オーリアンズと聞けばああ70年代に出たあのヒット曲、Dance With Meを思い起こすかも。
1972年にバンドの中心メンバーとなるジョン・ホールらがアメリカ東部のニューヨーク州、ウッドストックで結成。
(ジョン・ホールにホッペン兄弟とウェルズ・ケリーの4人組)
翌年セルフ・タイトルのデビュー・アルバムをあのマッスル・ショールズ・スタジオで録音し、ABCーDunhillから発売するもするも全く注目されなかった。めげずに1974年にセカンド・アルバムを録音するもABCレーベルからダメ出しを喰らい、アメリカでは発売されず、ヨーロッパと日本でのみOrlians 2としてプレスされた。
そんなこんなで、バンドはアサイラム・レーベルに移籍し1975年に3枚目のスタジオ・アルバム、Let There Be Musicを出す。セカンド・アルバムに収録されていたDance With Meを再録しシングル・カットしたところ全米6位の大ヒット。またアルバムも全米33位と大健闘。続く4枚目のアルバム、Walking And Dreamingも全米30位とヒットした。
ところが、ジョン・ホールはバンドとして成功を収めたものの、オーリアンズのそもそもの芸風であるR&Bスタイルのロックンロールがウエスト・コースト系AORに変遷したことによる音楽的方向性の違いでバンドから脱退。
中心メンバーがいなくなったバンドはアサイラム・レーベルから離れバンド再編のため暫しの間休憩となる。
そんな中、何を思ったのか旧所属レーベル、ABCが1978年突如、オーリアンズのファースト・アルバムとアメリカで発売されなかった幻のセカンド・アルバムをカップリングした2枚組コンピ・アルバム、Before The Danceを発売。
(1979年にアメリカのタワレコで買った米盤。日本みたいに1枚売れれば売り場の棚にまた1枚補充ではなく、数多くの売れ線アーティストの新譜アルバムがそれぞれ平積みでずらりと売り場に並べ置かれていた日本上陸前のタワレコには驚いた。)
(幻のセカンド・アルバムがサイドCとDに全編収録されている)
一聴して米チャートを賑わすかと問われれば当時のレーベルの判断通り少々地味な味わいかもしれないけれど、ファーストのマッスル・ショールズでの録音とかセカンドのNY録音は結構洗練されたアダルトなR&Bの味わい良さがあって捨てがたい。
ABCレーベルも後日その辺りを理解したのか、遅ればせながら再発したのだろう。
またアルバム・タイトルが、Before The Dance 、即ち“Dance With Meがヒットする前”と少々自虐的な感じがなかなかよろしい。
ちなみにセカンド・アルバムに収録されたオリジナルのDance With Meはアコギをベースとしたアレンジで、のちに大ヒットした焼き直しバージョンのアレンジよりこちらの方がオイラの好みですかね。
それから、ジョン・ホール氏が2007年、なんとNY州から下院議員として選出され、After The Danceの方が更にすごいことになっていた。