あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 144 喘息 『人間は自然を支配したのではなく、自然を支配なんて思うやつは自然を破壊しただけだ』と小一郎がよくいうことだ。 茜の足は自然に一歩前にでた。 カップの中の紅茶がこぼれかけた。 半分ほど、飲んでいたから、床にこぼれたり、服を汚すことはなかった。 早瀬が、咳こみはじめた。 --持病の喘息が彼をおそっているようだ。 妻が走ってきて、大きな声で『大丈夫』と叫んだ。 妻は梯子に沈着冷静にのぼっていく。 夫の体をつつむようにしていた。 茜は梯子の下にきた。 「お嬢様、大丈夫です。ご心配をかけてすいません」 妻は巨体を動かしてお辞儀をしている。 「いいえ、それより、気をつけて」 「はい。あなた、お嬢様まで心配してくださったわよ。もう安心よね。一歩ずつ下におりていくのよ。わたしが体をささえているから、あなたは一歩ずつ降ろしていくのよ。右から、右足からにしましょう」 茜は梯子が揺れるのを抑えようと、梯子を押さえつけていた。 それをみた斉藤や中根もやってきた。 「担架、担架」 「医者もだ!」 「もう、電話をかけたわ」 「みなさん、もうし分けありません」 「そんなこと気にするものじゃない。しっかり! がんばれ!」 男と女の声が入り乱れる。
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