ringoのつぶやき

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世界初、セコム「空飛ぶ防犯ロボット」の実力

2014年04月25日 18時52分34秒 | 社会経済

2013/3/6 7:00日本経済新聞 電子版

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 まるでSF映画のように、自律飛行するロボットが侵入した不審者を上空から監視し、セキュリティーを保つ――。

 

 

図1 自律飛行する小型監視ロボット。汎用の飛行台車にレーザーセンサーやカメラ、LED照明の他、通信機器や制御用のコンピューターを搭載した
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図1 自律飛行する小型監視ロボット。汎用の飛行台車にレーザーセンサーやカメラ、LED照明の他、通信機器や制御用のコンピューターを搭載した

 セキュリティーに関するニーズが高まる中、セコムは、世界初となる自律飛行する防犯向け小型飛行監視ロボットを開発した(図1)。商業施設の駐車場や工場、倉庫の敷地内などに許可を得ていないクルマや人などが侵入すると、同ロボットが上空からそれら不審車や不審人物を撮影する。

 

 監視カメラがない、もしくは死角になっている場所でも、不審人物などに近づいて証拠となりやすい写真を撮れる上、建物に侵入する前に警告を発することで高い防犯効果も期待できる。

 

■ロボット自体は汎用製品

 同ロボットのベースとなっている飛行機構(飛行台車)は独Ascending Technologiesの汎用製品だ。ここにセコムがレーザーセンサーやカメラ、通信機器、コンピューター、LED(発光ダイオード)照明などの防犯用システムを搭載した。

 

 前後左右に4つの回転翼を備え、ヘリコプターのように上昇・下降や水平移動、ホバリングができる。質量は約1.6kgで、15分ほどの連続飛行が可能だ。

 

 飛行性能としては、かなり高いところまで上がれるが、地上からの侵入を防ぐという防犯機能上の飛行高度は10m程度という。

 

■不審車の周囲旋回してナンバープレート撮影

 飛行監視ロボットは、レーザーセンサーや制御装置などから成る既存のセキュリティーシステムの一部として利用することを想定している。セキュリティーシステムは、対象施設の建物などに設置されたレーザーセンサーで人やクルマの出入りや移動を検出し、専用のIC(集積回路)タグを保有・保持していないと不審車/不審者と判断する。

 

 例えば、駐車場に不審車が侵入すると、レーザーセンサーで検出したクルマの位置情報を、警備対象の施設や工場の屋上などに設置された充電機能付きのステーションで待機している飛行監視ロボットに送信する。同ロボットが不審車の位置情報を受け取ると、自律的に不審車の近くまで飛んで行き、高度数mほどで距離を保ちながら周囲を旋回して撮影する。

 

 その際、搭載されたカメラの映像解析およびレーザーセンサーの情報から不審車の前後方向を特定し、追跡しやすいようにその後ろに回り込んでナンバープレートの付近を重点的に撮影する(図2)。これにより、後の捜査で不審車の保有者を割り出しやすくなる。

 

図2 不審車が侵入すると周囲を旋回しながら撮影。画像を解析してクルマの前後方向を判別し、後方のナンバープレートを自動的に撮影する(a)。(b)は飛行監視ロボットのカメラの映像
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図2 不審車が侵入すると周囲を旋回しながら撮影。画像を解析してクルマの前後方向を判別し、後方のナンバープレートを自動的に撮影する(a)。(b)は飛行監視ロボットのカメラの映像

 

 不審者が浸入した場合も、同様に数mの距離を保ちながら周囲を旋回しつつ顔が分かるように正面から撮影する。不審車が移動した場合は自動で敷地内を追跡。さらに、逃走した場合には逃走方向を見極めるために敷地の縁まで追いかけてしばらく撮影を続ける。

 

■監視範囲は最大で1km四方

 こうした飛行監視ロボットの最大の利点は、「不審者などと一定の距離をとって飛行することで、不審者が棒やバールなどを持って反撃しようとしても直接攻撃できない」(同社執行役員IS研究所所長の小松崎常夫氏)ことだ(図3)。

 

図3 不審者を監視するデモンストレーションの様子。不審者に対して顔が分かるように正面から写真を撮影する(a)。(b)は撮影した映像。数m程度の距離を保って飛ぶので、反撃を受けにくい
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図3 不審者を監視するデモンストレーションの様子。不審者に対して顔が分かるように正面から写真を撮影する(a)。(b)は撮影した映像。数m程度の距離を保って飛ぶので、反撃を受けにくい

 

 監視機能を高めるため、搭載するLED照明は、「平均演色評価数(Ra:光源の演色性の高さを示す指数で、100に近いほど正しい色に見える)が95程度の演色性の高いものを採用している。これによりクルマの色などを正確に特定できる。

 

 飛行領域は安全確保のために、あらかじめ設定した敷地内に限定した。飛行監視ロボットは、警備対象施設の3次元地図データを保持し、このデータとレーザーセンサーによる測距データを照合して自分の位置を特定する。監視範囲の領域は「大きくても1km四方だろう」(同氏)という。

 

■利用料はレンタルで月5000円が目標

 稼働中に飛行監視ロボットが撮影した映像は、建物内の制御装置を介してリアルタイムでセコムのコントロールセンターに送信され、必要に応じて警備員が駆けつけたり警察に連絡したりする。「できるだけ不審者/不審車に近づいて撮影することで捜査しやすくなる」(同社代表取締役社長前田修司氏)。

 

 同社はこれまでも、ビルの防犯監視などに使う自走ロボットなどを開発してきた。今回の飛行監視ロボットは、これまでに培ってきたロボット技術や、不審者を識別するセキュリティーシステムの画像処理技術など、同社の最新技術を盛り込んだ。

 

 「できれば2014年度に実用化したい。利用料金はレンタルで月額5000円を目指す」(前田氏)。

 

 技術進歩によって、電源となるLi(リチウム)イオン2次電池のエネルギー密度が高まれば、「より小型でより多くのセキュリティー機器を搭載可能な飛行監視ロボットを実現できる」(小松崎氏)とみている。

 

 弱点は悪天候に弱いこと。開発した試作品は機器がむき出しになっている。「今後条件を詰めるが、その部分を改良するなどして、雨には耐えられるようにしたい。ただし、強風や降雪時の稼働は難しいだろう」(前田氏)としている。

(日経ものづくり 吉田勝)

 

[日経ものづくり2013年2月号の記事を基に再構成]



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