについて書いてみます。

 女流棋士というは女性の将棋のプロですが、男性棋士と同じ土俵で対等に戦っている訳ではありません。あくまで無差別のプロとは別枠で女性限定のプロとして女流棋士という制度が設けられています。そうしなければ一人の女性プロも存在出来ず、むさ苦しい男だけの集団になってしまいます。

 以前TVである著名な映画監督が「対等に戦わせない将棋界の体質が最悪なんです。女の方が頭が悪いって言うんですか!」とえらく批判的な事を言っていましたが、どうも何かを誤解されていたのでしょう。別に意地悪をして戦わせないのではなくて、戦っても勝負にならないから戦えないというだけの話です。

 女流棋士の第1号は蛸島彰子さんで、彼女は男性プロと同じく無差別のプロ……どうもまどろっこしい言い方なので単に『プロ』と呼ぶ事にしますが、そのプロを目指すための養成機関である『奨励会』で修行しました。
 奨励会は6級から三段までで、三段から四段に上がれば晴れてプロの棋士となれる制度になっています。

 蛸島さんは初段まで行きました。が、彼女の場合は女性という事で指し分けでも昇級させてもらえたという特別待遇を受けていました。通常は昇級には6連勝や9勝3敗という成績が必要なのです。因みに最近では里美香奈さんが初段まで行っていますが、彼女は蛸島さんのような特別扱いはされずに規定通りの成績での入品(初段になること)でありこれは女性初の快挙です。
 蛸島さんは奨励会を退会、女流棋士に専念し初代の女流名人となりました。

 その後は林葉直子さんや中井広恵さん、清水市代さんの世代となり、レベルも段々と上がってきました。林葉さんは奨励会4級、中井さんは2級まで行きました。清水さんは奨励会には行っていません。
 が、林葉さんの退会後の女流棋界の中心は中井・清水の二人でした。この二人の時代は長く、この間に対男性プロの公式戦初勝利も成し遂げられました(中井さんによって)。

 公式戦で勝ったからと言って、互角に追いついたという訳ではありません。女流棋士の参加枠が少しずつ設けられるようになりプロの公式戦に参加するようになって、初勝利をあげたのは実に35戦目。34連敗してやっと勝つ事が出来たのです。
 1勝した後は呪縛から解かれたように勝てるようになり、今では女流が勝ってもニュースにはなりませんが、女流のトップでも対プロの勝率は2割前後なのです。この数字ではプロとしては通用しません。

 さて、どうして女性は将棋に強くなれないのでしょう? これは考えようによっては不思議な事です。
 スポーツならば体力の差というものがあるので納得出来るのですが、将棋ならば体力など関係ない筈です。

 これは、そもそもが女性の将棋人口が少ないのが原因だと思われます。底辺が大きければ高さも高くなるのはどんな世界でも共通する事でしょう。

 将棋というゲームが一般的に女性にとっての興味の対象となり難いものなのでしょう。それでも情熱を持って、必死に努力した人もいますが。
 女流棋士の歴史そのものが浅い。女流プロの誕生が今から約40年前。プロの歴史はそれこそ400年以上にもなります。

 とにかく女性人口が少ないというのが最大のネックです。非常に環境が悪いのです。

 林葉さんなどは奨励会ではいつも一人ぼっちでした。周りの奨励会員たちも女性には不慣れで、誰も話しかけない。林葉さんも、本当は研究会仲間に入れてもらったり、練習したり、普通に会話したりする相手が欲しかった筈ですが、それが出来ない。
 そして更に悪い事に、奨励会の例会の対局となると「女に負けてたまるか」「負けたら恥だ」とばかりに、本気で潰しに来るのです。これではたまったものではありません。

 蛸島さんの世代、林葉さん中井さん清水さんの世代、その次が矢内理絵子さん碓井諒子さん石橋幸緒さんらの世代、そして現在が里美さんらの世代、と段々とレベルが上がってきて層もかなり厚くなってきました。
 矢内さん世代で奨励会で結構耐性が出来たような所がありました。里美さんが上達したのも、物怖じせずに男性に混じっていけるという性格上の強味みもあったようです。

 しかし今でも環境はそんなに良くはないように思います。もっと人数が多くならないと、女性プロの誕生は厳しいのではないでしょうか。以前は奨励会2級が一つの壁だったような感じでしたが、近年はその壁が1級までに来ているような気がします。だけど、もっと来ないといけないでしょう。
 まあ今後に期待するよりありません。

 ただ女流棋士というのは待遇の面でも不遇な時代が続いているように見えます。実力ばかりを尺度にせず、もっと改善されればいいかなと思います。

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