IMFがイタリア救済で62兆円を準備しているという報道と、米国のブラックフライデーの売り上げが過去最高の伸び率になったことで、米国のNYダウ先物、NASDAQ先物、S&P500先物が揃って大幅上昇となり、ナイト取引で8100円まで下落していた日経先物も8200円台まで戻していました。
しかし、IMFが新たに資金を得ないかぎり62兆円のイタリア支援はできませんので、この報道が真実なのか日米欧が努力しないイタリア支援で合意したということになりますが、現時点で緊急避難的なイタリア支援に合意する可能性は考えられませんので、この報道は誤報である可能性があります。つまり、株式市場を上昇させるために誰かが仕組んだ可能性もあります。
ブラックフライデーの売り上げが過去最高という報道はびっくりです。これまで米国経済はリセッションから抜け出しているという専門家と、中央銀行中心に「米国の経済はリセッションの可能性がある」という見方に分かれていましたが、リセッションと言っている専門家は「住宅問題と雇用問題から個人消費は回復しない」という前提での考え方であり、今回のブラックフライデーはリセッション派にとっては意外なものであったといえます。私もリセッション派でしたから、少し頭が混乱しています。
■橋下市長の世直し戦略
「大阪維新の会」が大阪府知事選と大阪市長選に圧勝しました。この圧勝の意味は何なのか?
当初は五分五分とも言われていた大阪市長選でしたが、途中から橋下氏圧勝に変わりました。これは日本にとっては非常に大きな出来事といえます。
今の日本には「日本を変える大志を持った政治家」が必要です。しかし、党人派の政治家は国会議員をはじめとした「自分を引き上げてくれた恩人」がおり、官僚派の政治家にも「自分を引き上げてくれた政治家と自分がいた省庁の既得権益」がついていますので、政治家や官僚では日本を変えることができません。
橋下氏が大阪府知事の時に1100億円の経費削減を行って、1年で万年赤字の大阪府を、財政黒字に変えました。このときのテレビを見た人もいると思いますが、橋下氏は大阪府議会で「泣いて自分の政策を訴えて」いました。この熱情と大志が日本を変えるのに必要です。
今の日本は「政治と官僚と一部の資本家が利益を独占」し、国民は収入減や失業の中で「何も言わない国民」になってしまいました。つまり、国に革命が起こる環境が整っているのですが、肝心の「国を変える政治家」が生まれておりませんでした。
この「大阪維新の会」の成功によって、私だけでなく、多くの既得権益を持たない人は「大阪維新の会」が国政に参加し、これまでの既得権益を打破して、公正な日本社会を作ってくれるかもしれないと期待したのではないかと思います。
公務員法の改正や教育委員会法の改正は、誰が考えても「抵抗が大きすぎて無理」と思いますし、ばらまいた予算を受け取っている既得権益者の抵抗、天下り先を確保し続けるために規制強化を行っている行政の抵抗は、国では国会議員がみんな失敗したように「優秀な人材の詭弁によって阻止されている」ことからも不可能に感じられます。
つまり、橋下氏は「これまで不可能と言われてきた問題に挑戦する」わけですから、明治維新の薩長土肥の英雄群に匹敵する挑戦を行おうとしているわけです。
明治維新の時には色々な人材が活躍しました。今は「大阪維新の会」だけですが、これが全国の個性的な意見を言う知事や市長に波及し、討幕に匹敵する「既成政党を討つ」にまで発展すれば、日本は世界の流れに逆らって「弱者が人間らしい生活を送れる数少ない国の一つ」になるかもしれません。私は橋下氏を心から応援しますが、願わくば橋下氏が日本の将来を変える政治家になってほしいと思います。
もう一つ、実際には分かりませんが「橋下氏には優秀で公平性を持った、正義感を持ったブレイン」がいると思います。昔から歴史が変わるときには「清廉潔白な指導者」に「清廉潔白な指導者に惚れて優秀な人材たちが集まって」きて、歴史が変わります。
これまでは小泉元総理の息子が出てくるまで日本は暗黒の時代が続くだろうと思っていましたが、今回の橋下氏の過去から現在の行動や思想を聞いて、もしかしたら「橋下氏が日本を変える人」になるかもしれないと漠然と思いました。
橋下氏の発言を聞きますと「今までの政治家」とはまったく違った発言になっています。何が違うのかといいますと、橋下氏の発言には「ごまかしに使う形容詞」がまったく無いことです。
民主党の総理は全て使いましたし、特に菅前総理と野田総理は頻繁に使っています。どんな言葉を使っているのかと言いますと「精一杯」「できるかぎり」「しっかりと」「真剣に」「がんばる」などですが、これは「心の中で思うことで、人に向って言う言葉」ではありません。しかし、実行力が無い人や実行できない人は「心地よい言葉で人を騙す」ときにこの言葉を使います。
■追伸
14時ごろに「これからの投資戦術」について、『森田のつぶやき』で書きます。
レポート担当:ケンミレ株式情報 森田 謙一