雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

青春夜明け前/重松 清

2009-09-30 | 小説
≪10代、男子。愛おしくおバカな季節。何かというとボッキしてばかりいたあの頃の僕たちは、勘違い全開のエロ話と「同盟」「条約」「宣戦布告」という言葉が好きだった。そして何より「親友」という言葉が大好きだった。男子の、男子による、男子のための(女子も歓迎!)、きらめく7編の物語。≫

 これを読むと、つくづく「男子ってバカだよなぁ」と思う。でも、それ以上に懐かしさと愛おしさを抱いてしまうのは、やっぱり同じバカ男子の過去を持っているから。いやまあ、今でもバカだけど。
 インターネットもヘアヌードもなかったあの頃、本当に、切実に、「めんちょ(マンコ)」が見たかった。そして初めて拝んだマンコに……まあ、それはいいとして、とにかく十代のあの頃はバカでエロいことばっかり考えてたなぁ……って、いやまあ、今でもバカでエロいことばっかり考えてるけど、むしろ昔よりひどくなってきているような気もするけど、手を伸ばせばすぐにエロいものに手が届く現在よりは、やっぱり必死こいて手を伸ばし、勃起させてたあの頃のほうが、真っ直ぐだったよなあ、心もチンコも……。
 今ではもう、心もチンコも程よく曲がっちゃってるけど、エロへの切実な想いは、いつまでも変わらずに膨らんでいる。チンコの膨らみは年々寂しくなってるけれども……。
 でも大丈夫! おじさん、テクニックでカバーするからっ!(なんの話だ?)
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ばかもの/絲山 秋子

2009-09-28 | 小説
 タイトルのセンスに惚れ惚れしてしまう。

『ばかもの』て。

 しかも作中、その言葉が絶妙に使われていて、思わず身悶えしちゃいました。

 いやそれにしてもこの小説。主人公の名前が「ヒデ」で、年上の女との恋愛話で、しかもアルコール依存症とかになっちゃって……親近感が湧きまくり。

 つうか、やっぱり絲山秋子はええのう。そんじょそこらのヒヨった恋愛話や、単なる小洒落た恋愛話なんかは書かねぇ。
「愛」なんて、口に出さなくても、充分そこに「愛」が見える。

 もう、何も言うまい。とにかく言いたいことは、

「姐さん、これからもついてきやす!」 
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バカ二人

2009-09-28 | 友人
 先日、ニュースを観てたいら牧場で小学生が牛の乳搾り体験をしているというトピックスがあった。その際インタビューを受けていたのが結構可愛い女の子で、インタビュアーに「どうだった?」と訊かれて、「気持ちよかった」だの「いっぱい出た」だの「またヤリたい」だの、応えているのを観て半勃ち状態になった。

 と、いう非常に牧歌的な記事をブログに載せようと考えていたら、ある友人からこんなメールが届いた。

≪巨人優勝のビールかけで、選手がインタビューにきた女子アナの顔にビールかけとる時って、顔面シャワー想像しとると思わんけ?≫

 
 そんなん思うのオマエだけだよ!

 と、返したかったのだが、自分の小学生インタビューネタと目くそ鼻くそだな、と思い、留まった。

 そりゃどっちも最低のバカだとは思うが、返信の際、小学生インタビューの話を送ると、またその友人の返信に、

≪その子の着ボイス欲しいな≫

 とあった。

 どっちがよりバカか? それはこれを読んだ人の判断に任せるが、正直オレは、

 あぁ……「負けた」って思ったよ。
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あるキング/伊坂 幸太郎

2009-09-27 | 小説
 伊坂幸太郎待望の新作! 待望しすぎたのか、それともこれが新境地ってやつなのか、いつもの伊坂作品と比べると物足りなさを感じてしまった。

 エンターテイメント性のある「動」の『ゴールデンスランバー』や『モダンタイムス』とは違い、どちらかというと「静」の『魔王』や『砂漠』に雰囲気が近いと思う。

 天才打者の一生を描いているのに、全然華々しくなく、むしろ鬱々としているのが、「流石だわ」と思う。
 従って、かなり寓話的な要素が強いけれども、伊坂幸太郎の洒脱な雰囲気、文体は読んでいてゾクゾクする。なにはともあれやっぱり伊坂幸太郎の凄まじい才能には、毎回のことながら平伏してしまう。

『あるキング』……伊坂幸太郎こそ、小説界のキングだと思う。
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いつまでも

2009-09-27 | 雑記
 小学校の時分、長いこと休んでて、久しぶりに教室に入っていくときのあの緊張した感覚。
 みんなの視線が痛くて、煩わしく、思った。でもそんなのはすぐに杞憂だとわかる。
 最初のうちこそ、みんなからあーだこーだと質問責めに合うけれど、すぐに興味は逸らされ、何事も無かったかのように普段に溶け込まされる。それがまた、淋しいような、肩透かしのような、「もうちょっとかまえよ」という我儘な思いに駆られたりして。

 自意識過剰で我儘なんだな。


 と、いうわけで、久しぶりに更新するにあたり、上記のような感覚が湧いてきた、いつまでも僕は自意識過剰で我儘なんだな。
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北緯14度/絲山 秋子

2009-09-14 | 小説
 紀行文。

 絲山秋子、西アフリカ・セネガルへの魂の旅! ダカールを拠点に二ヶ月間の滞在を様々な心情を交えて赤裸々に綴られてる。

 ぶっちゃけ、「セネガルって何処?」って感じで読んでました。でも、場所なんてどうでもいい……いや、よくないか?……それよりも、絲山さんの周りに集うセネガル人たちの人柄や、その地の風土、生きるための気概などが作者ならではの感性で描かれ、それがひしひしと伝わってくる。いいところなんだろうなぁ、きっと、って。それを端的に著している記述がある。

≪セネガルではパスポートの次に人なつこさとユーモアが大事なのだ。日本では考えられないほど、しょっちゅうみんなサイサイな話ばかりしていて、でもそれが決して下品になることはない。≫

『サイサイな話』とは、助平な話、要するに下ネタだ。これを読んだとき、「ああ、なんだかとても仲良くなれそうな国だな」と……でもちょっと、僕のサイサイ話は下品だけれども……なんて思った。ウォルフ語で「女子高生のパンチラ」ってなんて言うのかな? などと真剣に考えた。

 国外における、特に発展途上国内における、一部の日本人の醜悪さなども、絲山女史ならではの切り口で書かれているので、もしもこういうところに出掛ける機会のある人間は、しっかり読んで肝に銘じておいたほうがいい。でも、元から醜悪な人間は、こういうのを読んでも嫌悪感を表すだけで改善の余地もないんだろうけど。

 それにしても、外国人とのコミュニケーション、いやさ、もう、わずか二ヶ月で友情を培ってしまう絲山秋子の人柄に、一層の魅力を覚えました。きっと、セネガルの人たちの気質もあるのだろうけど。

 なかなかディープな紀行文であったことは、確実。
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キャンセルされた街の案内/吉田 修一

2009-09-10 | 小説
 短篇集。
「十年の歳月をかけて書きためた」というだけあって、雰囲気バラバラ。別にそれは悪いことではなくって、その時代の吉田修一を象徴しているように感じられるので、愛読者にとってはなかなかよいと思う。
 個人的に好きだったのは『乳歯』や『奴ら』。これらは比較的最近のもの(2008年)なので、『さよなら渓谷』や『元職員』のテイストが味わえられたからだろう。表題作の『キャンセルされた街の案内』も『長崎乱楽坂』の匂いがして好かった。
 いずれにしても、やはりどこか胸を抉られるような感覚にとらわれる。短篇だからこそ味わえる潔さが、とてもいい。
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デジタル移行

2009-09-07 | 雑記
 今のところまだ、ウチのテレビ画面の右上には「アナログ」の文字が出ています。
 でも今日のお話は地デジ化とは関係ありません。カメラです、カメラのお話です。

 いつの間にやら、世はデジタルカメラの時代。しかし頑なに、フィルム式のカメラを使用している人も多々いらっしゃることだろうと思います。
 
 どうも、その一人です。いや、別に、フィルム式へのこだわりとか、世の流れに逆らう反骨精神とか、そんな意地で使っているわけではないんです。単に、貧乏なだけなんです。ってか、今時デジカメなんて一万やそこらで買えるでしょ? だからね、ここだけの話なんですが、要するに妻がケチんボなんです。うん、買ってくれないんです……。

 ですからフィルムが必要なんです。なのに昨日、某家電量販店にフィルムを求めに行ったら見当たらないんです。使い捨てカメラは見つけました。チェキも見つけました。どちらも思いっきり埃かぶってたけど……で、この周辺にないということは、もしや? 
 思い切って店員さんに「あの、もしかして、カメラのフィルムって、もう置いてないんですかね?」
「あぁ、ないです」
 即答されました……。

 ま、まぁね。そりゃほとんどの人はデジカメだよ。少数派はそれなりの専門店に行けよ、ってとこだろうけどね……無駄足かよ。

 この家電量販店は以前もカメラの電池を買い求めに行った際、なかなか見つからなくて、店員さんに訊ねたことがあるんです。
「カメラの電池、どこっすかね?」
 すると店員さんは即座に「こちらです!」とデジカメの充電バッテリーコーナーに案内してくれました。
「いや、あの……これじゃなくって、ホントの、昔のカメラに入れるやつなんっすけど……」
 店員さんは「あちゃー」(とは言いませんでしたが)少々思案した後、合点がいった様子で電池コーナーに案内してくれました。
 一応、礼は述べたものの、そこには選択の余地もなく「ポツネン」と吊るされた電池がひとつきりでした。


 デジタル化が進んでいる昨今、それはしょうがないんだけれどさ、やっぱりちょっと淋しいな……ってか、肩身が狭いな……。でもね、近所にある昔ながらの現像屋さん。そこにフィルムの現像をお願いしにいくと、ものすごーく、嬉しそうな顔をしてくれるんだよ。
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ラジ&ピース/絲山 秋子

2009-09-07 | 小説
 群馬を愛する絲山さんならではの小説。

 ラジオアナウンサーの女性の話なんだけど、実際、作者もFM群馬に番組を持っているので、なんだかとてもリアル。こういうところに視点を当てるのは流石だなぁと思う。そして最早、詩的とも感ぜられる、削りに削られた文体はその深みを増している。
 
 ところどころ出てくる群馬弁がとても好ましい。リアルに聞きたいな。
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リアル「あちゃー」

2009-09-03 | 雑記
 全国で流れているかわからないけれど、サカイの引越しのCMで、コールセンターに勤めてる女の子が、自分の携帯にかかってきた電話に「ありごとうございます。サカイ引越センター…!?」とか思わず言っちゃって「あちゃー」って言うCMがあるじゃない? まずツッコミどころとしては、固定電話ならともかく携帯でそれはねーだろ! ってとこだけど、もうひとつ、日常生活において「あちゃー」って言うか? 少なくともオレは言わない。
「ふつうに言うけど?」て言う人は、まぁ、ここでは放っておく。

 で、最近、うちのマンションのインターホン、カメラ付きになったの。マンション入り口で「ピンポーン」てしたら、部屋からその様子が窺える。だから怪しい奴だったら居留守をかませる。そんな便利なカメラ付き。

 先日、晩飯を食ってたら来訪を告げる音色が。誰だろ? とモニターを見たらちょっと爽やか系のオニィチャン。特に怪しい輩にも見えなかったので応答してみたら、なんでも近くの商店街にオープンした子供英会話教室のなんとかかんとかで、カメラに向かってパンフとか見せるの。でもね、うち子供いないから、その旨を告げたところ、そのオニィチャン、透かさず

「あちゃー」

 のリアクション。

 思わず、

「オマエはサカイ引越センターのオネェチャンかっ!」

 ってツッコミそうになったけど、長いので止しといた。

 オニィチャンは「すいませんすいません」と謝っていたが、いやいや、いいもん見せてもらったよ。まさかリアルで「あちゃー」とか言うヤツがいるなんてな。と、寛大な気持ちになれた。

 でもその後、「このマンションでお子様のいらっしゃるお部屋はご存知でしょうか?」と訊かれたので、「知らねーよ」と言い放って通話を終了させた。
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草葉の陰で見つけたもの/大田 十折

2009-09-03 | 小説
 晒し首の話。

 って聞くと、なんか晒し首にまつわるちょっとおどろおどろしい話かな? と思うでしょ? でも、

 晒し首の一人称。

 って言われると、えっ、なんだよそれ? と、思いません?

 そう、要するに心のある晒し首が出会う、ある少女との物語。おお、なんか感動しそうな話に聞こえますな。実際、ラストは感動しました。

 それにしても、まったく動けない晒し首の視点でよくぞここまで描けたなぁ、そこが凄いです。文章も軽快でかなりおもしろかったです。

 それにしてもこの作者、二十歳のときに初めて書いたこの小説でいきなり、第一回小説宝石新人賞を受賞したので、また凄い。

 確かにその奇抜なアイディアと読みやすい文章は、うなずけます。

 でも、同時収録の「電子、呼ぶ声」は、ちょっといただけない感じ。今後、期待していいのかどうなのか、微妙……。

「草葉の陰で~」だけ読んでたら、もの凄く期待大だったのに……。
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ダーティ・ワーク/絲山 秋子

2009-09-03 | 小説
 さあ、これにいたっては読んだのは一週間くらい前、かな? 

 モチーフは言うまでもなくローリングストーンズ。絲山さん初の連作短編(たぶん)で、主人公の女性はギタリスト。もうこれだけでゾクゾクきますが、読むともっとゾクゾクします。次第に繋がっていくエピソードがなんともいえません。そしてラストの出会い。決して感動的なわけではないけれど、そこには見えないし見せなくても伝わる気持ちが溢れています。

 やっぱり巧いなぁ、そしてストーンズがよく似合う女だなぁ、と思いました。絲山女史。
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あの子の考えることは変/本谷 有希子

2009-09-03 | 小説
 これまた、だいぶ間が空いてしまって……覚えているのは「チンコのメタファー」とか「フェラチオのメタファー」とか、そういう記述ばっかりだな。

 でもとにかくおもしろかった。相変わらずのノンストップ暴走に大爆笑。下ネタに大爆笑。

「あの子の考えることは変」てか、本谷の考えることは本当に変です。オカシイです。

 芥川賞、獲ってほしかったなぁ……。
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夏が僕を抱く/豊島 ミホ

2009-09-03 | 小説
 ずいぶん間が空いちゃった。これ読んだのいつだっけかな? まぁいいや。

「幼なじみ」を題材にした恋愛短編集。豊島さんお得意の、まるっきり少女漫画な世界ですが、好きです、やっぱこういうの。淡い気持ちが蘇ってきます。特に幼なじみの女子と付き合ったことなどないけれど……。

 表題作の「夏が僕を抱く」のみ、男性一人称で、あとは女性一人称だったはず……(うろ覚え)なのでやはり、それがいちばん感情移入できたかな? 確か……やっぱ間が空くと記憶がおぼろげになっていけねぇやな。でも全体的に程よく初々しい雰囲気が流れていて好かったことは確かです。
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