文章は、ゆるやかなのにすさまじい。内容は、平らかなのに凸凹だ。
この小説の感想を述べようとすると、このような矛盾した表現になってしょうがない。いやこの小説にかぎらず川上弘美という人物に関わる物事というものが大抵そういった空気に呑まれているように思われる。
この世のものではないものの話。いってしまえばそれまでなのに、何故だかとても近しくて、ともすれば人間よりも近しさを感じてしまい、いとおしいくらいになる。
具体的に、この作品の良さを示すことはできない。無理に喋るとすべてがなにか、嘘臭くなるような気がしてしまう。ただもう、川上弘美が前に「すとん」と置いてくれる物語に身を任すのが何より心地好い。意味だとか寓意だとか、そんなことを語るのは、いや考えることすら無粋である。彼女の決して壮大ではない、日常のほんのすぐ隣にちょいと足を踏み外したかのようなこぢんまりとした逸脱がたまらなく胸を締めつける。
自分にとってはまさに麻薬のような彼女の小説。中でもこれはかなりの上物であった。
この小説の感想を述べようとすると、このような矛盾した表現になってしょうがない。いやこの小説にかぎらず川上弘美という人物に関わる物事というものが大抵そういった空気に呑まれているように思われる。
この世のものではないものの話。いってしまえばそれまでなのに、何故だかとても近しくて、ともすれば人間よりも近しさを感じてしまい、いとおしいくらいになる。
具体的に、この作品の良さを示すことはできない。無理に喋るとすべてがなにか、嘘臭くなるような気がしてしまう。ただもう、川上弘美が前に「すとん」と置いてくれる物語に身を任すのが何より心地好い。意味だとか寓意だとか、そんなことを語るのは、いや考えることすら無粋である。彼女の決して壮大ではない、日常のほんのすぐ隣にちょいと足を踏み外したかのようなこぢんまりとした逸脱がたまらなく胸を締めつける。
自分にとってはまさに麻薬のような彼女の小説。中でもこれはかなりの上物であった。
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