そよかぜから-映画

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大停電の夜に

2006年11月22日 | 人間/社会派ドラマ

2005年 日本 132分
■2006.11.22 wowow
■監督 源孝志
■出演
  豊川悦司(木戸晋一)  
  田口トモロヲ(佐伯遼太郎)
  原田知世(佐伯静江)  吉川晃司(大鳥銀次)
  寺島しのぶ(杉田礼子)  井川遥(草野美寿々)
  阿部力(李冬冬)  本郷奏多(田沢翔太)
  香椎由宇(梶原麻衣子)  田畑智子(叶のぞみ)
  淡島千景(国東小夜子)  宇津井健(国東義一)

《story》

「泣かないで、本当の愛は、きっと見えてくる」

「光が消える。あなたを感じる」

クリスマスイブの夜、東京が大停電になってしまった。復旧の見通しがたたない中で12人の男女の物語が始まった。天体観測をしていた翔太が、望遠鏡を向かいのビルに向けたら、屋上に少女がいた。少女の麻衣子は、乳ガンの手術でを控えていた。二人は自転車で大停電の夜を走った。
エレベーターに閉じこめられたホテルマンの冬冬と、不倫相手を残し部屋から飛び出した美寿々。冬冬は上海に残した恋人を思い、美寿々は不倫の精算を思っていた。そんな二人が真っ暗な中で思いを語る。
美寿々の不倫相手の遼太郎は、死を迎えようとしていた父から、母の子ではなく、以前付き合っていた女性の子であると告げられる。その女性の家に電話し声を聞く。自分の今を考えながら家路に付く。家では静江が離婚届けに判を押していた。そこに緊急な用があるから遅くなると言った遼太郎が帰宅。今までなくなっていた二人だけの時間が訪れる。
出所した銀次は、礼子とともに地下鉄の列車に閉じこめられる。礼子は銀次を待つことができす、結婚して子どもがお腹にいた。そして陣痛が始まり、銀地は礼子を抱え列車から飛び出し、病院に向かう。
彼らを車に乗せ、病院に連れていったのが義一だった。義一は、妻から結婚する前に子どもを生んだことを告白する。その子から電話があったのだ。
路地裏のジャズ喫茶。昔の恋人が来なければ店を閉めるという。向かいのろうそくの店ののぞみは彼の店で始めて飲む。その店に集まるさまざまな出来事を背負う人々。静江は、そのジャズ喫茶に足を運んだ。

◎夜の停電ってわくわくしてくると思いませんか。台風が来て、夜、突然電気が消えて、あわてて懐中電灯を探したり、テーブルの真ん中に、仏壇のろうそくに火をつけて置いたり、別の別の部屋にいた人たちが集まって、わいわいがやがや始める。なんだかいつも間にか寄り添っている気持ちになる。

この12人の人たちも同じ気持ちだと思う。バラバラに向いていた気持ちが、停電になることで、同じ小さな炎に目は向いた。そして、自分やそこにいる人の心に、ふっと目が向く。今まで見ていたのに、周りが明るすぎて見えなかった心が見えてくる。そして、やさしく寄り添いたくなる。

夜は暗いのが当たり前なんだけど、人はその暗さに明かりを求める。初めは月の明かりだったのが、何かを燃やして作った明かりになり、それが電気になった。ほんの少しの明かりで良かったのに、あまりに明るすぎて、心が躍って浮かれすぎて、静かにしてはいられなくなった。いつも心が騒ぐ。ほんの少しの明かりだったら、もっとよく見ようと心を静めて落ち着いていられたのに。

昔、一人で東京に行ったことがある。どうやって行ったのか思い出せない。バイトでお金を貯めた。京都の友だちのところに行き、山梨友だちや埼玉の後輩の世話になった。アパートを転々としながら過ごした。学生時代。寝袋で寝たような気がする。今だったら、もっとかっこよく振る舞えたのにと思うこともあった。豊島園の射的で取った小さな招き猫が笑っている。

公式サイト「大停電の夜に」