あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 309 自分とケンカしても勝てない! ……でありんす! 小一郎の様子がいつもと少し違う。 どうしてなのだろう……。 それとなく聞きだそうと考えたオカネスキー。 「小一郎殿、本日、宝くじが当たったでござるよ」 「へえー!」 驚く小一郎。 「三千円だけでござるが!」 「三千円円ってすごいですよ。ボクなんて宝くじを買う資本もありませんよ」 切ない小一郎である。 「本日は、拙者がおごるでござるよ」 「おごるでありんす! の方が楽しいのになあー」 「あらー! やっぱり!」 「うん、今のオカネスキーさんには、ぴったりだよ」 見抜かれている感じがするオカネスキー。 「どちらにしても、おごるでありんす!」 「いい、そのありんす! の方が板についているでござるよ」 「そう……」 そりゃ、そうでしょう。この何十年も使っている言葉なんですから……。 女尊男卑の世界から来たオカネスキーは思う。 「まだ、飲んでいいんだ!」 「そうでありんすぅ!」 「ひゃっほ~♪ かたじけないでありんす」 しかし、小一郎はなかなか悩みを話さない。 「自分を責めるのは、ほどほどにした方がいいでござるよ。自分とケンカして勝てるわけがないでありんすよ」 「自分とケンカ……」 「そう、今の日本の世の中では、自分とケンカしている人たちがいるでありんす。そんなことをしても勝つことはできないでありんす」 「そうだろうなあー。もし、自分を倒したら、ボクが倒れるんだもんね」 「その通りでござる……」 もしかしたら、あの放火した男も、通り魔も自分自身とケンカした結果じゃないだろうか? そう小一郎には思えてきた……。 「もうしないよ……」 オカネスキーは小一郎の顔を見て安心した。 しかし、小一郎の悩んでいたのは、井藤美咲さんとつきあいたいと真剣に思っていたのだ。 そんなことを話したら、きっとオカネスキーはあの角刈りで、焼酎をイッキ飲みする女! あんなの好きなのと驚くことだろう……。 もちろん、女尊男卑の世界のことである……。 ピストン小西はやはりファンであるが……。
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