雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

就活あれこれ 番外編

2010-07-31 | 雑記
 運送会社の面接に行ったとき、自分の他に三人同時に面接を受けていた。その日の面接は大まかなもので、後日個人個人に面接を行うということであった。
 前にも書いたのだが、このとき私は柄もののポロシャツにジーンズという出で立ちで、自分の後にやってきた二人が「それ、サイズがあきらかに合ってねーだろ」という代物ではあるがちゃんとスーツを着て来ているのを見て、「おいおい、たかだか運送屋の面接にスーツかよ(笑)」と完全にナメきった態度であった。なにしろ、私の前に来ていた人が白のポロシャツにジーンズといった格好であったので。
 しかし、この白ポロシャツ(以下白ポロ)なんとなく様子がおかしい。というか、あきらかにちょっとビミョーな匂い漂う人。年の頃は三十前半くらいだろうか、とにかく目が怪しい。緊張しているのかなんだか知らないが、待ってる間に出されたコーヒーにも一切手をつけず(ちなみに私は余裕ぶっこいて飲んでた)なんだか話しかけられる雰囲気もない。そういう感じの人だからか、後の二人がスーツを着ているのをみて尚更緊張度が増した様子であった。いやしかし、やっぱり面接なんてものは緊張してなんぼのような気もする。スーツ二人も殊の外緊張している様子であった。私はといえば……たとえば、映画館で悲しい場面になったとき周りが泣いていたらもう、自分は泣けない。たとえば、何か気に食わないことがあっても、自分のほかに誰かが怒っていたら、もう自分は怒れない。そんなふうに周りがそういうふうになってしまうとなんだか冷めてしまう性質であるので、このときもまったく緊張していなかった。それは言い換えれば「ナメてる」のかも知れないが、結果がどう転ぶかは転がってみなければ判らない。ライクアローリングストーン(?)
 そんな具合であったので、いささかよそ見なんかもしてしまって、すると図らずも各個人の前に置かれている履歴書の端緒なども見えてしまう。何気に白ポロの職歴欄に目がいった。上のほうは資料で隠れているので全部は見えないのだけれど、下のほうははっきり見える。というか、こんな下のほうまで職歴あるってどうよ? オレなんて学歴職歴スカスカだってのによ……と思いながら最終職歴を見てみると、

平成22年 5月 株式会社○○入社
平成22年 5月 株式会社○○退社


 いやいやいや。それ、
 書かねーほうがいいんぢゃねーか?

 正直なのはいいかも知れないけれど、あきらかになんか問題があったんだろ? と勘ぐられるのは間違いない。尚且つ、その会社は今回面接のこの会社と同職種の運送会社である。
 まあでも、結果がどう転ぶのかは転がってみなければ判らない。


 結果、採用人数2名に対して募集は私を含めて6名だったそうであるが、昨日の研修で一緒にいたのは、別の日に面接を受けていたミヤモトくんという子であった。
  
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退職届

2010-07-29 | 雑記
 あれこれの就活の末、給料はそれなりにいいのだけれど就業時間(残業)がやたら多いぜ、というか毎日の残業代で給料がよくなるシステム……(まあ、それはそれでカミさんと顔を合わす時間が極端に減るのでよしとして)と、そんな塩梅の運送会社への転職が決まった。
 従って、現在休業状態にある今まで勤めていた会社に退職の旨を告げにいった。無論、就活を始めたときから、転職先が決まったら辞めますとは言っておいたので、お互いに「ついにこの日が来ましたか」という感じで、殊更に別れを惜しむようなことはなかった。が、やはり八年もの間勤めてきた仕事場である。自分のロッカーに蓄積された荷物に八年の歳月を見てとると、やはり感慨も湧いてくる。八年間、雨にも負けず、風にも負けず、しかし雪とか暑さにはほとほと参りながらも、なんとか立ち続けてきた自分の仕事場、この数ヶ月稼働することのなかった、またこれからも果たして稼働するのかどうかはわからない、担当の機械。だいたいがルーチンワークだったので仕事上の色々の思い出というのはパッとは浮かばないけれど、一日かけて機械の故障を直したことや、ヘタ打って機械に殺されかけたことなど、掘り下げていけばそこにはもちろん八年分の日々がある。

 休業中なので、従業員仲間の姿はない。黙っていなくなるのは少し心苦しいが、まあ今生の別れということでもないのだし。とりあえずは、社長と奥さんに永い間色々とお世話になったことへの感謝の言葉を伝え、退職届を渡した。
「またいつでも遊びにおいで」
 奥さんにそんな言葉をかけられながら、私は幾度も礼をしてその場を後にしようとした。そのとき、会社で飼っている黒猫が「にゃあ」と一声鳴きながら私の足元にぶつかりつつ、ひょろひょろとやってきた。こいつは私がこの会社に入ったときに一歳であった。ということはもう九歳。猫的には、かなりの老描なのであろうか? 久しぶりにみたそいつは黒毛に昔ほどの艶もなくなり、かなりやせ細っていた。今まで、特に可愛がるというよりも、何気に、そこらに居たらちょこちょこ撫でるくらいであったが、やはり愛おしさは湧いてくる。
 猫とはいえ、向こうも少しは自分とのお別れを気にかけてくれたのだろう。私が彼の「にゃあ」に「あばよ」といったニュアンスを感じ取ったのは、気のせいではあるまい。しかしながら、振り向きもせずに餌箱に向かっていく後姿を見ていると「にゃあ」は「どけよ」の意だったような気もしなくはないように思えてきたので、早々に辞した。
 
 
 
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就活あれこれ 其の参

2010-07-27 | 雑記
 どうも、35歳以下の求人に募集した36歳です。
「ギリ大丈夫っすかね?」
 職安の方に訊ねてみたら、「一応、向こうに訊いてみましょう」と、求人の会社に連絡をとってくれた。最初は少し、渋っていた様子であったがなんとか面接を取り付けた。
 しかし職安の方曰く、「ここにはもう、11人の方々が募集かけられておられます。そしてみなさん35歳以下です」と。募集定員は2名。
 とにもかくにも、面接を受けてみなきゃ判らんでしょーが。
 そしてその日の夕方、面接に行ってきた。
 面接はとどこおりなく行われ、「採否は三日後にご連絡します」。

 三日後というのが、昨日。朝から何かと電話を気にかけていたら10時ごろ電話がきた。出てみると、三発目に受けた運送会社からで「明日の13時に面接を行いたいと思いますが、どうでしょう?」
 正直、この時点ではこの運送会社に勤めようという気はかなり失せていた。というか、もう駄目だったんじゃねーの? と思っていたので、なんだかまたしても二股状態に陥ってしまった。しかしながら、本日かかってくるはずの四発目の会社に採用されるかどうかなど、判ったものではないし、まあとりあえず、ここは「はい」と言っておいてもし四発目が採用だったらこの運送会社は蹴ればいいーや、いっしっしっ……。
 瞬時にそう目論んだ私は、いささかなおざりな調子で明日の面接を了承した。

 そうしてドキドキしていたら、お昼過ぎに四発目から電話がかかってきた。結果は、不採用。
 うおぅっ! ということは、明日の面接、ナメてかかっちゃいけねーってことか。だがしかし。かなり気がそがれてるのも確かなのである。ならば、ここはひとつ、明日の朝(すなわち今日の朝)もう一度職安へ行ってみて、他にいい仕事がないか、もしあったなら、まあ、蹴っちまおーか、いっしっしっ……。

 そんな目論みを立てて、朝イチの職安へ行ってきた。
 いや、しかし、みなさん。この空前の就職難をナメてはいけません。(ナメてるのはオレだけか)なんだか、いつにもまして人があふれかえっている。そしていい仕事なんて、そうそう見つかるものでもない。
 結局のところ、今日面接を受ける運送会社にすがるしかない、と腹をくくった。いやまあ、こちらが腹をくくったところで向こうが蹴っ飛ばす可能性があるのだね……。

 と、まあ、様々な想いにとらわれながらも面接を受けに行くと、なんのことはない、向こう様には「ぜひ、がんばってもらいたい」と言われた。
 こちらもなんだかその勢いに乗せられて「はい、よろしくお願いします」と言っていた。

 ということで、どうやら運送会社に決まりそうなのであった。
「そう」というのは、一応、面接官の方はもう自分は決定なのだけれども最終的に判を押すのは、当然のことだが社長様なので、確定はもう二、三日かかるとのことなのである。

 ともあれ、社長様にもなかなかお目通りが叶わないほどの大きな会社というのはこれまでに経験したことがないので、気をひきしめて頑張らなければなぁ、と思った次第である。
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読んだde書

2010-07-27 | 小説
    


    


        

   

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親父の自慢

2010-07-24 | 雑記
 先月、父の日にボクサータイプのブリーフを親父に贈った。
 ところがしばらく経って、それがどうにもキツくて自分には無理だ、穿けやしない、などと言いやがる。
 こちらとしては、永年の怠惰な生活により見るも無残な腹まわりになっている親父に考慮してMAXサイズをプレゼントしたにもかかわらず、だ。
 腹立たしいので現在、親父が穿いているトランクスの表示を確認して、
「ほら、これよりもサイズが大きいぢゃねーか。大丈夫、穿けるって」
 と、ごり押ししてみたのだが、我が親父はぬけぬけと、
「チンポが大きいからキツい」
 などとのたまいやがる。

 知るかボケっ!

 なに息子にムスコの自慢してやがるんだ。

 しかも、だ。こともあろうに「オマエにやる」とか言い出す始末。
 半ば腹立たしいものの、なんだかもう、あきれ返ってツッコむ余力も残っていなかったので、すごすごと持ち帰った。

 それで今、穿いてみているのだが、一向にチンポにキツさが感じられないのでとても癪にさわる。
 勃てばそれなりだとは思うのだが……

「へへっ、まだまだ親父は追い越せねーや」

 などとある種の感慨を覚えるはずもなく、ただただ腹立たしいばかりなのである。
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就活あれこれ 其の弐

2010-07-22 | 雑記
 結局のところ、二股云々で無駄に悶々していたのは本当に無駄であった。土曜日の夕方に二発目の会社から不採用の連絡が入った。
 ちょうどその日の午後のことであるが、三発目の運送会社のお達しで「運転適正検査」を受けに行った。運転業務に従事するためには、なにはともあれ、まずその適正を判断してそれから面接を行うのだという。
「運転適正検査」を受ける場所は金沢駅西口を出てすぐ目の前にある大きなビルの中であった。正直、自分みたいな奴には一生、縁もゆかりもなさそうな瀟洒なビルヂングであったのでまるっきり田舎者のように外観を仰ぎ慄き、不審者然とした挙動で恐る恐る中に入っていった。土曜日ということもあるのだろう、ビルの中はひっそりとしていた。なんだか、映画でしか見たことないようなビル内は、いったいぜんたいどこをどう進めば目的地に辿り着けるのか? 軽度の方向音痴はここでも遺憾なく発揮され、時折すれ違うスラッとしたおねぃさんやパリッとしたおじさまに不審な眼差しを浴びせられ萎縮していた。
 ようやくのことでエレベーターを見つけたものの、そこだけでエレベーターが六基くらいあって、どれに乗ればいいのか逡巡してしまう。まずもってしてこんなにエレベーターがたくさん並んでいるのを見るのはオラ初めてだってばさぁ。
 二、三度いらないところを進んだもののなんとか「適性検査」を実施しているフロアに着くと、指定された三十分前にもかかわらず、受付けをすると同時にさくさく課題を与えられた。
 一昔、いや二昔前くらいのゲームセンターにあったレースゲームのような、目の前に画面があって、もうパワーステアリングを通り越して、どうにもぐらんぐらんなハンドル、左右にボタン、右横に0から9までの数字が書かれたボタン、そして右足元にカックンカックンのアクセル。そんな装置が六つ並んでいるところに座らされ、ヘッドホンを装着させられる。
 係の人が言う「ヘッドホンから説明が流れますので、よく聴いてその指示に従っていってください」。ラジャー。
 ちょっと、詳細は省くが、まず一発目から説明をよく聴いてなかった私は係の人から怒られた。
「ちゃんと説明聴いてくださいね!」
 ら、ラジャー……。
 が、なんだかよくわからないうちに最初の検査? 試験? いやなんかゲームっぽい。それもファミコン以前の、ゲームウォッチ系。
 そういうのが、まあ何種類か、ゲームさながらレベルアップしながら行われるのだ。さて、ここで、ひとつ言っておきたいのだが私はゲームが苦手だ。まったく要領を得ないのはおろか、いったい自分が何をすればいいのかコントローラーと画面の意識が直結しないのである。そんなのだから、最終のハンドルを操作して左右の障害物に当たらずに進むという試験では、始終「障害物に当たりましたぜ」とでも言ったような「ブーブー」うるさい音がヘッドホンから鳴り響いていた。

 さて、それが済むと次は視力の検査になる。視力には自信がある。近頃老眼の気味は出てきているものの両目とも2.0を自負している。
 まず最初のオーソドックスな視力検査はなんなくパスした。次に名前は忘れたが三本の線が一直線になったらボタンを押す、という検査があって「やったことあります?」と訊かれて「ああ、なんとなく」と言ったのがいけなかった。はっきりいって、座ったはいいがわけがわからなくってただぼんやりしていたら係の人に怒られた。
「だから、わからないんならちゃんと説明聴いてくださいね!」
 あい、すみまてん……。
 ともあれそんなこんなで視力のほうも済み、次は筆記試験。これはまあ、性格だのなんだの、一種の心理試験というか性格判断みたいなものであるので、多少の嘘と正直さでいい人をアピールしておいた。

 すべての検査が終わり、最初のゲーム機にまた座らされた。画面に診断結果が出るのだという。程なくグラフになってでてきた私の運転適正は、すばらしいものであった。
 ゆずり合いの心、思いやりの心、状況判断、等々……五段階で示されているのだが、ほぼ四か五である。ただ、ひとつをのぞいては。
 それは、いちばん下の「反射神経」だったか「素早い判断力」的な項目が、なんと「レベル1」である。だいたい、自分と同年齢の平均値は三とか四である。まあ、そうだろな、と。
 なにやらヘッドホンからは説明が流れてくるのだが、なんだかもうどうでもいいや、と思ってあまり真剣に聴かなかった。
 それがまた、いけなかった。
 ああ、これで、帰れるんだ。これでただの男に。帰れるんだ、これで、帰れるんだー。おー、らいららいららいららいららい、らいららいら……などとアリス状態になっていたら、最初からなにかと私を怒っていた係の人に呼ばれて面談みたいなものになった。
 まずその人が訊く。「診断結果の説明、おわかりになりましたか?」
 やべ、聴いてねーし。
「はぁ、まぁ、えぇ……」とりあえず曖昧に誤魔化してみたものの、
「ちゃんと聴いて、理解したうえで改善していかなければなりません」
 なんだかまた怒られた。
 それでもなにかとその人の話に適当に相槌をうったり、殊勝な感じで「はぁ」などと頷いていたら、係の人が突然にっこり笑ってこう言った。
「貴方は慎重に、物事をよく考えて行動を起こす人なのですね。決して反射神経が鈍いとか、運動能力が劣っているわけではありませんよ。運転には咄嗟の判断も必要ですけれど、それに慣れてしまうのがいちばん危険なのです。ですから、運転のお仕事をされるうえでは、あなたのその慎重さはとても大事なことなのですよ」
 うわ、なんか完全に慰められてるよ……オレ。

 
 とにもかくにも、この「運転適正検査」の結果が運送会社に送られて、そののち本格的な面接を行うということであったが、未だ会社から連絡は来ていない。 
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電気保安協会からのお願い

2010-07-19 | 雑記
 先日、マンション各部屋の電気ブレーカーを点検すべく、電気保安員(たしかそんな名称だった)が訪れた。
 午前中、10時頃だったか……さて、出掛けようと思って玄関を開けたところにちょうどやってきたのでいささか面食らった。向こうもいささか面食らっていた。
 さても、向こうは「お忙しいところすみません」と前置きしながら点検の旨を告げる。まあ、こちとらそれほど急いでいるわけでもないので「ああ、どうぞ」と室内に設置されしブレーカーに案内する。
 そこは光の届かぬひと隅なので日中でも暗い。私は気を利かせてライトを点けたら、点検のなにやらで、「あ、電気消してください」と無下に言われる……。
 一分もかからぬうちに、特に異常はありません、との診断を受けた。しかしながらその後の説明、というか注意点が長い。何を言われていたのやら、ぼんやり聴いていたので、というかほとんど聴いていなかったので知らないけれど、途中にブレーカーの大元に妙なものを付けさせられ、(保安員のおじさん、背が低くて届かないので私が取り付けさせられた)

  

「もしこのマンションが倒壊するような大地震が起きたら、まずコレを引っ張ってブレーカーを切ってから逃げてください」
 と、お願いされた。


 いやいやいや!

 マンション倒壊する事態に陥ってる状況で、誰がブレーカー気にかけるよ。申し訳ないが、まず一刻も早く脱出を試みると思うよ。
 と、ツッコミたかったがとりあえず「了解」と告げておいた。

 
 後日、なにかとこの三角がぴらぴらして鬱陶しいことこのうえないので撤去した。
 
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告知する、夏

2010-07-17 | 雑記
 昨夜、梅雨明けを告げるにしても程があるだろう、といった具合の壮絶極まれし雷がパッシンパッシン、およそ三十分くらい、ほぼ間断なく近所にその轟音を轟かせていた。
 最初の稲光と轟きに身をすくめてからずっと、その豪胆たる自然現象に見惚れていた。とにかくもう、近くならば目の前でフラッシュをたかれたようになるわ、少し離れたならばジグザグの軌跡がくっきり拝めるやらで、飽くことなく、自然の脅威に魅入った。そして畏れ慄いた。
 あの閃光に、身体をつらぬかれたなら……。
 そう考えるだけでとても恐ろしく、またそれを増長するかの如き地響き。ヘソを隠したところでどうにもならないと思った。
 程なく大量の雨が降ってきて、稲光も遠のいていくと、すーぅっと細い風が網戸ごしに入ってきた。
 
 今朝はまた、暑苦しいことこのうえなかったが、どこからか蝉の声が聞こえてきた。そして昼からの空にもくもくとした入道雲を見つけた。 
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渚へ

2010-07-16 | 雑記
 今日は朝からすこぶる暑かったので、ちょっと車を走らせて、海へ行ってみた。

   


 ここは川と海のちょうど境目なので、反対方向にはこんな光景も見られる。

   


 海というよりは、どちらかというと川の趣に近いのは砂浜がないせいであろうか。

   


 足元はごつごつとした石っころばかり。周りを見渡してももちろん海水浴や日焼けに興じるギャルなどもなく、ただただ海とも川とも知れぬ、水流に釣り糸を垂らすオッサンばかりである。

 いや別に、ギャルの水着姿が拝みたい! とか、そういう不純な動機があったわけではない。
 朝起きると、海がオレを呼んでいた……そう、ただそれだけさ。


 と、いうわけで、ここからもう少し行ったところにある、なんでも日本の海浜百選だったかなんだったかに認定されている海水浴場に海綿体欲情させに向かった。


   


 海開きまではまだ間があるようで、閑散としていた。

 しかしながら、こんな閑散とした日本百選海浜に一人の色白ぽっちゃり青年が、夏に向かってジタバタとクロールの練習をしていたのが微笑ましいような、見苦しいような、そんな灼熱の昼下がりを味わえたのでよしとする。

   
   
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就活あれこれ

2010-07-15 | 雑記
「就活!」などというとなんだか気を入れてやっているような趣があるが、なんやかやと手当てを頂戴しながらの活動なので、まあほどほどに「新しい職探しておま」みたいな力加減。それでもそろそろ時勢の厳しさがひしひしとこの身に沁み入ってきた模様の今日この頃に、ふと思い返してみる僅かながらの就活らしきものごと……。
 一発目の物流会社は、書類選考で落選かよ。面接すらなく、一週間後に履歴書が送り返されてきた。
 二発目の家具配送会社は、履歴書を送ってから二週間後に面接の日時を言い渡された。あまりの遅さに三発目の運送会社に申し込んでいた。
 二発目の会社の面接が今週の初めにあり、「今週中に合否をお知らせします」と言われたが未だ連絡なし。その状況下で今日三発目の会社へ面接。
 どっちも駄目ならそれでもいいが、どっちも採用だったらどうしよう、と、いらぬ妄想二股に頭を悩ませている。

 それにしても、今日の面接希望者。自分を入れて四人だったのだけれども、二人はスーツ、二人は私服。いくら運送会社の面接とはいえ、やっぱりポロシャツにジーンズはナメすぎであろうか? 俺。
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読んだde書

2010-07-15 | 小説

   


     


   

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スキンシップ

2010-07-03 | 友人
 買い物を終えた後、妻が「うんこしたい」と言い出した。私に妻の便意を妨げる権利などどこにもないので「してこいよ」と優しく促した。便所はスーパー入り口にある。私は両手に食料品を詰め込んだ重い袋を携えて、妻を待つ。何気なく、その付近に目をやると見知った顔が見えた。友人Tの妻、Mちゃんが赤ん坊のYを抱っこして佇んでいた。私は早速ちょっかいをかけにいった。向こうもすぐに気付いて久方ぶりの挨拶を交わした。その際、赤ん坊Yにスキンシップをはかりたかったのだが、あいにく両手がふさがれている。仕方ないので顔を近づけてみた。Yは健全な男の子なので流石に頬擦りなどは躊躇われる。向こうもこんなおっさんの頬は厭であろう、必然的におでことおでこを合わせるという妙な形態をかました。
 ほどなく、父Tも現れなんやかやと近況を話していたら、Tが「Rちゃんは?」と私の愚妻の行方を尋ねてきたので「ああ、うんこ」と私は苦々しく言い放った。
 まさかうんこをしていたのをバラされているとも知らずにぬけぬけと現れた臭い愚妻は屈託のない笑顔で私たちの輪の中に入ってきやがった。
 なんだかんだといいながら、主役はやはり赤ん坊にいくもので、私もここぞとばかりにYにスキンシップを求めたくて先ほどみたいにおでこを摺り寄せていくと、うんこ愚妻が言うに事欠いて「やめろ、バイ菌がつく」などと私をバイキンマン扱いしやがる。大体において私は妻から不当なツッコミを受けることが多々あるが、これは酷過ぎやしないだろうか。それに、今さっきうんこしてきたばかりの奴に言われたくないことである。
 まったくもって腹立たしさが募ってしまい、いったい自分はうんこの話をしたいのかスキンシップの話をしたいのか、まとまりがつかなくなってきてしまい、どうもこのままいくとうんこでスキンシップというなんともスカトロチックな展開にもっていくしか術はないように思われるのでどうかこのへんで堪忍してもらいたい。
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龍宮/川上 弘美

2010-07-03 | 小説
 文章は、ゆるやかなのにすさまじい。内容は、平らかなのに凸凹だ。
 この小説の感想を述べようとすると、このような矛盾した表現になってしょうがない。いやこの小説にかぎらず川上弘美という人物に関わる物事というものが大抵そういった空気に呑まれているように思われる。
 この世のものではないものの話。いってしまえばそれまでなのに、何故だかとても近しくて、ともすれば人間よりも近しさを感じてしまい、いとおしいくらいになる。
 具体的に、この作品の良さを示すことはできない。無理に喋るとすべてがなにか、嘘臭くなるような気がしてしまう。ただもう、川上弘美が前に「すとん」と置いてくれる物語に身を任すのが何より心地好い。意味だとか寓意だとか、そんなことを語るのは、いや考えることすら無粋である。彼女の決して壮大ではない、日常のほんのすぐ隣にちょいと足を踏み外したかのようなこぢんまりとした逸脱がたまらなく胸を締めつける。

 自分にとってはまさに麻薬のような彼女の小説。中でもこれはかなりの上物であった。
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散歩する

2010-07-01 | 雑記
 家にいても本を読むかオナニーするかくらいしかないので、天気の好い日にはよく散歩に出かける。だいたい、三十分から一時間ほど歩く。特にあてもなく散歩をしているので、なるべく普段は通ることのない裏道や神社の境内、やさぐれかけている路地裏などにフラフラと足が向く。そんなとき意外な発見が多い。私は軽度の方向音痴なのであちこち行くと一体今どこに自分がいるのか判らなくなるときが多々ある。梶井基次郎ではないが、不図、其処が自分の暮らす町ではなく、ずいぶん離れた町であるかのような錯覚を起こす。(梶井は「錯覚を起こそうと努め」ている)
 だがいずれ見知った風景に立ち戻り、安心とつまらなさを取り戻す。戻る際の方向によっていつもの見慣れた風景が角度や距離感を変えるのも、また愉快なのではあるが。
 つらつら歩いていると、突然に花の香りが流れてきて、辺りを見回すとピンクの薔薇が華々しく咲き誇っている庭があったり、田んぼの狭間に流れる小川のせせらぎに目をやると、亀がすいっと泳いでいたり、小学校のプールから聞こえる子供たちの嬌声に微笑ましく目をやれば変質者と見紛われたり、一日中そこにいるんですか? と問いたくなるほどいつ通っても玄関前でうつらうつら鎮座ましましている婆さん……等々、のんびり散歩しているからこそ気のつくことがよくある。
 今日も午前中、友人に本を渡すために図書館で待ち合わせをして、二人で軽くお喋りしながらコーヒーを飲み、別れた後ふらふらと散歩していた。暑かったので数分もすると汗が顔をつたってきた。こういうときは神社の境内を通って雑木林のある公園を歩くと涼しくて気持ちが好い。が、今日はとても蒸し暑いのでそれほどの涼はとれなかった。且つ、虫の発生率が多くて難儀した。いいことばかりではないのである。
 それでも林を抜け、うらうらと歩いているとまたまた思いがけない裏道などを見つけた。またそこからはトラック工場の裏側なども見られて大変興味深かったので、しばらく覗き込んだりしていた。ときどき工員さんと目が合ってしまい不審がられた。
 そんなこんなで、結局一時間ほどの散歩を終えて家に帰り着いたときには全身汗だくになっていた。散歩をするには、かなりの体力を要する季節になってきた。
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ペンギン・ハイウェイ/森見 登美彦

2010-07-01 | 小説
 近頃めっきり人気者となった登美彦氏の最新刊。デビュー以来初めてだろうか? 京都が舞台になっていないのは。京都が関係していないのは。だからなのか? 帯にはでっかく、

森見登美彦、新境地へ!

 などと書かれ、煽られている。
 確かに、新境地といえば新境地だろうか、主人公もいつもなら胡乱な大学生が登場してきそうなところを自称「かしこい小学四年生」にしている。(おっぱい好きは同じであったが)
 だがこの小学生。かしこいだけあって考え方や話し方がいつもの登美彦節。内容も以前の抱腹絶倒もののドタバタ劇とまではいかないものの、とことんまでのファンタジー。そして魅力的な女性(お姉さん)、とそれほど新境地と強調せるべきものは見当たらないのだが……。しかしふと、思ったことがひとつある。今まで森見作品を読んでいてそんなこと一度も思ったことはなかったのだが。
 それは今作を読んでいると、なんとなく村上春樹の世界観に似ているな、と。まったくどこがどうとか、上手くは説明できないのだけれども漠然とそんなことを思った。
 要するに、そういう世界観というか空気感の漂いこそ、登美彦氏の新境地ということなのであろうか。
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