名古屋するめクラブ

~名古屋発くうみるあそぶ~

「音楽」 BY 武満徹&小澤征爾

2006年11月04日 23時04分09秒 | 読む
先月オーストラリアに行った時、現地スタッフの人がディナーを企画してくれました。そこには日本人以外に、オーストラリア人・アメリカ人・アイルランド人が来てくれてたんですが、アクセントの違いはあるものの似通った顔で同じ言語を話すその3人を見比べながら、果たして、この3人はどんな風にアイデンティティを感じるのか、それはどんな感じのものなのかなんて、タイ料理食べながらふと思いました。



たとえば、私達日本人なら、顔では見分けがつかなくても、中国語やハングルを聞けば、「あ、外国人か」「自分と違うのか」って自分の日本人としてのアイデンティティ意識しますよね?そんな感じの感覚、この3人も感じることあるんでしょうか?



「音楽」。

武満徹と小澤征爾 の対談本です。

その中の一説「みそ汁とパスポート」で、望めばどこの国籍も得ることができる小澤が「日本人」であり続ける理由を語っている。

自分にとって一番大事なのは何かと考えてみるんだ。日本国と書いてあるパスポートじゃないし、国籍でもない。俺が「日本」と言って愛してるものは一体何か?とね。そうするとね、それはね、結局、「帰巣本能」みたいなもの。それはたぶん、僕が子供の頃からなじんできた、食習慣であったり、文化的伝統であったり、感受性であったり、友人達であったりするものの総体だと思うんだよ。僕の日本に対する愛は、みそ汁に対する愛国心みたいなものだよ。


なるほどね~

みそ汁ですか~

シンプルだけど、「言語」の違いより遥かに「大局的」な考え方ですね。あの3人にもきっとある「愛国心」の基本は、もしかしたら自国で食べるお母さんのスープの味なんかなのかもしれません。そんなもんですよね。国籍のアイデンティティなんて。

性格を異にする二人の高名な音楽家が音楽を核にして瑞々しい感性をぶつけ合わせる対談本。あとがきは細野晴臣氏。

今年は武満徹没後10年ということで、各所で様々なイベントが企画されているようです。

『音楽』
新潮文庫
小澤 征爾, 武満 徹


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