1)ギリシャ再選挙は緊縮財政派の勝利となった。
2)日経平均は大幅高となったが、売買代金が増えていない。
3)上昇転換に期待がかかるが、売買代金の傾向からは、信頼度が低い可能性がある。
◆ギリシャ再選挙を受けて大幅高も買い戻しの範囲か?
日本時間の深夜に決着がついたギリシャ再選挙は緊縮財政派の勝利となり、ギリシャのユーロ離脱からの超インフレや金融市場の混乱というシナリオ危機回避となりました。
ただし、ギリシャ問題について冷静に考えれば「支援の継続(現状)と悪いシナリオになるの2択」だったのですから、結局は「現状が継続した」だけのことともいえます。
今後も混乱は続くと考えられますし、ギリシャ以外にスペイン問題もあり、ユーロ圏の財政不安がすぐには解決しないと考えるのが自然だと思われます。
投資家の行動としては、先週までに何か起きるかもしれないので、いったん現金化していたり、空売りしていた分を買い戻すということになり、さらに投資資金を増やしてリスクを取るという材料にはなりにくいと考えられます。
ギリシャ再選挙の結果については、世界の株式市場の中で、東京市場が最初に織り込みます。結果は買い先行で大幅上昇となったものの、買い一巡後は伸び悩む動きを見せていますから、日経平均の動きからも、今日の段階は買い戻しの範囲と考えてもよいと思います。
◆保ち合い離れの信頼度は出来高
日経平均のチャート上は、傾向に大きな変化が出てきました。先週末にレポートしたとおり、短期では下値切り上げの三角保ち合い、中期では下落トレンドの上値支持線に接近となっていましたが、ともに上に離れた格好となっています。
そうなると強気になって「買い」となるところですが、本日は大幅上昇となったのに、出来高・売買代金が増加していません。
保ち合い離れやトレンドが転換して、その後も上昇が続く場合には、出来高や売買代金が増加するという傾向があります。
なぜなら、保ち合いは投資家が気迷ってできる動きであり、下落トレンドは悪い材料があって下げ続けるという背景があります。つまり、どちらの動きも「何かの好材料が出て傾向が変わる=買いたい投資家が増えて出来高が急増する」ということが、その後の信頼度を裏付けるデータとなります。
ところが、本日の東証一部の売買代金は前場時点で4206億円となっており、折り返しで1兆円にも届かない状況です。
前述した今日の大幅高が買い戻しの範囲の可能性があると考えたのは、ギリシャ問題の材料だけではなく、東証一部の売買代金が増えていないことが大きな要因です。
今日のように上昇に転換しそうなときに買うという考え方はありますし、よく知られた方法でもあります。しかしながら、出来高や売買代金が増加しないということは、それほど強気に転換してはいないという可能性があるということになります。
また、売買代金が増えないのは、東証一部の7割近いシェアを持っている外国人投資家が買いに動いていないことの裏返しだと思われます。
したがって、さらに上昇が続く前提で上昇中を買うということは、目先的に一回は買い値を下回る可能性もあるのでリスクが高い方法だと考えられます。
買い戻し一巡で押し戻されることも十分に考えられますので、買うのであればあわてずに押し目を待つという方針でよいと思います。
レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明