私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

真保裕一の栄光なき凱旋

2011年04月25日 18時30分20秒 | ミステリー/文芸


久しぶりに読み応えのある大作を読んだ。
山崎豊子の沈まぬ太陽や大地の子のような後読感。
この作家の本は奪取やホワイトアウトなど読んできているが、この本は間違いなく抜きんでている。
今のところ私のBEST OF 2011


真珠湾攻撃目前のアメリカ。 そこに住む日系人1世、2世を描いた小説。
複雑な1世、2世の関係。帰米組と2世の確執。さらにロスアンジェルスに住む日系人とハワイに住む日系人との違いなどの要素もとりいれた実にリアリテーあふれている。 この本に登場してくる人全てが丁寧にえがかれているし、上下の長編ながら実にスムーズ。 作者はよほど戦時中のの日系人の勉強もしたのであろう、ちゃんとキャンプの中でききとりされた踏み絵のごとき質問表にもふれていた。この質問が1世と2世の溝をされに深めたものとして話に登場するのにも関心。ちゃんと歴史背景にそっている。

アメリカに住む人(現在1世)にはより身近な1冊になると思う。
大学のときこのテーマを勉強していたが、私は1世と2世の両方の気持ちがわかる。