S-38は、ごく平凡なトランスレス・タイプの中間周波数455kHzシングル・スーパーヘテロダインで構成された、普及型の中・短波受信機である。往年の名機と呼ばれるS-38の機能と実際に使ってみた操作性をレポートする。
S-38で目を引くデザイン的特長は、左右向い合わせの半円状周波数ダイヤル表示にある。向かって左側が4バンドに分割した周波数を表示するメインチューニング・ダイヤル、右側がその微調整を行なうためのバンドスプレッド・ダイヤルの表示部分だ。
各ノブやスイッチにレタリングされた文字と機能を、以下①~⑨に示します。
①TUNING
S-38の周波数同調回路は、左側のTUNING、右側のBAND SPREADの2つのノブを回して、バリコンを糸掛け駆動します。目的の周波数に同調するための、メインチューニング・ダイヤルです。
短波帯は3バンドにしか分割されていないため、このTUNINGダイヤルをごくわずか動かしただけで周波数は大きく変化します。
②BAND SPREAD
BAND SPREADダイヤルは、①TUNINGダイヤルで同調した周波数の微調整を行ないます。
このBAND SPREADダイヤルで駆動されるバリコンは、TUNINGダイヤルで駆動されるメインバリコンと一体となっています。
③SPEAKER/PHONE
内蔵スピーカと、キャビネット背面にあるヘッドホン出力(ハイインピーダンス)の切替スイッチです。
ヘッドホンジャックにプラグを差し込むだけでヘッドホンに切替わる方式になるのはずっと後のことであり、’50年代の日本製家庭用5球スーパーにも同様の切替スイッチがありました。
④A.M./C.W.
ラジオや音声通信に使われるA.M.と、モールス信号を再生するC.W.の受信モード切替スイッチです。 C.W.にするとBFO(Beat Frequency Oscillator)出力を検波回路へ注入し、モールス信号を再生します。
⑤NOISE LIMITER OFF/ON
ノイズ・リミッタ(雑音低減回路)のOFF/ONを切替えるスイッチです。ONにしても若干感度が低下するだけで、効果はほとんどありません。
⑥C.W. PITCH
C.W.の受信モードでモールス信号を再生する際に、再生音を調整するためのツマミです。
⑦BAND SELECT
ロータリースイッチにより、中波から短波をカバーします。下記の1~4の周波数バンドに4分割し、選択するための切替スイッチです。
1 : 540~1650kC 2 : 1.65~5 MC 3 : 5~14.5 MC 4 : 13.5~32 MC
⑧VOLUME(電源 ON/OFF)
電源 ON/OFFスイッチを兼用し、音量を調整するためのツマミです。
⑨RECEIVE/STANDBY
S-38をアマチュア無線用の受信機として使う場合、隣に置いた送信機で電波を送信するとき、受信機の動作を一時停止した状態にするためのスイッチです。通常はRECEIVE にしますが、STANDBYにすると中間周波増幅管12SG7のカソードがオフになり、受信動作を停止し、送信機からの影響を受けません。
▲S-38を使用した米国Novice Classライセンスのアマチュア無線局
短波帯の受信を主目的としたラジオ受信機では、十分な感度や選択度に加え、TUNINGダイヤルをごくわずか動かしただけで周波数が大きく変化する特性にどう対応するか、という点も重要である。この問題をクリアするために、電気的な周波数微調整を行なうバンドスプレッド・バリコン(BAND SPREADダイヤル)を装備したラジオが “ 通信型受信機 ” と呼ばれている。
S-38のバンドスプレッドは、メイン・バリコンと一体になったバンドスプレッド・バリコンを糸掛けドライブで駆動し、バンドスプレッド・ダイヤルの指針はバリコンのシャフトに直付けされている。その結果、フリクションロスは最低限であり、また指針がバリコン直結になっているためチューニング範囲を超えて回しても指針のズレは発生しない。 その結果、糸掛けとしては最高にスムースなチューニングが可能となっている。
S-38の電源を入れ、実際にBAND SPREADダイヤルのチューニング用ノブを回してみると、世界中から入感する電波を「探る」楽しみを十分に堪能できる。
発売から60年を経たS-38を使って海外からのラジオ番組を聴いていると、今のように “ 外国 ” が身近でなかった当時、アメリカの青少年がヨーロッパやロシア、オーストラリア、アジアからのラジオ番組に胸躍らせている情景が手に取るように伝わってくる。
■過去の記事 ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-38 受信機 (1) 2008年07月25日
■過去の記事 ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-38 受信機 (2) 2008年08月17日
■過去の記事 ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-38 受信機 (3) 2008年08月31日
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>糸掛けドライブで駆動し、バンドスプレッド・ダイヤルの指針はバリコンのシャフトに直付けされている。その結果、フリクションロスは最低限・・・
S-38の良さはこれですよね!
ダイアルコードの引き回しはシンプルなのが一番です
トリオの9R-42Jや9R-59を散々使ってきましたが、名機といわれている?9R-59が好きでないのは、フリクションロスの問題です
電話の運用ではあまり気になりませんが、電信の運用には、あのフニャフニャ感は問題でした
親父は今でも横行ダイアルの受信機には魅力を感じませんが、こんな理由からです
今しがた帰宅しました。あっ、飲みじゃないですよ(笑)
仰る様に極めてシンプルな構造であるが故に、ダイレクトに伝わる繊細なダイヤルタッチに「おぉぉ~」って感じです。受信機にとって選局の感触は重要ですよね。
また元オーナーの方からも「9R-59と比べ、高い周波数の感度も確実によいと思います」とコメントをいただきました。
例のモノのフリクションロスも比較してみていただければと思います。
岡山空港から飛行機で往復しました。岡山空港の駐車場は、終日無料なので最近は車が、駐車と言うより一杯泊まっています。一泊二日で帰ってきたら、隣は同じ車でしたから、もしかすると海外旅行かも知れません。第1から第3駐車場までは、満車なので第4駐車場に止めました。なんと、シャトルバスが12分おきに巡回しています。店長、海外旅行は岡山空港からが良いかも知れませんよ。
東京,岡山間は約1時間ですが、帰りは離陸から着陸までは50分でした。岡山からの場合、自宅から都心までの時間で比較すると、JRとあまり変わりませんが、新幹線より乗っている時間が短いので楽ですね。
仕事が靖国神社の近くだったので、神社にお参りして、遊就館で戦争の映画を見て、九段会館に泊まりました。ゼロ戦や戦車なども見ました。
何の出張だったのでしょう???
岡山空港は駐車料金がタダ!ってのが売りになっており、広島県東部の方々も利用されるみたいですね。
日帰りや一泊だと広島空港でもいいのですが、7~10日ともなると駐車料金もバカになりません。
上海への出張が多いころは、一泊¥500の送迎付きの辺鄙な駐車場に停めていました。
ボクも九段会館に泊り、早朝、靖国神社を散策したことがありますけれど、何ともいえぬ英霊のパワーをいただいて帰る気がします。。。。
お師匠様は修理を再開されているご様子、楽しく拝見しています。確かに最近は半田ごてを握ることが少なくなりました。。。。
ただ毎晩、真空管ラジオで番組を聴いてますし、熱意は冷めてませんので、この趣味を末永く続ける予定です。
S-38のネタは自分の中で好評につき、引っ張りまくってます(笑) 確かにアクセス数はビンビンに増えてますし・・・
そろそろ閉鎖だって~!?
そりゃかなりマズイっしょ!このブログからの読者も結構いらっしゃるので閉鎖にはブーイング
ちなみに最近、ウォーキング&里山登山を始めました。近々、ゴミをお送りしますので受け取ってください。
物騒な題を付けましたが、靖国の就遊館で見ました。私は、魚雷はバッテリーとモーターで推進するのかと思ったら、エンジンが付いていました。燃料と空気でエンジンを回すと、燃焼しない窒素などが排出され、航跡が残ってしまうので、空気の代わりに酸素を使うと言うわけです。酸素でエンジンを始動すると、爆発事故が起こったりして危険なので、当時アメリカでは、完成していなかったそうです。本物が展示してありましたが、日本は開発に成功し実戦に使っていたようです。展示の説明によると、エンジンを空気で始動して、酸素に切り替えていたそうです。
当時は軍事機密だったのでしょうが、種明かしを聞いてみると「なーんだ!」でした。
就遊館には、あの戦争で日本人が技術の粋を集めて作り上げた作品(兵器)が展示してあり、ボクも思わず見入ってしましました。資源のない日本が基礎技術を応用し、欧米先進国がなしえなかったモノづくり民族の真骨頂かと。
コンニャクと和紙で作った風船爆弾な~んてスゴイ兵器もあったことですし。