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湊かなえの告白

2009年02月16日 11時45分09秒 | ミステリー
湊かなえの告白

本屋大賞のベスト10いりもした、この新人作家のデビュー作品。ショッキングな帯がついている。"愛美は事故で死んだのではありませんこのクラスの生徒に殺されたのです"とある。
私はこの帯を見て購入を決めた。


第一章目は帯のとうり、中学教師である先生が修業式の日に担任クラスの生徒を前に、自分の4さいになる娘はこのクラスに今座っている生徒によって殺されたのですという告白から始まる。一人称の告白で第一章が終わり、順次語手を変えて、この殺人事件に関係するひとびとの心境をかいている。

第2章ではこの担任が去った後のB組の様子を語る学級委員の女の子、B組に新任としてやってきた自己陶酔する熱血先生をこの学級委員長の冷めた目で書かれている。

第3章は人殺しをしてしまった中学生の母親をその日記をとうしてかかれている。"うらやましい"といわれる家庭を作ることに喜びをかんじているこの母親は、息子の直くんが人殺しに加担しているなど信じられず、最後まで違う息子像を追いかけようとするが、殺人者として開き直る直くんを前にとうとう事実をうけいれ息子を殺す決意をする。

第4章は目立たないやさしいだけが取り柄といわれるのに不満な直くんが殺人を犯すまでの彼なりの心境、理屈、動機などがかかれている。中学生らしい動機なのだが、だれもが1度は中学生だったので、この中学校という不気味な小世界が作り出す異様な心理は理解できると思う。

第5章は主犯の生徒の遺書である。おもしろいことに前章の学級委員の女の子がこの主犯のガールフレンドとなっているのだが、前章の担任を冷めた目で見ている娘とは違い中学生らしい馬鹿らしい夢想(妄想)をする特別になりたい願望がある普通の中学生である。ここにでてきている中学生3人どれもが、普通でいることを厭い周りを見下し優越感に浸っている。

これは思わずブラボーと言いたくなる作品である。 普通であるということがバカであり、自分は違うと思って世間をなめきっているが実はどこにでもいる中学生、だが未成年なだけに法に守られさらに子供だからと見守らなければならないこの身勝手な集団に対して一矢報いた。ストレスが溜まっている中学、高校の教師などには特におすすめな本である。この第1章で告白する女教師がこれまたすごい復讐を考えるのだ。それは読んでのお楽しみ。

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