1)外国人投資家が大幅な買い越しになった。
2)日経平均は高値もみ合いになって、まだ方向は出ていない。
3)強気材料があって高値にいるときほど、慎重に対応するように心掛ける。
◆外国人投資家が大幅な買い越し
昨日、東京証券取引所から発表された10月第3週(10月15日-10月19日)の投資主体別売買動向によると、外国人投資家が1546億円の買い越しとなりました。買い越しは2週ぶりですが、買い越し金額が約半年ぶりの大きさでした。
今年1月から4月初めまでの上昇相場でも外国人投資家の買い越しが原動力になっていました。このときの1週間の買い越し金額と比較すると、大きさがイメージできます。
日経平均は、下がりそうで下がらず、上がりそうで上がらないという動きが続いていますが、上昇後の高値水準にいることを考えると、いわゆる「値固めの動き」になっているようです。
テクニカル的には、200日移動平均線が上値を抑え、25日と75日移動平均線が下値を支えるという往来相場になっています。前述した3つの移動平均線もほぼ横ばいになっていますので、これからどちらに動くかで全体の方向性が出てくる可能性があります。
どちらに動くかわからないものの、1ドル=80円台に乗せてきた円安傾向に加えて、外国人投資家の買い越しとなりますと、「上に抜ける」ことを期待しやすい環境ではないかと思います。
順張りの代表的な投資手法として、「高値抜けを買う(レンジブレイク)」というやり方があります。やみくもに高値を買えばよいのではなく、往来相場(レンジ)から上昇相場に変わるとき(ブレイク)を狙うのがオーソドックスな方法です。
今の日経平均は移動平均線にはさまれた往来相場ですので、往来の高値抜けを使う投資家であれば、次の動きを狙っていることでしょう。ただし、狙っている投資家が多ければ多いほど買いたい投資家が一斉に買いが入ってしまいますので、「さらに高値を買う投資家がいない」ということもあります。
そうなると、典型的な高値つかみとなりますので、上昇が続かないときには潔く損切りしないといけません。
外国人投資家の買い越しが目立ったからといって、今年春先のような上昇相場が起きるかどうかはまったくわかりません。反対に来週(30日)に控えている日銀の追加金融緩和が期待通りに行われた場合でも、期待が高いだけに「材料出尽くし」となってしまうことも考えられます。
◆上昇した後を狙う方法もある
もしも期待通りの高値抜けとなって上昇が続いた場合には、短期的な過熱感が相当強くなります。そうなると、利益確定売りに押される調整がどこかで起こります。
ただし、株価の方向は上に向かったあとですので、調整が終われば再び上昇する可能性も高いといえます。つまり「押し目買い」とは、上昇に転じたあとの調整を買うことなので、方向性を見てからでも十分に間に合います。
また、「山高ければ、谷深し」といいますように、大きく上昇した方が大きく下がる可能性も高くなりますので、上昇後に「転換点シグナル」が出る可能性も高まります。
今の環境は、悪い材料が見えなくなっていて、期待できる材料が表に出ている状況です。根本的には、景気減速や欧州不安、企業業績の下方修正リスクなどが潜んでいることは周知の事実です。
つい2週間くらい前までは先行きに悲観的な見方も多く見られていたように、強気と弱気の材料が交錯している状況では、相場の心理がコロッと変わることもあります。強気に見えるときほど、高値を追いかけて買わない、大きく買いすぎないようにして、あとで後悔しないための慎重な行動を心がけた方がよいと思います。