ringoのつぶやき

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第5部(中)もう一つの経済――仮想通貨に自由を求め(ネット人類未来)

2013年06月03日 12時14分46秒 | 社会経済

 4月下旬。都内で金融コンサルタントを営む野口能也(41)は「『ビットコイン』を手伝うエンジニア」を名のる若い男性の訪問を受けた。
 男性は野口がブログで書いたビットコインの記事に興味を持っていた。聞けば昼は会社員、夜は「ビットコインの整備人」だという。
 「あのシステムは本当に美しい」。ワイン片手に2人で金融の難しい理論を話し込んだ。野口はつくづく思った。「なるほど、世界中のこういう若者が支えているんだ」
 ビットコインは2009年に生まれたインターネット上の通貨。独自の暗号技術でつくられ、ネット通販の決済や送金に使える。ドルや円との交換レートは需給状況で変動し、管理や決済はパソコンやスマートフォン(スマホ)上だ。
 最大の特徴は「政府や中央銀行から自由な通貨」という点。技術は端末同士が直接通信しあうピア・ツー・ピア(P2P)を使い、人為的な通貨量の調節は難しい。
 ただ、謎も多い。開発したのは欧米のハッカーとも日本の数学者とも噂される「中本哲史」という人物。改善と整備は世界中に散らばる技術者があたっているとされるが、詳細は不明だ。
取引額月500億円
 今年初めは1ビットコインが10~20ドルで取引されていた。だが欧州のキプロス問題で預金封鎖や預金への課税が議論されるとマネーが一気に流入。1ビットコイン=266ドルに急騰して世界の注目を集めた。「政治家が動かす国家は間違える」。そう考えた投資家が安全に資産を国外退避できる通貨とみなした先がビットコインだった。
 実はビットコインの取引で最も大きな会社が都内にある。ベンチャー企業のTIBANNE。会員は世界に50万人おり、世界の取引量の過半を握る。「4月は累計500億円規模の取引があった。1年前の100倍だ」と社長のマルク・カルプレス(27)は話す。
 マネーロンダリングに使われないか。米国政府は最近、ビットコインを様々な視点から分析し、警戒し始めたという。じわじわと増加する取引量。「国境がない通貨」には、主要国も無関心ではいられない。
善意の受け皿に
 存在感を増すネットマネー。それはまだある。筑波山の麓、つくば市。この秋の完成に向けて急ピッチで進むのは児童養護施設の建設だ。虐待などで家族と暮らせない子供を預かる場所になる。
 建築資金にあてているのは国の補助金のほか、ネットを通じて300人以上から毎月集まる寄付金。認定NPO法人のリビング・イン・ピースがクラウドファンディングの仕組みを提供、受け皿になっている。
 代表の愼泰俊(31)は「(善意で向けられるクラウドファンディングは)税金や補助金より機動性がある」と話す。この動きは政府も注目する。小口のお金をネットなどから集め、新しい事業に活用する仕組みを、6月にまとめる成長戦略に盛り込む予定だ。
 アベノミクスで進む円高修正。原動力はネットを介した個人のFXマネーでもあった。その円取引額は4月にかけて1500兆円と日本の年間輸出入額の10倍に達した。
 歴史を振り返れば、貨幣は金本位制のくびきが解かれて自由度が増し、経済も発展した。それがさらに自由になれば市場の偏りや不均衡も解決するかもしれない。ネットが生むもう一つの経済。資本主義を新たな段階に導くか。(敬称略)
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【図・写真】ネットマネーへの逃避も広がった(3月、キプロスの銀行の行列)=ロイター



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