イルクーツクの夜が明けると、まだ昨夜の雨が続いていた。こういう日は遠出はせず、
近所をぶらついたり博物館を訪れたりするのがいい。一度途中でリストヴャンカに行く
けれど、イルクーツクには4泊するので見物を急ぐ必要はない。
さてご覧の教会は、ホテルのすぐ横にあるバガヤヴリェーンスキー聖堂。ロシア正教の
教会らしく、塔のてっぺんにはホイップクリームをのせたようなデザイン。内部の壁面に
描かれたフレスコ画が素晴らしいそうなので入ってみると。。。
なんか入っていく人が多い。そりゃあ立派な教会だから、人も来るんだろうけれど、
雨の中、花を持っている人が多いな?中に入ると、なんか人がいっぱいいて、神父が
何か話している・・・これってリアル葬式の真っ最中?まずいっ!そそくさと出る。
教会っつーのは素晴らしい宗教画や建築を見たいこともあるんだけれど、真面目な信者も
いたりするし、どうも見物に行くのははばかられる。あと我が内部は退廃しているので、
清らかなところへ行くのはどーも合わなくてなあ。
教会の向こうには「モスクワ門」が立っています。堂々たる姿ですが、なぜ川の
ほとりに門なんだろうねえ。でっかいから邪魔にならないように?門を出たら川に
落ちるって。。。
博物館のほうへ向かって街をぶらついていると、こんな建物が。なんか地面に埋没した
ように見えるんだが?窓が開かなくなるというか、雨が降ると水が流れ込んでくると
いうか?最初は面食らいましたが、これがロシア建築のスタンダードだとわかりました。
なんか一階の窓の位置がみんな低いですよね~。雪は積もらないの?積もるよね?!
これは何か立派な建物なので、めり込んでねーぞ。イルクーツクは「シベリアのパリ」
なんて言われたりするそうですが(まじすか!)、少しくたびれてきているような
印象ですね。この建物も、新築当時は華やかだったのでしょうが。
イルクーツク歴史博物館に到着しました。1884年建築の、もと学校を改装したそう
です。入場料を払うとき、ガイドブックには「写真を撮る場合には200円ほど別に
払う」と書いてあったので、切符売りのおばちゃんにそれを聞いてみると、笑顔で
顔を横に振りました。な~んだ、そんなことないんだ~、とそのときは思ったのですが、
のちのところでは写真撮影にきっちり払わされることしばしばw
おっ、入ってすぐの階段には「金沢」の写真が。何か特別展示があるのかと思いました
が、特になかったぞw
左右に部屋が並んでいるので(教室が並んでいたのでしょう)、まず手前の左の部屋に
入ってみた。講座をやったりすることもあるのかな。
なんか貴族の持ち物みたいな展示物?と思ってこの写真を撮っていたら、おばちゃんが
入ってきて何かまくしたてている。ロシア語で喚かれてもまったくわかりません~。
身振り手振りで、どうやらこっちの部屋ではなく、あっちの部屋に行け、ということ
らしい。真ん中に廊下で左右に部屋が並んでいるレイアウト、左回りではなく、右回り
で見物しろ、ということらしい。
ちなみに国内外を問わず、俺はあれば郷土博物館系には必ず入ることにしている。
そういうところは、まず他に見物人はいない。ここもそうだった。そして係員の
おばちゃん、おばーさんは4~5人もいた。その軍団は自分の持ち場が決まっており、
訪問客が来たら「ここだよ」と迎え入れ、展示室では一応遠目に監視しており、そして
「こっちに行け」と次の係員に受け継ぎをして、送り出したら仕事終了なのである。
俺は最初の部屋になかなか入ってこないもんだから、最初のおばちゃんは「何をやって
いるんだ?」としびれを切らして探しに来たのだろう。だからまくしたてたんだな。
この「受け渡しシステム」はあらゆる博物館、美術館、資料館で行われており、結構
うざかった。なぜかというと、のんびりしていると「早く来いよ」、そして「早く
行ってね」という無言のプレッシャーを感じないではいられないからである。ここでも
疲れたので途中で腰かけて、パンフレットをゆっくり読んだりしていると、「なーに
やってんだ~」という視線を感じたのである。
まあ気にすることないんだけどね。でもがらーんとしたところで、いっつも俺一人
異分子がうろついているんだもん。おばちゃんおばーさんたちは、普段は誰もいない
ので、ずっとおしゃべりをしていたりするんです。俺は井戸端会議の邪魔者なんかい。
というわけで、しかるべき最初の部屋に導かれてゆくと、ほーお、原住民の昔の生活が
展示されていて、時代順になっているんだなあ、とわかったのでした。俺がなっとく
してうなづくと、おばちゃんもニヤリ。