雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

ペンギン・ハイウェイ/森見 登美彦

2010-07-01 | 小説
 近頃めっきり人気者となった登美彦氏の最新刊。デビュー以来初めてだろうか? 京都が舞台になっていないのは。京都が関係していないのは。だからなのか? 帯にはでっかく、

森見登美彦、新境地へ!

 などと書かれ、煽られている。
 確かに、新境地といえば新境地だろうか、主人公もいつもなら胡乱な大学生が登場してきそうなところを自称「かしこい小学四年生」にしている。(おっぱい好きは同じであったが)
 だがこの小学生。かしこいだけあって考え方や話し方がいつもの登美彦節。内容も以前の抱腹絶倒もののドタバタ劇とまではいかないものの、とことんまでのファンタジー。そして魅力的な女性(お姉さん)、とそれほど新境地と強調せるべきものは見当たらないのだが……。しかしふと、思ったことがひとつある。今まで森見作品を読んでいてそんなこと一度も思ったことはなかったのだが。
 それは今作を読んでいると、なんとなく村上春樹の世界観に似ているな、と。まったくどこがどうとか、上手くは説明できないのだけれども漠然とそんなことを思った。
 要するに、そういう世界観というか空気感の漂いこそ、登美彦氏の新境地ということなのであろうか。
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