アクロポリスを見たあと、山から降りてアテネ中心部の繁華街へ。
すぐ下にはローマン・アゴラがあります。アゴラとは「市場」、「集会場」という
意味ですから、「ローマ時代に使用された市民の集まるところ」というわけです。
殺風景だし、外からこのように見渡せるので、入場料を払って中に入ることは
しませんでした。誰も入らない様子でしたよ^^;
ご覧の通り、大理石でできた八角形の塔が見えます。これは「風の神の塔」と呼ばれて
います。2000年前の天文学者アンドロニコスが建てたもので、日時計、水時計、風見の
機能をしていたとか。向きは正確に東西南北、北東、南東、南西、北西を示していて、
それぞれの方角の風の神様が浮き彫りになっているのです。遠くて見えないけど^^;
門だけが残っているという感じ?
観光が始まった初日からゼウスの神殿、アクロポリス、ローマン・アゴラと遺跡ばかりを
見てきたので、少々飽きてきたような・・・。
さてさて、繁華街を通ってホテルへ向かいます。
このあたりはお土産屋さんがずっと並んでいます。レストランの並んでいるところでは、
「コニチワー!」「チョトマテクダサイー!」と片言の日本語で呼び止められる。
しまいにゃ「ニイハオ!」まできたもんだ。そして何枚か、店のカードをもらいました。
「食事の時間になったら後で来てね」と、少し複雑な内容になると英語でしたw
暑い中をだいぶ歩いたので、ビールが旨いわ。Mythosはギリシャのブランド。
英国やオーストリア、チェコと違って、ギリシャ人は昼間っからあまり酒を飲まない
様子でした。ほとんどがコーヒーのようです。でも注文すれば出てきます(^益^;
ホテルはなかなかいい感じでした。きれいで広く、台所もついています。しばらく滞在
してもよさそう。
部屋に入ってしばらくしたら、こんなサービスがありました。真ん中の日本酒のグラス
みたいなの、どんなのだと思います?カナーリきつい酒なのにびっくり。俺が酒好き
なのがバレてるのか?
シャワーで汗を流し、ひと休みして夜の酒を待つ!
パルテノン神殿が造られたとき、あの三角屋根のところにびっしりと彫刻が飾られて
いました。それが切り取られて、いまはロンドンの大英博物館に展示されています。
それがコレ、見るも無残。まあこれを頭の中で合体させれば、一応想像上は完成形が
出来上がるのです。
このパルテノン神殿にあった彫刻、英国では「エルギン・マーブル」と呼ばれています。
スコットランドの貴族、エルギン伯爵が切り取って持ってきちゃったからです。
当時エルギン伯爵はオスマン帝国に駐在していた大使で、当時の皇帝に、支配下に
あったアテネの遺跡からもらっていっていい、と許可を得たのです。英国から見れば、
別に盗んだわけでもないのですが、今のギリシャから見れば「盗まれた」となるわけ
です。だって「許可したやつは、当時乗り込んできていたトルコのやつ」なんですから。
いまもギリシャは英国に「返してくれ」と言っていますが、英国はもちろん返しません。
返してやれよって思いますよね?
*そこで私が思い浮かべるのは、中国の莫高窟から発見された大量の経典・文献
です。20世紀初頭、英国の探検家がその貴重なお宝文献の話を聞きつけ、文字の
読めない中国人からはした金で買い取り、ごっそり大英博物館に持ち帰りました。
(またか!正当な取引だったと言うんだろ!)
そうなるとフランス人、ロシア人、米国人などが押し寄せ、ビラニアが襲いかかる
ように強奪してゆきました。そのなかに日本人もいました…w(゚益゚)w
あちら中国の博物館には、持って行っちゃった連中の名前と、その文献のありかなどが
パネルに書かれて展示されています。私は返したほうがいいでしょうと思います。
同じでしょ。ドサクサでさ。。。
まあキナ臭い話はさておき、この大英博物館に展示してあるエルギン・マーブルを
見て、ロマン派の詩人、ジョン・キーツは強いインスピレーションを受けて、「エルギン・
マーブルを見て」というソネットを残しました。
On Seeing the Elgin Marbles By John Keats
My spirit is too weak—mortality
Weighs heavily on me like unwilling sleep,
And each imagined pinnacle and steep
Of godlike hardship tells me I must die
Like a sick eagle looking at the sky.
Yet ’tis a gentle luxury to weep
That I have not the cloudy winds to keep
Fresh for the opening of the morning’s eye.
Such dim-conceived glories of the brain
Bring round the heart an undescribable feud;
So do these wonders a most dizzy pain,
That mingles Grecian grandeur with the rude
Wasting of old time—with a billowy main—
A sun—a shadow of a magnitude.
私の精神はあまりにも弱すぎるのだ ー 死すべき運命が
眠りたくない睡魔のように私に重くのしかかる
そして想像に浮かんでくる神のような苦しみの
高峰と高波が私に伝える。私は死ななければならないと。
空を見上げている病んだ鷲のように。
しかし嘆くのは甘い贅沢というものだ
朝の目覚めを爽やかにしてくれる
曇った空を吹く風が私にはないということを。
そのようなぼんやりと感じられる頭の中の栄光は
心に言いようのない確執をもたらすのである。
こういった驚嘆の念は、ひどくくらくらする苦しみを与え、
ギリシャの崇高さを、長い時間のもたらす荒々しい荒廃と、
波の渦巻く大海原 ー 太陽 ー 壮大なものの影とを
混ぜ合わせてしまうのだ。
2500年余りも昔に造られたスケールのでっかい彫刻を見て、キーツは自分があっという
間に死んじゃうみじめな存在だなあ、と思い知らされます。でも「俺って贅沢言ってる
なあ」と思い返します。苦しみと交わってはいるけれど、この壮大なる崇高さを味わえた
だけでも素晴らしい体験だったわけですから。
この木の形。日本ではなかなかお目にかかれませんよねェ。
よく見ると、マツボックリに灰でもかかったよう。
手前には円形劇場の跡。その向こうの建物は、先ほど見てきたアクロポリス博物館
です。さっきあそこからこっちを見ていたわけ。
40度になるような日には、熱射病で倒れる人がバタバタ出るので、いきなり
入場を制限することがあるそうです。日差しがすごいからなあ。
向こうには「リカヴィトスの丘」。後日登ります^^
エルギン・マーブルにまつわるおまけの後日談。
もともと古代ギリシャの彫刻は、古代エジプトなどの影響を受けているので白い
大理石の色だったのではなく、極彩色に、すなわち派手な色に塗られていたそう
です。それをエルギンが持ってきたわけなのですが、1930年に、「ギリシャ彫刻は
純白なんじゃねーの」というアホなやつが指示を出し、「ウケ」を狙ってぜ~んぶ
ゴシゴシやってしまったという大事件があったのです。この取り返しのつかない
愚行には、さすがに大騒ぎになってしまったのでしたw
新アクロポリス博物館を見たあと(残念ながら撮影禁止で、様子をお見せすること
はできません)、アクロポリスの遺跡へ向かいます。さすがにアテネ観光のメイン・
イベントですから、ツアー客など世界中からやってくる観光客が大勢いました。
神殿がある山へ登る途中、音楽堂がありました。161年に造られ、修復されて
現在も様々な演劇やコンサートなどが行われているそうです。観客席は6000とか。
アクロポリスは「高い丘の上の都市」という意味です。初めは要塞として造られた
ものが、次第に宗教的な施設に変わっていきました。なので高い所にある町の
シンボルなのです。
下にはアゴラ、すなわち「市場」「集会場」の遺跡があります。山の上が政治的、
宗教的な場で、下が市民の生活の場だったというわけです。
さあて、ヒーコラ坂を上がってゆくと、パルテノン神殿が見えてきました。感動の
一瞬です。紀元前6世紀頃に建てられ、その後ペルシャ軍の攻撃で破壊され
ましたが、再建されました。それがずっとあったのに、1687年、ヴェネツィア軍に
砲撃されて廃墟となってしまいました。19世紀になってからま~た再建しようと
作業が始まり、ご覧の通り、いまも頑張って修復しているのです。
横には勝利の女神、ニケの神殿があります。
ここからはアテネの街が360度見渡せます。風が吹いていて気持ちがいい。
先ほど見てきたゼウスの神殿も見えている。7月には気温が40度にもなる、
灼熱地獄だそうですが。
さて登ってきて見えた神殿の裏側に回ります。なんか裏に回ったような感じになる
のですが、実はこちらのほうが神殿の正面なのです。骨組みしか残っていない
感じなのでよくわかりませんよねー。
破風(はふ)と呼ばれる屋根の三角部分、きれいになくなっていますが、かつては
そこに彫刻が並んでいました。一部は先ほど見てきた博物館に、そして多くは
ロンドンにある大英博物館にあるのです。 頭のなかでそれを合体させ、なんとか
再構築しなければなりません。
その「頭のなかの完成」に関しては、詳しく次回に(^益^)b
遺跡見物の最初はゼウス神殿。アテネの街の中心地にあります。
ゼウスはギリシャ神話の中でも全知全能の最高神。雷をドカンと落とす、一番の
大親分です。数々の女神をはじめ、Hをした相手は数限りなく、子供の数も数え
られないほど。ゼウスの相手になった、もしくは血のつながりがあること自体が
最大のステイタスなので、その数がいくらでも増えていったとも言えます。
そのゼウスを讃える神殿、造られたときには104本もの柱が並んでいたそうです。
それがいまは15本になってしまいました。
紀元前515年(2531年前!)に着工されましたが、その後中断されて、2世紀に
なってからローマ皇帝によって完成されたのです。600年以上も間があいて
つくられたというのもすごい。
倒れた柱が残されています。倒れるときは、すごい地響きだったでしょうね~。
ギリシャのこのような柱は、ご覧のように「だるま落とし」みたいに輪切りになった
ものが積み重ねられています。真ん中に芯が通っています。こうすると、大きな
地震があってもそれぞれがバランスよくずれて、なかなか倒れないんだそうです。
ほんとに「だるま落とし」みたいですね。
完成したときは104本の柱が大きな屋根を支えていたわけですが、こうやって一本
だけを見ると、なんかモニュメントみたいで、それなりに悪くないですよね。
向こうにはアクロポリスのパルテノン神殿が見えています。アテネ観光のメインは
やはりアレですなぁ。(=゚益゚):;*.’:;
エアポートホテルの一夜は終わり、翌朝はいよいよアテネ市内へ。地下鉄一本で30分
ほど。しかしその地下鉄が30分に1本しかないのだw
アテネの中心地、シンタグマ広場に到着です。向こうに見えるは国会議事堂。
当然ですが、建物の雰囲気といい、歩いている人たちといい、アウェ~。新鮮さと
緊張感で脳が活性化(^益^)w
ホテルの朝飯は€20(=2400円くらい)とさすがにご立派なものだったのでやめて
おき、手軽なカフェもなかったので空腹。早めの昼飯にする。通りを歩いていると
こんなところがありました。
左は定番のグリークサラダ。ギリシャのサラダ、です。右は魚を揚げたものに
チップスと薄っぺらい焼きパンがついていました。なんか名前がついているんだろう
けど。どうもいつもと変わり映えしない英国のフィッシュ・アンド・チップスみたいに
なってしまった。しかし気温が高いだけにビールが旨く、料理が来る前にほとんど
飲んでしまいましたー。スタートから酔ってもなんなので、2杯目はぐっと我慢する^^;
こちらが料理を持ってきた陽気で顔のでっかいおじさん。写真撮れ撮れというので
撮ったのです。
おまいなんだ、ひとり旅かい。一緒に旅する女の子なんていないのかぁ~。
ワォッ~フォッフォ!
いんにゃあ~、女の子を連れているとそれだけで大変だよ~。気遣いの連続に
なっちまう。
たしかにそうだなぁ~~~。ぐわぁ~~~っはっはぁ~~~~!!!
それだけの会話なのに、すんごく嬉しそうに笑い続けてらっしゃいましたw(^益^)w
女の子ネタの会話が面白かったのか、サービスでスイカを出してくれました。
ビールを先に飲み干してしまったので、食後にジューシーなスイカを頂けて
とっても嬉しかったですぅ~(^益^)b
ギリシャの夏は、セミの鳴く声でいっぱいです。ミンミンゼミに似たような感じですが、
ギリシャ語なので微妙に発音が違います。
あ、よおく見て下さい。中央にいるでしょ?
ドイツ人の中年ご夫妻がセミの大きな鳴き声に興味津々。しかし彼らにはセミが
どこにいるのかわからないようで、すぐ目の前の木から大音量で鳴き声が聞こえて
いるのに見つけられず、不思議そうに木を見つめていました。
なので俺が指をさし、ホレホレ、こいつが鳴いているんだよ^^と教えてあげると、
おー!と喜んでおりました(^益^)b 一日一善!