あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 145 手に汗にぎる 「おお、だいじょうぶでございますか」 ホーム・ドクター。 寄る年波で、気持ちほどには、歩みは進まない。 だが、確実にその歩みは近づいてくる。 白い髭から、白髭先生という愛称を受けている、みんなに信頼されているドクターだ。 「いつもの発作ですな! 薬はもってきましたぞ」 救急Aと書かれた箱をもっている。Aとは内科的なものを詰めてあり、Bは外科的なことに有用になっている。 早瀬の歩みはなかなか進まない。 足を下におろすとき、プルプルと足が震えているのがわかる。 一所懸命だったのだ! メイドの一人が毛布をもってきた。 早瀬は冷や汗が出でいるようだ。メイドの一人が主任メイドにタオルを持ってくるように、指示した。 「だいじょうぶかしら?」 若いメイドが言おうとしたら、年老いたメイドは目で彼女を制止した。 同じ言葉でも、それが真にこもっているか、どうかは大きなことである。 若いメイドは、気軽にいったので反感をかってしまったようである。 そう、若いメイドは他人ごとのように言ったので、他の人たちの反感をかったのだろう。 ここの人たちはまるで、自分のことのように、心配してやってきているのだ。 ただ、見つめるだけだが、みんなは静かに手に力を入れている。 まさに手に汗にぎるとは、このことである。
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