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DJ-[訂正]フランスの銀行、流動性リスク抱える=IMF報告書

2012年12月27日 21時46分22秒 | ユーロ危機

 【ワシントン】(ダウ・ジョーンズ)国際通貨基金(IMF)は21日遅く、フランス当局の求めに応じ、「金融シ
ステム安定性評価」を発表した。

 12月7日に完了した評価をまとめた報告書の中でIMFは、ユーロ圏の危機が悪化するとフランスの金融機関は損失を被る危険性が大いにあり、引き続き流動性リスクを抱えていると警告した。

 また、フランスは他のトリプルA格の欧州諸国と比べて公的債務残高と財政赤字が高水準のため、ソブリン格
付けがさらに引き下げられる恐れがあるとした。

 102ページに及ぶこの報告書のまとめにおいてIMFの金融安定性評価チームは、「フランスの銀行は世界的金融危機の間に著しい回復力を示したが、試練に直面している」とし、「ユーロ圏危機の解決と、それがフランスの金融システムと経済にどのように影響するかについては、まだ大いに不確実性が残る」と述べた。そして、「フ
ランスの銀行は、積極的にバランスシートを立て直そうとすることでこれらの試練に対処しているが、その過程
はまだ終わっていない」と指摘した。

 そのうえで、「金融の安定性に対する主な短期的リスクは、資金調達市場の長期的閉鎖と収益性の低下にある」として、「各種のストレステスト(健全性審査)では、銀行の規制上の自己資本は、住宅市場の下落など一連
の不利なマクロ経済的展開にも対応するうえで十分なことが示された」と評価した。

 ただし、「特に、ユーロ圏の危機が深刻化すると、域内の民間部門の活動に甚大な衝撃が及び、一部の銀行の資本に圧力が加わる可能性がある」と指摘し、「ストレステストではさらに、銀行の流動性状況が改善し欧州中央銀行(ECB)の長期資金供給により救われたにもかかわらず、資金調達市場の長期的混乱に対してフランスの銀行が依然として弱いことも示された」と述べた。

 したがって、「適切な自己資本と流動性のバッファーを引き続き蓄積するよう銀行に求める(フランス)当局
の姿勢は妥当だ」とし、当局はストレステストなどを通じて銀行の資本および流動性の計画を注意深く監督し続
けるべきだとした。

 また、「フランスの銀行が保有する国内資産の質は高い」としながらも、「資産の質に対する懸念は主に、ユ
ーロ圏の高金利諸国に対するエクスポージャー(投融資残高)から派生している」とIMFは指摘した。なかでもイ
タリアでは現地業務を大規模に展開しており、「イタリア国債への投資も、2011年後半に著しく減ったものの、
かなり多い」と言う。そして、「欧州の情勢が悪化すると、信用コストの上昇と国債スプレッド(利回り差)の
拡大につながる可能性があり、これが一部の銀行の大幅な損失につながり、自己資本を充実させる努力を損なう恐れがある」と警告した。

 この報告書に添付された国際決済銀行(BIS)の資料によると、フランスの銀行は2011年12月の段階でイタリアに対して4000億ドル(約34兆円)のエクスポージャーがあった。

 外国からフランス国内の金融システムに及ぶ悪影響に関するネットワーク分析では、最大のリスクは米国と英
国およびドイツにあるとし、それに続くのがイタリアだと述べた。そして、「イタリアの銀行間市場を経由した
信用への影響と資金調達への衝撃は資本の約30%以下に抑えられるだろうが、企業とソブリン部門から銀行への波及効果は資本の70%に及ぶだろう」とした。

 大手銀行を対象とした銀行主導の「ボトムアップ型」ストレステストと当局による「トップダウン型」ストレ
ステストの結果は、「銀行に対して適切な資本と流動性のバッファーを構築するよう求めるフランス金融健全性
規制監督機構(ACP)の現在の姿勢を支持している」とし、審査結果は「金融システムがほとんどの筋書きにおいて規制上の比率に達しうることを示しているが、特に流動性リスクについて、対処する必要のある弱点が一部に
ある」と指摘した。

 BNPパリバ、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・ミューチュエル、BPCEグループ、HS
BCフランス、預金供託金庫(CDC)、郵便貯金銀行の大手8行による流動性リスクに関する「ボトムアップ型」ス
トレステストによると、金利が急騰し保有資産がヘアカット(元本減額)され、市場からの資金調達ができない
流動性危機が1日以上続くと、ECBの支援がなければ1行は手段を尽くしても資金流出に対応する流動性が不足し、3カ月以上続くと2行が契約上の支払い義務を履行できなくなることが明らかになった。IMFは個別行の詳細は明らかにしていない。また、8行中CDCは資料から除外されている。ただ、ECBからの流動性支援が得られると仮定すると、7行すべてが審査を通過すると述べた。

 また、いくつかのリスク要因の一つとして、フランスのソブリン格付けが引き下げられる可能性を指摘した。
IMF職員による評価では、今後1年~3年の内に格下げされるリスクは「高い」とみている。スタンダード&プアーズ(S&P)はフランスを1月に「AAA」から「AA+」に格下げし、11月にはムーディーズ・インベスターズ・サービ
スが「Aaa」から「Aa1」に格下げした。フィッチ・レーティングスは12月、同国の格付け見通しを「弱含み」と
しつつも「AAA」に据え置いた。「さらなる格下げは、一部の投資家の投資基準にとってフランスが不適格となり
、ソブリンと銀行のスプレッド(上乗せ金利)が上昇する結果をもたらす可能性がある」とIMFは指摘した。

 比較的高水準にある公的債務と財政赤字について、フランス政府は安定化計画に基づく財政目標の達成に取り組んでいるが、現在公式目標としている1.7%よりも経済成長率が低ければ、2013年には追加的対応が求められるかもしれないと述べた。IMF職員の見通しでは、今年の実質国内総生産(GDP)成長率は0.2%、来年は0.4%とされている。

 また、「フランスは他の国々に比べて、金融部門の統計公表に関して遅れをとっている」とし、実効性のある
市場規律を可能にするために、ACPは金融機関別の比較資料を定期的に公表すべきで、包括的なリスク分析の結果と同時に、フランスにおける金融部門の詳細な動向をまとめた金融安定性報告書の公表も望まれると述べた。

[訂正]12月26日13時12分に配信した「フランスの銀行、損失リスクが高く資本増強が必要=IMF報告書」の内容に誤りがあり、全面的に訂正しました。
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(続く)

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