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金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』Ⅱ本論(一)「意識(対象意識)」1「感覚」(その3):「他」と関係を断った「個別者」or「この自分」はない!「このもの」をヘーゲルは「存在 Sein」と言う!

2024-05-03 15:05:24 | 日記
※金子武蔵(カネコタケゾウ)『ヘーゲルの精神現象学』ちくま学芸文庫(1996)(Cf. 初刊1973)
Ⅱ本論(一)「意識(対象意識)」1「感覚」(その3)(96-97頁)
(15)-4 全然「他」と関係を断った「個別者」or「この自分」というものはありえない!(96-97頁)
★「個別者」について「主体の方向」について言えば、「このもの」すなわち「この個人」or「この自分」は、金子(※著者)である。だが他者Xも「この自分」であるし、他者Yも「この自分」と言う。(96頁)
☆だから「この自分」も、1人ではなくてたくさんある。その中の「個別者」が「この自分」であって、全然「他」と関係を断った「個別者」or「この自分」というものはありえない。(96頁)

Cf. しかし「感覚的確信」の考えというものは、じつはその裏には「キリスト教の受肉の教義」をもっている。「『この人間』も単なる人間でなく、神が肉を受けてなったもので、『絶対的な実在性』をもっているものだ」という「受肉の教義」と関係があることだが、かかるこの「個別者」はヘーゲルも認めている。(96頁)

★全然「他」と関係のない「このもの」はありえない。主体的にも「純然たる個別者」はありえないとヘーゲルは考えている。(96-97頁)
    
(15)-5 「このもの」をヘーゲルは「存在 Sein」と言い直す!(97頁)
★対象的な「このもの」をヘーゲルは「存在 Sein」と言い直している。これは「パルメニデースの学説」を「感覚的確信の立場をはなれえないものだ」という見地から暗々裏に批評している。(97頁)
《参考》パルメニデス:前5世紀に活動した古代ギリシアの哲学者。エレア学派の祖。不生不滅,唯一不動の〈在るもの(ト・エオン)〉のみを真実在とし,世界の多性と運動とをすべて臆見として否定。〈同一性の哲学〉がここに始まり,原子論やプラトンのイデア論への道をひらいた。世界は分けることのできない唯一・不変不動・不生不滅の存在(球体)であると主張した。生成とは「あらぬもの」が「あるもの」になることだとして,雑多なものの生成を拒否し,永遠に変わらぬ「あるもの」だけが真の意味で存在するという説を立てた。弟子にエレアのゼノンがいる。

★「単なるこの個人」の存在を主張するという限りにおいては、「プロタゴラスの学説」を、ヘーゲルは暗々裏に批評している。(97頁)
《参考》プロタゴラス:前5世紀の古代ギリシャの哲学者。ソフィストの祖。「人間は万物の尺度である。在るものについては在ることの、在らぬものについては在らぬことの(尺度である)」と説き、各人の主観的判断以外に真理はないとする相対論を主張。真理の絶対的基準を否定。真理の基準を個々の人間の感覚に見立てようとする説を述べた。

★このように『精神現象学』はつねに歴史との関係をもっている。(97頁)
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