天使のエナジー

「すべてなるものの源」への、愛の告白

「祈り」のチカラ

2009-03-06 18:44:47 | ブックレビュー
ブックレビュー:
『人は何のために「祈る」のか
 生命の遺伝子はその声を聴いている』
(村上和雄・棚次正和著、祥伝社)

「祈り」について、あなたはどんなふうに考えていますか?

“祈りなんて、何の役にも立たない。”
“いくら祈っても、状況は変えられない。”
“祈ることなんて、ただの気休めに過ぎない。”

この三つのセリフのように、その力に対して否定的な捉え方
をしている人もいるでしょう。

私も、ほんの1年ほど前までは、「祈り」の力について、あまり
信頼してはいなかったように思います。

もっと詳しく言えば、「祈り」のときの心の持ち方そのものに価
値があるのだという考えから、「祈り」を全く無意味なこととまで
は考えていなかったものの、祈るという行為によって実際に何
かが変えられるなどということは、まともに信じてはいなかった
のです。

しかし、最近では、「祈り」の発揮する力について、科学の目に
よる検証が、さまざまな形で行われているようです。

この本(『人は何のために「祈る」のか』)の著者の一人、村上
和雄さんも、京大大学院(農学研究科)出身の科学者(主な業
績は高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読)ですが、
専門の遺伝子の研究をする中で、心のあり方が遺伝子の働き
に影響を及ぼしていると確信するようになりました。

それで、2007年より、もう一人の著者である宗教学者、棚次正
和さんと共同で、「祈り」という行為によってどの遺伝子のスイッ
チがオン、オフになるのかというテーマの研究を始めたそうです。


この研究の成果が出るのはもうしばらく先になるでしょうが、この
本の中では、この分野の研究がもっと進んでいるアメリカの例
がいくつか紹介されています。

例えば、次のような研究結果があります。

重い心臓病患者393名を対象に、一人一人に向けて回復の祈
りを行い、祈らないグループとの比較をしてみました。そうしたら、
祈られたグループの患者群は、祈られなかったグループの患者
群より、明らかに症状が改善されていました。祈ることが何らか
の形で心臓病を患った人たちに良い影響を及ぼしたと報告され
たのです。(同書、18~19頁。)

この研究では、患者たちはもちろん自分が祈ってもらっていると
いうことは知らされていません。ということは、よく指摘されるプ
ラシーボ(偽薬)効果では、この祈りの効果を説明することはで
きないわけです。

アメリカでは、このような、「祈り」の治療効果についての研究例
が、すでに1,200を超えているそうです。それほど多くの科学者
が「祈り」の効用に注目しているとは、興味深いことですね。

この本はさらに、「祈り」に関わるさまざまな問題を取り上げてい
ます。例えば、誰に対して祈ればいいか、どんなことを祈るべき
か、どんな言葉で祈るか、などなど…。

その中で、私にとって特に印象的だったのは、これまでの研究
で、「祈りの効果と宗教とは関係ない」ことがわかっているとい
うことでした。(同書、63頁。)

私たちは「祈り」というと、とかく宗教と結びつけて考えてしまう
場合がありますが、特定の宗教の形をとらなくても、「祈り」の
力はちゃんと顕れるのです。それなら、祈るために何かの宗
教に入信しなければならない、と思い悩む必要もありません。
ただ、心を込めて、祈ればいいのです。

そして、これが一番大切なことかもしれませんが、何を祈るか、
ということについて、この本はこう提言しています。

「大切なのは祈り続けること」、であると。そうすると、「不調和
な思い(妬みや恨みなど)が混じった願いや私利私欲のみ求
める願望などは、祈り続けていくうちに自然消滅するはず」(同
書、166頁)だというのです。

つまり、祈り続けることによって、その人自身のレベルが上が
り、他人や周りの世界、ひいては宇宙全体を包み込む、大き
く深い祈りができるようになるということなのです。

私も個人的に、毎日祈る習慣を持つ前と後とでは、自分の中
で確かに変化があったと感じています。そして、前よりも今の
自分が好きだと、確実に言えます。

毎日、ほんの数分でもいいのです。「祈り」のチカラをあなた
自身で感じてみませんか?