堺北民主商工会

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美しい授業

2007年08月17日 10時37分12秒 | 世間の話
 鳥取県米子市に藤井輝明と言う人物が居る。彼は鳥取大学医学部の教授として毎日、忙しい日々を送っている。
 藤井氏は東京都国立市に3人兄弟の末っ子として生まれる。ところが2歳の時、右の頬に腫瘍が発症する。この病気は海綿状血管腫と言って、毛細血管が異常に腫れ上がり、黒ずんだ瘤になる難病。
 この病気になると急に、人相が醜く変わり、顔の形相が一変する。
 それが理由で彼が小学生の頃、当然の事ながら、大変なイジメに合う。……「お化けが来た」「近寄るな!病気がうつる」などと罵声を浴びせられた。
 しかし、輝明少年の母・ていが偉かった。
 藤井家の近所を1軒1軒、込まなく回り、我が子・輝明の病気を丁寧に説明し、イジメを止めるように説得した。そして、ある時は輝明が学校で良い成績を取って帰ったら、「立派な我が子だ」と近所を足しげく回ったと言う。
 それからと言うもの、輝明少年が小学校に通う道筋で出会う人達からは手を振って「しっかり頑張れよ!」と激励の言葉を掛けられるようになった。 
 そんな母が居たからこそ輝明少年はイジメ虐待から立ち直った。

 その時の母の言葉を藤井輝明は今でも、しっかりと憶えている。……「一所懸命がんばれば人は必ず、分ってくれる」

 彼は今、全国から届く悩みの手紙やメールに応えるため、全国を駆け巡っている。顔に大きな痣(アザ)が有り、家に閉じ篭っていた女性が藤井氏の優しくて明るい励ましの言葉を聞いて、今までの悩みから解き放され、脇目を気にする事なく、堂々と街中に出られるようになった。……こんな出来事が各地で起こっている。
 藤井氏は現在、変貌性顔面で悩んでいる人達の全国の会を結成し、積極的に社会に関わっていけるようにとサークル活動を展開している。
 そして、それ以上に彼が最も大切にしている活動は、小学校に出向いての交流会である。この交流会では彼自身のイジメ体験を包み隠さず話し、「差別や偏見を持って、人と接してはいけない」と、小学生にトクトクと言い聞かせる。
 最初は藤井氏の顔を不思議そうに見ていた小学生もやがて、彼に打ち解け、自然に笑顔が会場に満ちてくる。そして、交流会の最後に、藤井氏は必ず、自分の顔面に出来た瘤を小学生全員に触れさせる。
 少年たちは何の躊躇いもなく、彼の瘤に触れ……「柔らかかった」「暖かかった」「ポコリとしていた」等と笑顔で話す。
 そして、藤井氏も優しく「ありがとう」と生徒たちに応え、握手する。

 人を外見や風貌で判断してはならない。そして、差別や偏見を持ってはいけない。……この事を肌と肌を通して伝えている。

 こんな授業が全国の小学校で数多く、出来れていけば次の世代を担う、美しい人間社会がきっと生まれるのに!