尾びれを使って魚のように泳げる自走式のカプセル内視鏡で、ヒトの体内を撮影することに大阪医大と龍谷大のグループが初めて成功したと21日発表した。磁力を使って体の外から動かす。医師が内視鏡の映像を見ながらジョイスティックで操作し、患部を重点的に撮影できるという。
内視鏡の愛称は「マーメイド」。全長4.5センチ、直径1.2センチ。グループは2009年、自走式内視鏡を開発して犬で実験。今回はヒトに応用し、操作しながら撮影することに成功した。磁場はMRIより弱く、尾びれなどが胃腸を傷つけないことも確認できたという。大阪医大の樋口和秀教授は「構造もシンプルで安価。理想的な内視鏡ができた」と話す。
カプセル式の内視鏡は07年に国内で保険適用され、世界で100万件以上の実績がある。しかし、胃や腸の動きに任せて進むため、患部をうまく観察できないことがあった。(東山正宜)
胃を模した水槽を泳ぐ自走式カプセル内視鏡=大阪医大、龍谷大提供
自走式のカプセル内視鏡。尾びれを動かし、魚のように動く=大阪医大、龍谷大提供
自走式のカプセル内視鏡。患者の上や右にある電磁石の磁場で動く=21日、大阪府高槻市の大阪医大