雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

ぐっとくる題名/ブルボン小林

2009-04-26 | 小説
≪『ゲゲゲの鬼太郎』が、文法的に正しい『ゲゲゲな鬼太郎』だったら、ここまで印象に残ったか?(助詞の使い方)『課長島耕作』の安定に比べ『取締役島耕作』の落着かなさは、「音」に理由がある!(韻とリズム)ツァラトストラが「こう言った」ではなく、「かく語りき」だったからこその豊かさとは?(古めかしい言い方で)『部屋とYシャツと私』で意図的に隠されている事柄とは?(言葉と言葉の距離)等々、著者が「ぐっときた」55の名タイトルを例に、心に残る理由を考察する。≫

 新書としてはかなりくだけた(ふざけた)物言いで作品の顔ともいうべき題名(タイトル)を様々な角度から検証(弄び)した、コラムニスト『ブルボン小林』(作家 長嶋有の変名)の特異な視点と、ごり押しの理論が笑える。

 タイトルをつけるのに日々、四苦八苦している人も、この本を読めば命名のエキスパートに……なるかどうかはわからないが、笑いをとる記述だけではなく、納得させられる記述も多々あり、個人的には、ためになった。(たぶん)

 なんにせよ、題名(タイトル)を考えるのは、ある意味本編を紡ぎだすよりも難しい作業だ、と常々思っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昔々あるところに…/中場 利一

2009-04-23 | 小説
 あの、『岸和田少年愚連隊』の作者が贈る、甘酸っぱくて切なくて、そしてとっても烈しい、青春時代にまつわるエッセイ。

 いちいち、「ほんまでっかー!」と笑いながら読んでしまう昔話の数々。まんま『岸和田少年愚連隊』だー、の数々。

 世代は多少ずれているけれども、ヤンキーネタとかは普遍性を持っているんだな。それにしても、やんちゃ過ぎる。(爆

『正義はないけど誠意はある』 この言葉、凄くイイよなぁ。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハリガネムシ/吉村 萬壱

2009-04-23 | 小説
 この作家さんの作品は、前の『クチュクチュバーン』のときもそうだったんだけど、読んでて気持ち悪くなる。それはもう、とても酷く……。

 でもなぜか、読んでしまう。読み進めてしまう。止まらない。なんだか「この人の作品、好きだな」って言っちゃうと人間としてイケナイような気持ちに陥るので、「好き」とは言わない(言えない)が、その世界に飲み込まれてイッてしまうのは事実。

 自分では認めたくないけれど、こんな欲望を持っているんじゃないのか? と自問自答してしまう。

 決して「良い」小説ではないけれど、心の中に鈍い胸焼けを残してくれる貴重な小説だ。

「そんなもん、いらん」という人は、読まないほうがいい。

 オレは好きだ。(あ、言っちゃった
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イッツ・オンリー・トーク/絲山 秋子

2009-04-23 | 小説
 数ページ読んだところで、「あれ? この話、どこかで見た(聞いた)ような気がするぞ?」と思いつつ、ページを捲り、記憶を手繰れば、あぁこれ『やわらかい生活』(映画)の原作なのかぁ……と判明した。

 そこからはもう、寺島しのぶ 、豊川悦司、松岡俊介、田口トモロヲ、妻夫木聡、大森南朋の顔ばかり浮かんでしまって、どうにもならなくなった。

 やっぱり、原作より先に映画を観ちゃいかんね。イメージが固定してしまって……。

 とにかくもう、そこからはストーリー云々よりも文章に集中していた。

 その媚びない文体はかなり好感が持てたので、これからもこの作家さんの本を読んでいこうと思う。

 第96回文学界新人賞受賞作品。むう、デビュー作が映画化かぁ……すげぇなぁ……と、そういや長嶋有の『サイドカーに犬』も文学界新人賞受賞、デビュー作映画化だったなぁ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かつおのたたき

2009-04-19 | 雑記
 昨日は誕生日だったので、ちょっと贅沢してネットでお取りよせした『土佐の一本釣り 藁焼きかつおのたたき 3990円』を食べた。

「四千円のかつおのたたきって、どんなだよ?」とか、思ってたんだけど、最高! 土佐鰹最高! 藁焼き最高! 

 もーう、ここまで違うものか! と。

 生臭みなどまったくなくて、それでもって周りの焼いたところがもの凄く香ばしいの。いつもスーパーで買うときはわりと小さめのを選んでチマチマと喰ってて、そんで最後のほうは結構飽きてきたりするんだけど、昨日のは違った。一節が相当なボリュームのうえ、それを大胆に分厚く(2、3センチ幅)切ったヤツをモリモリ喰った。最後の一切れがとても切なくなるくらいの勢いで、喰った。

 とにかく、今まで喰っていたかつおのたたきはいったいなんだったんだ!? っていうくらいの美味さが炸裂した。

 四千円の価値はあった、と素直に頷ける逸品であった。

 が、やはりそうそう喰える代物ではない。一年に一度の贅沢といったところだ。

 なので、今後かつおのたたきが喰いたくなったとしても、本物の味を知った今となっては、近所のスーパーで売られているかつおのたたきを素直な気持ちで喰うのは難しくなってしまった。

 極上のものを喰う、ということは、それなりのリスクも孕んでいるということなのだ。

 しかしそれも、喉もと過ぎればなんとやら、であろうか?

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

禁煙必勝法

2009-04-17 | 雑記
 歯石をとってヤニもとって、歯がピカピカキレイになったら、タバコ吸うのが躊躇われる。

 いいかも、これ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『5日』でか……

2009-04-17 | 雑記


無理!!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『アレ』ってなんだ!?

2009-04-17 | 雑記
 
 うん。怖いよね。

 ウチの場合、朝だけじゃないけど……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

乱暴と待機/本谷 有希子

2009-04-17 | 小説
<四年近くもの間、二段ベッドが置かれた六畳間ひとつの古く陰気な借家で同居している三十歳間近の“兄”こと英則と、“妹”、奈々瀬。奈々瀬は上下灰色のスェットにだて眼鏡姿で家に籠もり「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々“笑い”のネタを考えている。保健所で犬の殺処分の仕事をしている英則は一年前、天井板の一角に隙間を発見したのをきっかけに、帰宅後、屋根裏に潜り込んでは“妹”を覗く、という行為を繰り返しているのだった……>

 これは『業』の話だ! とても深い、業の話だ!
 
 ってか、基本的に本谷女史の話って『業』が絡み付いてるな。もう、ぐっちょんぐっちょんに。

 流石、戯曲作家だけあってストーリーの展開は秀逸。そこにもってきて小説家の鋭い(エグい)視点が見事に調和され、とてもスペシャルな作品に仕上がっております。

 もう、「そこまで考えるのかっ!」「そこまでイキつくんだなっ!」とハラハラを通り越して笑うしかありません。で、そうやって油断させといて、しっかり泣かせてくる部分もあるという……。

 やっぱオモロイわ。本谷さん。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八番筋カウンシル/津村 記久子

2009-04-15 | 小説
≪小説の新人賞受賞を機に会社を辞めたタケヤス。実家に戻り、家業を継ごうと考えはじめるヨシズミ。地元の会社に就職するも家族との折り合いが悪く、家を買って独立したいと考えるホカリ。幼なじみの3人が30歳を目前に、過去からの様々な思いをかかえて再会する。久しぶりに歩く地元の八番筋商店街は中学生の頃と全く変わらないが、近郊に建設される巨大モールにまつわる噂が浮上したことで、地元カウンシル(青年団)の面々がにわかに活気づく。そんな中、かつて商店街で起こった不穏な出来事で街を追われたカジオと15年ぶりに再会し…。生まれ育った場所を出た者と残った者、それぞれの人生の岐路を見つめなおす終わらない物語。≫

 いまいち、何を目指しているのか解からなかった。今までの津村記久子とは明らかに違う、「おもしろみ」がなかった。芥川賞受賞後第一作とは、こんなものなのであろうか? 正直、賞獲る前の津村記久子のほうが断然良かった。

 私の「読みが浅い」と言われればそれまでのハナシであるが、そんなに深読みする話でもないのも、事実。

 文章のテンポも今までと比べて、ぎこちなさを感じた。

 でも私は津村記久子が好きだ。だから、次作に期待するよ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クチュクチュバーン/吉村 萬壱

2009-04-15 | 小説
 コレ、借りようと思って図書館へ行ったら、すでに図書館地下一階の書庫入りをはたしていた。「書庫入り」ってのはどういった基準でなるんだろう? やっぱ貸し出し回数が少ないとか、こんなもん誰も読まねーだろ、とかだろうか? 少なくとも「殿堂入り」とかのニュアンスではない。

 まぁ、書庫入りしてもちゃんと借りられるのでいいのだが、コレに限って言わせてもらえば、タイトルがこっ恥ずかしい。
 司書のオネェサンに「あ、あのぅ……『クチュクチュ、、バーン、、、』借りたいんですけども……」

「えっ?」

「いや、あの、『クチュクチュバーン』です……」

 このように羞恥プレイに突っ走ってしまうであろう。

 映画館で、「すいませーん。『おっぱいバレー』大人一枚」というのと同じくらいに。


 しかし最近は便利なもので、図書館内にあるパソコンでその図書を検索し、出てきたそれをプリントアウトして持っていけば、わざわざ「クチュクチュ」言わなくてすむのである。

 であるからして、私は余裕で司書のオネェサンに紙を差し出して「お願いします」と紳士らしく振舞えたのである。

 オネェサンは「少々お待ちください」と言って地下書庫に取りに行きました。

「こちらですね(にっこり)」

 差し出された表紙を見て、思わず退いた。なんか、思いっきりピンクいよ。んでタイトル『クチュクチュ。。。』とか謳ってるよ。

 いや、これ、なんか思いっきり変態っぽいけどさ、それでもこれ「文学界新人賞」とか獲ってるから! 純文学なんだから! ホント! 

 と、叫びだしたくなったのだが、そこは紳士。

「ありがとうございます」

 目を泳がせながら礼を述べた。

 こういうことがあるから、なるべくは書庫から借りたくはなかったが、やむを得ぬ!


 で、この本の内容ですが、まぁ完璧な変態小説です。いや、変態っつっても「形態を変える」の意ですよ。あくまで。

 度を越し過ぎた不条理世界にただただ、慄くのみ。

 これは書庫入りさせられるわなー。そんな作品でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下ネタメールについて

2009-04-12 | 雑記
 心なしか、幼い子供を持つ友人に下ネタメールを送っても反応が薄いような気がする。
 
 下ネタメールといっても、「誕生日オマンコ!」とか「それじゃあヨロチンコ!」などのたわいない挨拶程度のもので、私の真の力を発揮するものではない。しかし、だからこそ、ソコは思いっきりスルーしてフツウに本文のみの返信にとどまられると、書いた私がまるでバカみたいに思える。(バカなんです)

 こういった傾向は、やはり親となった友人によく見受けられる。特にまだ幼い子を持つ親に。やはり、一端の親ともなれば社会的にも、人間的にも、常に子供の手本となるべく生きてゆかねばなるまい! そういった自覚が自然に身につくからであろうか? いくら心安い友人だからとて、子供の教育上よろしくないこのバカに真っ向から付き合うのは、親として、いや人間として、避けるべきであろう……と、いった観点からだろうか?

 もし、こんなことを考えているのだとしても、私は別段、怒るわけでもない。(当たり前です。怒る筋合いなどまったくないです)ただ、ちょっと淋しいんだ……。そして、羞恥心と焦燥感。同年代の彼らがどんどん大人になっていくのに、自分は今までと変わらず、いやむしろもっとひどく、下ネタメールを投げつけたりしている。こんなんでいいのか? オレ? と。

 しかし、こんな悩みも、まだ独身の友人や既婚者でもまだ子供がいない友人や子供が大きくなった友人などだと、屁のツッパリみたいなものになる。


 例えば、件名に『今日は(四月九日)子宮の日です』と書いて、本文は件名とはまったく関係ないフツウの用事を書いて送ると、返信されてきた文はといえば、

≪よろぴく
 今日は病院で子宮の検査はタダかもしれんな 俺の子宮検査棒でなら年中無料や ただし面接あり≫

 であったのだが、本文に際しての返答はわずか四文字「よろぴく」のみであったのに対して、意味の無い件名のほうにこそ思いっきり喰いついてきているのだ。

 どうであろう? これぞ独身者の独身たる所以のような気がするではないか。

 そう、こんな友人がいるからこそ、私もまだまだへこたれずに「アナル拡張」や「マンコの姿煮」など愚かなメールを送り続けられるのである。それは君、素晴らしいことだと思わないか? 私は、思う。思うように心がけている。でなきゃ、やってらんねー。

 そして、最初にも書いたが、このテのメールで下ネタ部分を思いっきりスルーされると自分がバカみたいに思える、という戦法を使って、≪俺の子宮検査棒≫云々については一切スルーしておいた。

 この独身の友人が「俺、バカみたいぢゃねーかよ……」と思ってくれたなら、幸いである。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おもう

2009-04-12 | 雑記
歯医者に行った。

口の中にゴム手袋をした手を突っ込まれた。

ひじょうにゴム臭くって、たまらない。

あぁ、オレにはゴムフェラは無理だな、って。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いろんな気持ちが本当の気持ち/長嶋 有

2009-04-12 | 小説
 長嶋有氏の「いろんな気持ち」を集めたエッセイ。

 エッセイとはかくあるべきものだな。と、素直に感心し、笑える一冊。

 やっぱりモノを見る視点が特別なんだなぁ、ってかオカシイ?そんなん、どうでもいいことだろ、と思ってしまうことも氏の理屈(屁理屈?)にかかると大仰になるからスゴイ!

 芥川賞作家とはかくあるべきものだな(かな?)。と、素直に感心し、笑えた一冊。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

希望ヶ丘の人びと/重松 清

2009-04-12 | 小説
≪いじめ、学級崩壊、モンスター・ペアレント、家族の死…。70年代初めに開発された街・希望ヶ丘…そこは、2年前にガンで逝った妻のふるさとだった…。亡き妻の思い出のニュータウンに暮らす父子を描く感動長編。≫

 重松作品を読むと、九割方泣いてしまうのは、たんに私が涙もろいからであろうか?
 いやいや。それもあるが、やはりなんといっても重松清の「家族に対する熱い想い」であろう。それと、「泣かせのテクニック」。

 悲しみとか、哀れみとかではなく、胸を震わせる、熱くさせる、本当の感動だから、安心して、惜しみなく、涙を流せる。

 笑いあり、涙あり、の読みやすい一冊。

 いつもはそんなに際立ったキャラを書かないけれど、今回登場の「エーちゃん」はカッコ良すぎ! 
 すだれ頭だけれども…(笑
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする