総理がコジキでコジキがソーリィー![]() 085 ノンゼロサム 「そう、逃げてきちゃった。今までどうして、そんなことも考えつかなったかわからないよ」 「逃げてきたのかあー。ぶん殴ってやったらよかったのに」 するめを口にした吉谷が口を出した。彼も老人のホームレスである。 「だめ! ぜったいに、そんなことをしてはいけないんだ。“いじめ”は、対等じゃないんだ。相手は集団だったり、力が強かったりするもんなんだあー。自立自助の精神のあるアメリカ人でさえ、闘うな! と教えているくらいだ。もし、無責任に闘って、今以上にこの子がいじめられたら、吉谷さんはどうするつもりですか? テレビの無責任な文化人のように、何の責任もとらないのに、自分は偉いとだけ思って、自分は闘って勝ったなんてアドバイスする人がいるけど、負けたらどうするんですか? “いじめ”なんかするやつは、そんなフェアーな精神はないんです。そんなやつとは闘わないことが肝心なんですよ」 「そうよ、ソーリィーのいう通りよ。わたしが留学したイギリスでも、そう教えていたわよ」 「へえー、ねえちゃん、イギリスに留学なんて、すごいじゃないの。お金持ちなのかい?」 「そんなことはないわよ。“いじめ”はイギリスでも問題になっているのよ」 「なんだなあー。“いじめ”なんて陰湿なことは、日本だけのことかと思っていたよ」 「陰湿かあー。そうだよなあー」 「俺は陸軍にいたんだけどさあー、軍隊の“いじめ”もすごかったよ。もう言葉にできないよなあー。思い出すだけで嫌になってくる。ホームレスになって、悲惨な生活をしている現状だけど、あのときよりは気持ちは楽だね」 「こっちも大変だよ」 「そりゃー、そうだよなあー」 「ゼロサムとは違う考えってあるのかな?」 三沢少年はソーリィーに質問した。 「あるよ、ノンゼロサム。つまり、経済だね。お互いに繁栄しようというものだ。ゼロサムは今の政治だね。相手より少しでも優越しようとしている」 「そうだよね、何か威張っている人たちが多い。優越ってそういうことでしょう……」 「まあ、似たようなもんだ。ノンゼロサムなら、共存共栄という言葉もいえる。軍事というのも、相手より優越しようとお互いに思えば、ゼロサムになるという」 「ぼくもノンゼロサムで生きていきたいなあー」 「そうだね。政治家もそうあって欲しいわあー。中国のとう小平は生き残ったけれど、ソ連のゴルバチョフが失脚したのは、その差だという人もいる……。たしかにゴルバチョフは政治的だった……。とう小平は共存共栄だった……。政治的には自由平等だったのはゴルバチョフだったけれど……」 「ゼロサムの政治家たちが、いばっている社会ではパイが小さくなっていく……。クラスも同じことだろうなあー」 「ゼロサムなんて、いい格好をしているが、それは“ごうつくばり”ってことだろう。サラ金会社みたいな奴等ばかりだよ」 「イメージは違うものでも、質は同じものだろう……」 ごうつくばりの政治家、ごうつくばりのマスコミ、ごうつくばりの学者、ごうつくばりの行政マン、ごうつくばりの企業家、日本は“ごうつくばり”国家にいつなったのだろうか?
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