最近山本一力の本にはまっているので、またまたで申し訳ないがお付き合いねがいたい。
この前ちらりと話したがこの作者の本で"いっぽん桜"というのを読んだ、短編集でとてもよかったのだが、私個人的には辰巳八景のほうがよいと思った。同じく短編集なのだが、8作入っていて、どれもが心に残るいい作品だった。
やっぱり内容は江戸に住む人々の生活、風景、文化、心意気などを描いていて、主人公もせんべい屋の娘、大店に行儀見習に上がった大工の娘、仲町の医者、鳶のおかみさん、辰巳芸者、女履物職人などなど。それに伴い、それぞれの生業、町などに関わるゆわれがそれとなくおり混ざっていて話をさらに深いものにしている。例えばろうそく屋の主人のはなしでは、いかに火持ちのよさがいいロウソクをつくるかが書かれており、良品を納められるだけの店ゆえに赤穂浪士切腹のさいにその店のロウソクが使われることとなる。その時の主人の心境が実によくかかれている。
ひとつひとつが実に短い話にもかかわらず思わずため息がでる。私が読んだ山本一力の話ではこの本がまずピカイチだと思う。文庫本で590円とは全くお買い得。ご祝儀をつけてもいいくらいである。
本屋大賞の候補作が発表された。以下のとうり。
悼む人』天童荒太(文藝春秋) / 『告白』湊かなえ(双葉社)
『出星前夜』飯嶋和一(小学館) / 『ジョーカー・ゲーム』柳広司 (角川書店)
『新世界より』貴志祐介(講談社) / 『テンペスト』池上永一(角川書店)
『のぼうの城』和田竜 (小学館) / 『ボックス!』百田尚樹(太田出版)
『モダンタイムス』伊坂幸太郎(講談社) / 『流星の絆』東野圭吾(講談社)
ちなみに、告白は私も持っていてまだ、読んでいないのだが、今から楽しみ。