20世紀を代表するデザイナーRaymond Loewyによりデザインされ、Hallicrafters社から1946年の発売以来15年間にわたり製造・販売された不朽の名機 S-38シリーズの最終型である S-38Eを入手したのでご紹介する。
Hallicrafters S-38シリーズを語るとき、その秀逸なデザインについて触れないわけにはいかない。 初代S-38の魅力は、すでに本ブログの「ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-38 受信機 」にて述べているが、プロダクト・デザインに携わるプロの立場で見た場合、やはりS-38シリーズの意匠は60年の時空を超えた現代でも、人々の琴線にふれる作品であると言えよう。
▲S-38E(1957年発売)は、往年の名機S-38シリーズの最終型機種
同シリーズは、’46年から仕様の変更を重ねて ’61年まで、15年間にわたり生産され続けるほど大ヒットした入門用受信機である。通常の工業製品は、後期になるほど改良・改善されるものだが、本シリーズは'46年に発売された最初の S-38 から徐々に機能の省略化とコストダウンが図られ、1957年に発売されたS-38Eが最終型となる。
このような場合、最終型はすでにユーザーのニーズは薄れ、メーカー側もモチベーションの下がった駄作となることも多いのだが、S-38シリーズのS-38Eに関して言えば、そのデザインは有終の美を飾るにふさわしい力作である。
S-38シリーズのアイデンティティとも言える、左右対象にレイアウトされた半円形状周波数インジケータが特長的なフロントパネルデザインは、1954年にS-38Cで終了。同年に発売されたS-38Dからは大幅なイメージチェンジが行なわれ、大型横行き形状の周波数インジケータがフロントパネルを占めるスタイルへ変更されたが、Raymond Loewyによるデザインのこだわりは消え、魅力の少ないシンプルなデザインとなった。
▲S-38シリーズの特長的な周波数インジケータは、S-38Dより変更
その後、シルバーグレーのキャビネットである通常のS-38Dに加え、落ち着いた木目を生かしたマホガニーのプリントを施したカントリー調のS-38DMを追加。さらにS-38DからBFOとSTANBAYスイッチ回路を省略し、短波用ラジオだと割り切った5R-10も発売された。
▲落ち着いた木目のS-38DM(左)とBFO/STANBAY機能を省た5R-10(右)
1950年代中頃になると、アマチュア無線や業務用受信機は、高機能な高周波増幅1段・中間周波増幅2段シングルスーパーの回路構成が標準的になっていた。
そして所詮、一般家庭で通常のラジオ放送を聴く5球スーパーをベースとしながら、効率的に短波の電波をキャッチすることを目指したS-38のマーケティング戦略は、 " 入門用短波受信機 " から、「手軽に短波放送を味わってみよう」と考える人々を対象とした " 短波用ラジオ " へシフトしてきたことが下記の広告からもうかがい知れる。
今回入手したS-38Eでは、回路構成は従来のS-38シリーズとほぼ同じながら、真空管は従来のGT/メタル管からすべてmt管へと変わり、風貌や操作性を含め完全に中・短波 " ラジオ " へ移行した。 例えばキャビネットのカラーリングもS-38E(シルバーグレー)、S-38EM(マホガニー)、S-38EB(ベージュ)と3種類のラインナップを揃え、リビングやベッドルームでのんびりと世界各地から届くラジオ放送の番組を楽しむBroadcasting Listenerたちに裾野を広げた“ チョット高級そうに見える短波ラジオ ”といったところだろうか。
▲S-38E(左上)、S-38EB(左下)、S-38EM(右上)のラインナップ
Hallicrafters S-38Eから2年遅れてNational Radio社から NC-60 "NC-Sixty Special " という横行きダイヤルのラジオ受信機が発売された。
どちらも同じようなコンセプトだが無骨なNC-60と比べ、Hallicrafters S-38Eの方は造形美も含め "大人の短波ラジオ" としての趣が醸し出され、断然スマートだ。
▲Hallicrafters S-38E(左)とNational Radio NC-60 "NC-Sixty Special " (右)
いずれにしても往年の名機 S38シリーズの最期を飾るにふさわしい魅惑的なデザインのS-38Eに引き寄せられ、ヤクオフに出品されていることを発見したボクは思わず入札ボタンを押してしまっていた・・・(〃'∇'〃)ゝエヘヘ
Hallicrafters S-38シリーズを語るとき、その秀逸なデザインについて触れないわけにはいかない。 初代S-38の魅力は、すでに本ブログの「ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-38 受信機 」にて述べているが、プロダクト・デザインに携わるプロの立場で見た場合、やはりS-38シリーズの意匠は60年の時空を超えた現代でも、人々の琴線にふれる作品であると言えよう。
▲S-38E(1957年発売)は、往年の名機S-38シリーズの最終型機種
同シリーズは、’46年から仕様の変更を重ねて ’61年まで、15年間にわたり生産され続けるほど大ヒットした入門用受信機である。通常の工業製品は、後期になるほど改良・改善されるものだが、本シリーズは'46年に発売された最初の S-38 から徐々に機能の省略化とコストダウンが図られ、1957年に発売されたS-38Eが最終型となる。
このような場合、最終型はすでにユーザーのニーズは薄れ、メーカー側もモチベーションの下がった駄作となることも多いのだが、S-38シリーズのS-38Eに関して言えば、そのデザインは有終の美を飾るにふさわしい力作である。
S-38シリーズのアイデンティティとも言える、左右対象にレイアウトされた半円形状周波数インジケータが特長的なフロントパネルデザインは、1954年にS-38Cで終了。同年に発売されたS-38Dからは大幅なイメージチェンジが行なわれ、大型横行き形状の周波数インジケータがフロントパネルを占めるスタイルへ変更されたが、Raymond Loewyによるデザインのこだわりは消え、魅力の少ないシンプルなデザインとなった。
▲S-38シリーズの特長的な周波数インジケータは、S-38Dより変更
その後、シルバーグレーのキャビネットである通常のS-38Dに加え、落ち着いた木目を生かしたマホガニーのプリントを施したカントリー調のS-38DMを追加。さらにS-38DからBFOとSTANBAYスイッチ回路を省略し、短波用ラジオだと割り切った5R-10も発売された。
▲落ち着いた木目のS-38DM(左)とBFO/STANBAY機能を省た5R-10(右)
1950年代中頃になると、アマチュア無線や業務用受信機は、高機能な高周波増幅1段・中間周波増幅2段シングルスーパーの回路構成が標準的になっていた。
そして所詮、一般家庭で通常のラジオ放送を聴く5球スーパーをベースとしながら、効率的に短波の電波をキャッチすることを目指したS-38のマーケティング戦略は、 " 入門用短波受信機 " から、「手軽に短波放送を味わってみよう」と考える人々を対象とした " 短波用ラジオ " へシフトしてきたことが下記の広告からもうかがい知れる。
今回入手したS-38Eでは、回路構成は従来のS-38シリーズとほぼ同じながら、真空管は従来のGT/メタル管からすべてmt管へと変わり、風貌や操作性を含め完全に中・短波 " ラジオ " へ移行した。 例えばキャビネットのカラーリングもS-38E(シルバーグレー)、S-38EM(マホガニー)、S-38EB(ベージュ)と3種類のラインナップを揃え、リビングやベッドルームでのんびりと世界各地から届くラジオ放送の番組を楽しむBroadcasting Listenerたちに裾野を広げた“ チョット高級そうに見える短波ラジオ ”といったところだろうか。
▲S-38E(左上)、S-38EB(左下)、S-38EM(右上)のラインナップ
Hallicrafters S-38Eから2年遅れてNational Radio社から NC-60 "NC-Sixty Special " という横行きダイヤルのラジオ受信機が発売された。
どちらも同じようなコンセプトだが無骨なNC-60と比べ、Hallicrafters S-38Eの方は造形美も含め "大人の短波ラジオ" としての趣が醸し出され、断然スマートだ。
▲Hallicrafters S-38E(左)とNational Radio NC-60 "NC-Sixty Special " (右)
いずれにしても往年の名機 S38シリーズの最期を飾るにふさわしい魅惑的なデザインのS-38Eに引き寄せられ、ヤクオフに出品されていることを発見したボクは思わず入札ボタンを押してしまっていた・・・(〃'∇'〃)ゝエヘヘ
ようやく一息つきましたが、いつ何が起こるかわからない状況だけに、逆に開き直ってる店長です。
先日、「ケータイからでも書き込めるのですか?」との質問をいただきました。たぶん大丈夫だと思いますが、詳細は不明です。
店長にぃさんは、超忙しそうですね・・・w(゜O゜;)w
やっと更新されましたので、じっくり拝見しています。
今回のラジオのデザイン...マホガニーはカントリー調、シルバーとベージュは北欧調でおしゃれだと思います。このラジオから聞こえる音は店長にとって格別な味わいなんでしょうね♪
この大きさならリビングのピアノの上に置いてもカワイイと思いました。
綺麗な38Eで良かったですね
NC-60と比べると、構成・価格等が同じなのに作りが段違いに良いと思います
特にコイルの作りは38Eが断然勝っています
当然ながら感度・安定度も38Eのほうが良くなります
それでもNC-60にそれなりの人気があったのはなぜでしょう???
米国のブランド事情は解りませんが、「National」だから?
本日近くの小学校でシンガーソング・ライターが講師で、人権講演会がありました。
その中で、「親子丼はなぜ親子丼と言うでしょうか?」と言う質問に対して、小学校4年生ぐらいまでは「親子で一緒に食べるから」と答えるそうです。それ以上になると「材料の鶏肉と卵が親子関係だから」と答えるそうです。
果たして本当の親子でしょうか?
先生いわく、「卵を産んだ親鳥を殺して、親子丼を作らない限り、他人丼だと・・・」なるほど!!
だから、普通の親子丼は「鶏肉の卵とじ丼」だそうです。なんだか、講演用のネタのようですね。
ヒロ様
仰るとおり、多面体のキャビネットフロント部分が特長的なデザインの受信機です。今度バー・ラウンジでぜひピアノ演奏を聞かせてください(マジっすよ♪)
ラジオ親父様
5球スーパーなれどコイルやIFTといったパーツ類の機能を高めることで性能アップを追及した技術者の苦心をうかがい知る点も、アンティークラジオ受信機の魅力ですよね。Hallicraftersのデザインには他社には無いヨーロッパの香りに魅せられます。
かめ様
親子丼を使った講演ネタ・・・・ちょっと強引かもしれませんが、人間って元々罪深い生き物なんですね。
でも「罪」という『認識』があるのも人間故・・・・ということは『認識』を含めた価値観は人間らしさなんでしょうね。いつもかめ様の小ネタは勉強になります!