2014年4月4日のブログ記事一覧-ringoのつぶやき

物価連動債入札、予想超す強い結果海外の買いと「入れ替え需要」

2014年04月04日 07時37分35秒 | 債券

2014/04/04 07:26 日経速報ニュース 1394文字

（３日19時55分に配信した記事と同内容です）
　財務省が３日に実施した物価連動国債の入札は強い需要を確認する結果となった。１月に実施した前回の入札に比べ1000億円の増額だったにもかかわらず、需要が集まったのは、物価に強気な海外勢の買いに加え、既発債との「入れ替え」需要が多かったためとの見方が多い。今後も需給の引き締まりが物価連動債の支えになりそうだ。ただ、価格には割安感が薄れてきたとの見方も出てきた。
　10年物の物価連動国債（新発18回債、表面利率0.1％、発行予定額4000億円）の入札は、最低落札価格が108円20銭と市場予想の中心（107円50～75銭）を大幅に上回った。応札額を落札額で割った応札倍率も2.89倍と前回（2.87倍）をやや上回った。市場では「強い結果」（ＪＰモルガン証券の山下悠也債券ストラテジスト）との評価が目立った。
　今回の入札で存在感を発揮したのは海外勢との見方が多い。日経ＱＵＩＣＫニュース社（ＮＱＮ）の調べでは今回の入札で落札額が判明しない「不明額」が3013億円と落札額（3998億円）の75％にのぼった。このことからメリルリンチ日本証券の藤田昇悟チーフ債券ストラテジストは「物価連動国債を中心に運用する海外ファンドの需要を背景とした海外勢による購入が多かった」と推測する。海外勢は日銀の金融緩和期待が強く、物価上昇に対する見方も強気だという。
　さらに、このところ価格が上昇している既発債を処分売りし、新発債を購入して物価連動債の持ち高を維持する入れ替えを目的とした応札も多かった。財務省が午後に実施した既発債の買い入れ消却では応札額が1181億円と、前回（244億円）を上回った。入札における18回債の落札額が財務省に売却できる上限となるため、売却分だけ落札額を増やす必要がある。
　入札前に実施した午前の300億円を含めると、この日の財務省による買い入れ額は1500億円程度の規模となった。これまでの日銀による物価連動国債の買い入れオペ（公開市場操作）では応札額が少なく、入れ替えの需要が一巡していたとの見方が多かっただけに、意外感のある規模になったという。
　一方、年金積立金管理運用独立行政法人（ＧＰＩＦ）の存在には引き続き注目が集まりそうだ。ＧＰＩＦは年間4000億円程度を購入すると表明したことから、今回の入札でも1000億円程度は購入するとの見方が多かった。ただ、最低落札価格が予想を大幅に上回ったうえ「不明額の多さを踏まえると予定額を確保できなかった可能性も高い」（国内証券）という。このため引き締まった需給に支えられる展開は当面続くとの見方が大勢だ。
　ただ、物価連動債の相場は昨年10月に財務省が物価連動国債の入札を再開して以降、ほぼ一本調子に上昇してきた。物価連動債の価格（利回り）から算出する予想インフレ率（ブレーク・イーブン・インフレ率、ＢＥＩ）は、足元で1.35％程度。ＱＵＩＣＫが３月に実施した債券月次調査では、今後10年間の消費者物価指数（ＣＰＩ）の上昇率は年換算で1.39％。今回のＢＥＩはこの数値に接近している。
　これ以上の物価連動債の価格上昇を正当化するには「今後一段と期待インフレ率を高める材料が必要だ」（ＵＢＳ証券の井川雄亮債券ストラテジスト）との声も聞かれる。〔日経ＱＵＩＣＫニュース（ＮＱＮ）　鈴木孝太朗〕