ringoのつぶやき

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歴史的大相場の入り口? 景気サイクルに乗る投資

2014年07月26日 16時19分08秒 | 

7月に入り日本株相場は上値が重い展開が続く。アベノミクス相場はもう賞味期限切れといった声もあるが、一方で今回の上げ相場は2020年あたりまで続く息の長いものになるとの指摘もある。景気サイクル、企業経営者の意識向上、長期投資家の台頭など、日本株の長い上昇を裏付ける要因が見え始めている。

 

 「日本株は歴史的な大相場になる可能性がある。20年に日経平均株価が3万円になるような」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二・景気循環研究所長は予想する。その根拠は、グラフAのように周期の異なる4つの景気波動が14年にそろって上向きとなるためだ。各波動はそれぞれ提唱した学者らの名にちなんで呼ばれる。

 

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■2020年へ建設相次ぐ

 

 4つの波が上向き、大きな転換点となるのは今回が3回目だ。1回目は1904年。日露戦争、第1次世界大戦を経て、16年あたりまで景気が拡大した。2回目は57年前後。神武景気、岩戸景気、東京五輪をはさんで67年のいざなぎ景気あたりまで続いた。

 超長期の波は、道路や鉄道などインフラ関連投資のサイクルを示す。アベノミクス2本目の矢である機動的な財政出動により、50年ぶりに日本は本格的なインフラ整備に乗り出す。長期の波は住宅・商工業施設への投資に起因する。2020年に開かれる東京五輪に向け、マンションやオフィスビルなどの建設が続く。

 企業の設備投資に基づく中期の波は、日本の経営者がようやく攻めの姿勢を取り戻し、国内で工場建設などに動き出したことを映す。さらに08年のリーマン・ショック後に続いてきた在庫調整も一巡。企業は在庫の積み増しに動き出し、短期の波も上向いてきた。

 4つの投資サイクルが景気拡大を後押ししたのは米国でも同じ。黄金の1960年代と呼ばれたケネディ、ジョンソン大統領の時代や、80年代のレーガン政権の頃だ。日本のアベノミクスも「投資サイクルが重なるというマクロ経済の追い風があるから成功するだろう」(嶋中氏)。

 当然、株式相場にも支援材料になる。建設、不動産、道路、橋梁(きょうりょう)などの業種はもちろん、国内での設備投資を増やす自動車、工作機械も有望。20年に向けては、女性の活躍を促したり海外から投資を呼び込んだりするために安倍政権が掲げる政策(表B)への関心も高い。

 

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 さらに市場関係者が注目するのが高齢化社会に向けた投資だ。20年のパラリンピックに備え、障害者にやさしい都市づくりをすれば、そのまま高齢者にやさしい都市づくりにつながる。コモンズ投信の伊井哲朗社長は「バリアフリー、ヒートアイランド対策、電気自動車など高齢者や障害者らのニーズの高い銘柄に注目している」と語る。

 成長する企業を探す手掛かりとして、野村証券シニア・リサーチ・フェローの海津政信氏は「自己資本利益率(ROE)が向上している銘柄は期待できる」と語る。株主から預かった資本を有効活用できる企業は、長期での業績拡大が見込める。ROEが高い大企業は少なくない(表C

 

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こうした日本株市場の構造的な変化を受けて、参加する投資家の顔ぶれも徐々に変わってきた。昨年の買いの主役はヘッジファンドなど海外の短期投資家中心だったが、今年に入り「国内外の年金など長期の資金が入り始めた」(海津氏)。個人もデイトレーダーのような短期筋だけでなく、少額投資非課税制度(NISA)を通じた長期投資の個人資金がじわじわ動き出している。

 

■政策実行がカギ

 

 

日本株の長い上昇を裏付ける要因が見え始めている=ロイター
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日本株の長い上昇を裏付ける要因が見え始めている=ロイター

 

 企業経営者の意識も大きく変わってきた。長期で保有する株主に報いるため、増配に踏み切る企業が増えている。前期、上場企業の配当総額は2割増の6兆9000億円と過去最高になり、今期はさらに増える可能性が高い。

 企業は、デフレ時代にため込んだ約300兆円の内部留保もようやく活用し始めた。今期の全産業ベースの国内設備投資額は、前期比15%増えそう。ハイブリッド車の生産拡大に動くトヨタ自動車、半導体の増産を狙う東芝、ショッピングセンターを増やすイオンなど大型の設備投資を予定する企業が相次いでいる。長期の成長をもくろんだ大型の企業買収も増えている。

 海外の短期投資家は株価に即効性のある追加金融緩和に注目してきたが、長期投資家は成長戦略が着実に実行されるかどうかを注目する。法人税率の引き下げなど具体的な政策を、ぶれることなく実行する必要がある。

(編集委員 鈴木亮)

 

[日本経済新聞朝刊2014年7月23日付



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