ロンドン(ダウ・ジョーンズ)欧州中央銀行(ECB)は8日、ユーロ圏経済は今年マイナス成長になる可能性が高
いことを認め、インフレがECBの中期目標を上回るとの見通しを示した。
ドラギECB総裁は月例記者会見の冒頭で、エネルギー価格や各種公定価格が予想以上に高騰しているため、「イ
ンフレ率は今年、2%を上回る水準を維持することが見込まれる。上振れリスクのほうが強い」と語った。
これにより2012年消費者物価指数(CPI)上昇率の予測中央値を2.4%と、3カ月前の2.0%から引き上げた。
同時に、ECBとユーロ圏各国の中央銀行で構成するユーロシステムは、ユーロ圏12年の域内総生産(GDP)成長率
の予想中央値が0.1%減になったと明らかにした。予想範囲の上限は0.3%増、下限は0.5%減だった。ECBはユー
ロ圏13年の成長率予想も、前回の1.3%から1.1%に下方修正した。
ドラギ総裁はただ、「景気見通しは依然として下振れリスクに左右されている」とし、金融市場における緊張の
再燃や、それが実体経済に与える影響に注意を促した。コモディティー(商品)価格が高騰する恐れにも言及し
た。
だが総裁は、2回で計1兆ユーロ超の3年物資金を銀行システムに供給する緊急オペをECBが実施したことで、信用
ひっ迫と金融市場のさらなる混迷は回避できたと、胸を張った。
昨年11月以来、「大きな前進があった。リスク環境は著しく改善した」と述べた。
その結果、国債市場や銀行カバード債市場、「そして銀行間市場ですら」再び動き出した、と指摘した。こうし
た傾向はECBの措置だけによるものではないとし、先週の欧州連合(EU)首脳会議で調印された新財政協定を筆頭
に、ユーロ圏加盟国政府が導入した政治改革を称賛した。
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