昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

昭和ラジオのゆくえ

2006-07-26 | 昭和三丁目の真空管ラジオ
 このブログ、「昭和三丁目の真空管ラジオカフェ」がYahooやGoogleの検索サイトに、どんなキーワードで引っかかるのか、試してみた。まず『昭和ラジオ』と入力したところ、検索画面のトップに表示されたタイトルは「昭和ラジオのゆくえ」というホームページだった。

              

『昭和』の真空管ラジオ絡みと思われる、この「昭和ラジオのゆくえ」にアクセスしたところ、

   アンテナのばしたら   
   聞こえてきた
   時代はめぐっても変わらぬうたがある
   昭和のはなひらく 
       
 奥深い言葉で綴られたトップページが表示された。
平成の世の中になり、はや18年・・・「歌は世につれ世は歌につれ」・・・元文化放送アナウンサー、名司会者・玉置宏氏の有名なセリフが思い浮かんでくる。
 
しばらくすると画面はステージの上でマイクに向かい、遠くを見つめギターの弾き語りをしている女性アーティストの写真に切り替わった。

             

 ん?・・・真空管やトランジスタラジオの姿はどこにも見あたりませんぜ。

 ライブ情報?・・・何なに? 
Profileのページを読むと、関西を中心にライブ活動を行なうミュージシャン・・・写真の女性の芸名が「昭和ラジオ」なのでした。
 近頃のミュージシャンの名前は、曲名なのかどっちなのか判らないことが多いのだが、「昭和ラジオ」っていう呼び名は、なかなかいかしてる。


 昭和ラジオ プロフィール ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
大阪生まれ。学生時代にフォークソング部へ入部したことをきっかけに作詞作曲をはじめる。スタイルはギターの弾き語り。現在、関西を中心にライブ活動を展開中。心斎橋クラブジャングルでは、毎月最終木曜日に自らが企画する「昭和ラジオナイト」なるアコースティックイベントを開催。猫をこよなく愛し、面倒をとにかく嫌う。ふたご座、B型、庚の水星霊合星人。

              
   心斎橋クラブジャングル アコースティックイベント「昭和ラジオナイト」   

昭和ラジオさん、毎月自らが企画する「昭和ラジオナイト」なるアコースティックイベントを毎週木曜日・心斎橋クラブジャングルで開催し、関西を中心に多くのファンの心を捉え活躍されている。また今年4月には、ファーストアルバム「あまやどり」をリリースされています。

               
   京都上京区 Coffee House拾得でのライブ後のショット   

 イケメン&ミーハー店長としては、この意外性と不思議な出会いを黙って見過ごすわけにはまいりません。今回の経緯(いきさつ)を不躾ながら昭和ラジオさんにメールしたところ、数日後、丁重なご返事をいただきました。

『 はじめまして!メールありがとうございます!弾き語りをしています大阪在住の女、昭和ラジオです。
昭和、とかラジオ、とか全く関係なく普通に 活動をしてるので、よく似た名前であるのを申し訳なく思ってしまいます。。が、こういう御縁もあるんですね。嬉しく思います。。   (中略)

☆CDの件ですが、御住所を教えていただければ郵送いたします。昭和、とはイメージがかなり違うと思いますがもしよければ・・・宜しくお願いします。』

(続く)

松下電器産業(National) AL-520

2006-07-24 | ナショナル 真空管ラジオ

              

 真空管ラジオの魅力のひとつに、バラエティにとんだ多彩なデザイン性があげられる。ブログでこれまでに紹介してきた40~50年前の真空ラジオは、いずれも特長あるデザインに魅了され、購入・修復したものだ。

 mt管トランスレス式ラジオの標準的なサイズは、横幅30~35cm、奥行15cm前後。そのため保管場所を取らず、取扱いが楽であり、補修パーツは手軽に入手できる。安っぽいプラスチック製キャビネットも洗浄し、丁寧に磨くことにより独特の光沢を放つ。
 昭和30年代の高度経済成長とともに量産された真空管ラジオは、機能や性能の向上を競うことなく、「意匠・デザイン」という一点のみに工夫を凝らし、消費者の心を掴むことが当時のマーケティングだった。そうした当時の時代背景が、21世紀のこんにちでは「時代の趣(おもむき)」として蘇える。

              

 ナショナル AL-520は、mt管トランスレス式ラジオのジャンルではきわめて珍しい木製合板キャビネットを、フロントには曲面加工を施したプラスチック製パネルを採用している。
上面は緩やかな曲線処理がなされボトムで絞り込まれた木製キャビネット、横幅29cm×高さ18cmの小型だがボリューム感のあるサイズ・バランス、大型丸窓タイプの周波数表示グリル、バンド切替スライドスイッチのノブ、アイボリーのフロント・パネル・・・・上品で温かい、ふくよかな優しさを醸しだす秀逸なデザインだ。
 木とプラスチックという異なるマテリアルを組み合わせることにより、それぞれの質感を融合し、新たな魅力を醸出させるデザイン手法には高度な造型センスも不可欠である。

 そんなAL-520をオークションで最初に見かけた半年前、入札価格はすでに¥10,000を超えており、最後には¥20,000近い価格で落札され、溜息をついたものである。その後、何度かオークションに出品されたAL-520を見かけたが、部品欠品のジャンク品でも¥10,000~¥20,000の値段で取引され、指をくわえて入札の成り行きを眺めるしかなかった。

              

 ところが先日、「中波のみ受信するが接触不良あり」とコメントのついたAL-520を発見。思わず入札したところ、他に競合入札の相手がいなかったため、開始価格のままあっさり手に入れることができた。こうした幸運に恵まれることもあるから、オークションは止められない♪

 メーカー:松下電器産業(NATIONAL)『AL-520』

 サイズ : 高さ(約18cm)×幅(約29cm)×奥行き(約14cm)

 受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

 使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)
          35C5(電力増幅)、35W4(整流)

 電気的出力 : 最大1.5W  電源 : 50~60c/s 100V  消費電力 : 23VA

              

 宅配便で届いた荷物を開梱し、いつものように外観の目視点検を行なった。木製(合板)キャビネットは、プラスチックと異なり、天然素材ならではの高い質感がある。天板に1箇所と脚に小傷がある以外は、塗装もしっかりしている。プラスチック製フロントパネルは数十年の間に付着した汚れ、擦り傷があるものの、パーツの欠品も無く全体的には美品の部類である。裏蓋を取外すと、年代相応の埃が溜まっているが、修理された形跡も無いようだ。
 
              

 慎重にキャビネットからシャーシを取外し、堆積した埃をエアーで除去しながら、ヒューズの有無、切れをチェック。AC電源プラグにテスターを当て、チェックしたところ、導通がない。輸送中に真空管とソケットが接触不良でもおこしたのかも知れないので、後でチェックしてみよう。

              

 シャーシー内部を目視点検したところ、ACコードにビニールテープを巻かれた箇所がある。
「接触不良はここかよ・・・」 ビニールテープを剥離してみると、一旦断裁したACコードをハンダ付けにて再接続し、平行に並ぶ二本の線の間にプラスチック片を挟み込んで絶縁し、ビニールテープを巻いているという、世にも恐ろしい処理が行なわれていた。少しでも電気の知識のある人は絶対に行なわない危険極まりない処理である。

              

 すぐACコードの交換を行なったわけだが、ACプラグはオリジナルを使うために分解したところ、プラグ内で銅線が見事に断裂していた。・・・これでは導通がないはずである。まったく・・・意味不明な恐怖のACコードを交換し、導通・内部抵抗値を計測すると問題なし。
ACプラグをコンセントに挿しこみ、勇気を出して電源を入れてみた。修復作業を何度経験しても、恐怖に身の縮まる瞬間である。

 真空管のヒーターが点灯し、少し遅れてパイロットランプも灯った。
しかしウンともスンとも音が鳴らない・・・ スピーカー周りを確認すると、アウトプットトランスからスピーカーへの接続コードのハンダ付けが外れている。OPTからスピーカーへの接続コード、パイロットランプへの配線の劣化の点検は、真空管ラジオ修復の定番チェック項目である。

              

これらの配線を交換し、再度電源スイッチ、ON!!

 しばらくの沈黙の後、浮き出すようにスピーカーから5球スーパー特有の雑音が聞こえ始めた。
この程度の整備でも、今まで鳴らなかったラジオから音の出る瞬間の何とも言えぬ昂揚感、この気持ちがたまらない。

              

 アンテナ線を延ばし、BC(中波)バンドのチューニングを行ってみる。選局ダイヤルを回すと、市内にある民放中継局と10km離れたNHK中継局(共に1kW)が入感する。
 BC(中波)/SW(短波)切替えスライドスイッチをSW(短波)の位置に切替えてみた。
49m、42m、31m、25mの各放送バンドで世界各国からの海外放送が強力に入感してくる。短波に関して言えば、今までレストアした真空管ラジオの中で最も感度のよい部類である。
そう言えば周波数表示グリルは、外径の透明部分に金色で大きくSW(短波)の周波数を表示しているのは、短波放送の受信性能をアピールするためなのかもしれない。

              

 木製キャビネットの前面に真鍮ネジで留めてあるプラスチック製フロントパネルを取外し、塗装が剥げないようマジックリン洗浄後、いつものようにコンパウンドとプラスチッククリーナーを使い丹念に研磨すると、艶のある表情へと見事に変身した。

              

 木製キャビネットの影響なのか、今まで修復した真空管ラジオの中でも音質もマイルドなきめの細かい、いい音がする。
机の片隅に置き、日常的に使いたくなる気分になってくる。

昭和レトロ心と男のロマンをくすぐる、逸品である。

「砂の祈り」 我那覇美奈

2006-07-13 | 昭和三丁目の真空管ラジオ
早川電機工業 (SHARP)「シャープ 5X-76」→ 続き
 先週、友人の事務所に遊びに行ったところ、
「いい感じのアルバムが手に入ったんだけど、聴く?」
「知ってる人が作った曲も入ってるから。」意味ありげに1枚のCDを手渡された。
 
我那覇美奈のニューアルバム、『風、光る』だ。

                

このCDをすべて聴き終えるために、愛車のスポーツワゴンを海辺の国道へと走らせた。
高音部分は少しハスキーな声だが、アイドル歌手のような「人に媚びた」歌ではなく、凛とした歌声、一本筋の通った「健気さ」を感じさせる声が心地よい。

彼女の歌に癒され気分で走っていると、ウクレレとスチールギターにのって、

「♪テレビニュースに映る砂の嵐ぃ~ 愛しい人の姿を探す・・・ ♪」    
  
と、聞き覚えのある曲が・・・。
シャープ5X-76をレストア後、短波のNHKワールド・ラジオ日本で、中東駐在員の奥さんからリクエストされ流れていた曲である。
普段は歌詞カードそんな見ない人なので、ぼーっと聴いているうち、歌詞にドキっとしてもう一度聴き直した。

 う~ん・・・ ん? ちょっと待て・・・これって浜省節に似てないかい!?
歌詞カードを見ると、作詞:浜田省吾・春嵐 作曲:浜田省吾!! 高校生の頃から浜田省吾を聴き始め、10代、20代、30代・・・ずっと浜省の歌とともに歩んできた細胞のどこかに浜省節が刷り込まれてるんでしょうね。見事に反応しちゃいました。
調べてみるとこの歌、2004年1月にサウンド・プロデューサー水谷公生、作家・春嵐(しゅんらん)と浜田省吾の3名でスタートさせた音楽制作チームFairlifeとのコラボーレートバージョンだった。

          
             水谷公生・春嵐・浜田省吾によるFairlife    

 「砂の祈り」は、砂漠が広がる紛争地域に赴いている恋人を想う歌である。
砂の嵐の向こうで人々が大切に思う人と共に平和に暮らしていたこと、大切な人を失った人が多くいること、その人たちのために任務を遂行している人もいる。
そんな人々への思いを込めた「砂の祈り」は、70年代後半からのアコースティックなハワイアン・センスの穏やかなものだけに、彼女の伸びやか唄としっとりとマッチして、余計に詞の重さが胸に来る1曲だった。


というわけで、なんだかんだいいながら聴いてます(笑)

 彼女の歌声ってものすごく迫力あるわけでもないし、ものすごく美声ってわけでもないのに、結局聴き込んでいる。
この感覚はなんなんでしょうね。
沖縄のおおらかなゆったりした空気がこのアルバムに流れてる、そう感じます。

癒されたいと思う方は是非。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 サマワから自衛隊の撤収がようやく決まった。
日米同盟、国際協調の名のもとに、理不尽とも言えるイラク戦争の戦後復興に尽力し、目に見えぬ恐怖と任務に耐えてきた自衛官が家族、恋人の元へ戻ってくる。

 余談ではあるが、我那覇美奈ちゃん、俺が4年間友達付き合いしていた女子大生・友紀のボーイッシュな面影と重なる。169cmの長身だが針金のように細い身体なのに、大学のバレー部ではレフトを任されていた。部屋には当時のアイドルグループSPEEDと浜田省吾のCD、そして彼女の鼻歌が流れていた。
                

彼女が19才になるひと月前、初めての経験に肩を震わせた彼女と、二人で朝を迎えた。彼女は卒業後郷里の長崎に帰り、理学療法士を続けていたが、今は自衛官と結婚し、お母さんになっていると噂に聞いている。

              
無事に帰還され、家族と抱き合う自衛官の皆様、本当にお疲れ様でした。    
  
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  さぁ、想い出にふけってる場合じゃないぞ。

  オイラは夜の街の復興支援に、出撃じゃ~!    
 

東京芝浦電気(TOSHIBA) かなりやLS 5AD-128 

2006-07-07 | 東芝 かなりやシリーズ
 昭和30年前後のラジオには、中波による通常のAMラジオのみが受信できるタイプと、中波/短波の2バンドを切替えて聞くことのできるタイプの2種類のラジオがある。かなりやシリーズの中で、短波放送の受信に重点を置いて設計され、昭和32年(1957年)発売された機種が、かなりやLSである。

          

 ラジオ放送は、周波数帯と電波形式により分類され、①AM放送(中波/MW)、②短波放送(短波/SW)、③FM放送(超短波/VHF)の3種類の放送が行なわれている。短波放送は、短波(3MHz~30MHz)の周波数特性である電離層反射により、電波が遠方まで到達するため、適切な周波数を選べば、日本全国あるいは全世界へ向けて『情報』を届けることができる。

 昭和29年(1954年)8月末、日本で唯一の民放短波放送局として日本短波放送(通称NSB)は開局した。リアルタイムで全国へ情報を配信するニーズが日本短波放送の原点であり、平日は株式市況、週末は中央競馬の実況中継を中心に番組は編成され、夕刻以降は「医学講座」「百万人の英語」「大学受験講座」「慶応義塾の時間(慶応大学通信制の支援番組)」など全国に散らばるリスナーを対象とした独自の番組を提供していた。

          

 当時のかなりやLSのパンフレットには、「世界の電波をたやすくキャッチする”かなりやLS”」とのキャッチコピーに続き、「短波が快適に受信できる4特長」として

1.短波受信用として特に高感度に設計してあります
2.針が繊細に動く大型バーニヤダイヤルと大型つまみ付で短波がたやすくキャッチできます
3.高能率スピーカーと新型真空管30A5付で、小型HiFi的音響効果
4.美しいグリーンオリーブ色を基調とした優雅な意匠により、ゆったりと落ち着いた気分で放送が聞けます

と大袈裟に謳ったコピーが続き、高度経済成長を迎えた当時の『時代の勢い』を感じさせてくれる。
 しかし基本設計は、通常のmt管5球スーパーと変わらず、バンド切替えロータリースイッチに直付けされたコイルあたりに「短波受信用として特に高感度に設計」された意図はうかがえるのだが・・・・利得損失軽減を目論と実際の効果の程は、甚だ疑問である。

          

 外観は四角いキャビネットの四隅にラウンド処理を施すとともに、中央にふくらみを持たせたヴォリューム感のあるフォルムと、正面を黒(メーカーはダークグリーンと呼んでるが・・・)/ホワイトのツートンカラー、さらに横スリットを入れた形成処理を行ない精悍さを演出している。後にパールホワイトのキャビネットも発売し、こちらはエレガントな印象である。かなりやLS 5AD-128が発売された4年後の昭和36年(1961年)に、同一機種名のかなりやLS 5YC-501が発売されているが、その関連性は別途検証する。

          

 メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやLS 5AD-128』

 サイズ : 高さ(約16.5cm)×幅(約34cm)×奥行き(約14cm)

 受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

 使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BD6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)

 人気の「かなりやシリーズ」はジャンク品であってもオークションでは高値で取引されることが多い。しかしこの かなりやLS、オークションの出品者のコメントには「知り合いに確認したところ、少し調整すれば動くようです」と書かれてあったが、状態は不明。結局、居酒屋1回分の値段で、怪しさ気な かなりやLSをすんなり手に入れることができた。

          

 宅配便で届いた荷物を開梱し、いつものように外観の目視点検から始めた。プラスチック製キャビネットは数十年の間に付着した汚れ、黄ばみ、擦り傷があるものの、パーツの欠品も無く外観は中程度の部類である。
しかし・・・裏蓋を取外すと、年代相応の埃が溜まっており、外れていた周波数表示用指針がポロリっと出てきた。ヒューズは取外され、真空管もマツダ(東芝製)のものからNEC製に取替えられている。OPTへの結線も外され、怪しさが増幅する。

          

 キャビネットからシャーシーを取外してみると、案の定、バリコン・プーリーの糸掛が外れ、テンション・スプリングも無い。トランスレス・ラジオには珍しく、パイロットランプが2個付いており、バンド切り替えと連動して点灯する仕組みであるが、ゴムブッシュは劣化しており、交換を要する。当時のラジオをレストアする場合、これらの不具合は想定内なのだが・・・・。ただ何箇所か新たにハンダ付けした様子も見受けられ、前オーナーが修復を途中止めして投げ出したようなラジオはとてもボクの手に負えそうにない。
以前ご紹介したタイマーラジオかなりやPSなど、重症のラジオを思い出し、眩暈(めまい)がしてきた・・・。

          

 短波受信用として特に高感度に設計してあるというこのラジオ、当時のパンフレットに書かれていたように、、「世界の電波をたやすくキャッチする」のだろうか・・・? 「高能率スピーカーと新型真空管30A5付で、小型HiFi的音響効果に包まれながら、ゆったりと落ち着いた気分で放送が聞ける」のだろうか・・・??

          

 パンフレットの誇大広告気味のコピーを笑いのネタにしようとした目論見は外れ、凹んだ気分に追い討ちをかける。とりあえずシャーシーをエア吹き清掃後、重症と思われるかなりやLSを眺めながら、試案に暮れストレスが限界値にまで高まる、トホホな夜である。

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 日本短波放送は昭和53年(1978年)11月に局名を「ラジオたんぱ」に変更。
平成15年(2003年)社名を(株)日本短波放送から(株)日経ラジオ社に、続いて翌平成16年(2004年)4月には局名を「ラジオNIKKEI」へと変更した。

              
             
 日本経済新聞社の幅広く、有益な人材・コンテンツをグループ唯一のラジオ局として有効に活用・利用することで、これまでのリスナーからの期待に十二分に応えるとともに、新たなリスナーを獲得する制作体制整備とコンテンツ開発力に弾みをつけ新時代に備えていくそうである。

早川電機工業 (SHARP)「シャープ 5X-76」

2006-07-02 | シャープ 真空管ラジオ

              

 真空管ラジオのコレクション&レストアの趣味で、40~50年前のラジオの『デザインを堪能する』という楽しみが、大きなウェートを占める。このブログも自ずと技術的な内容より、ラジオのデザインにまつわるコメントが多くなってしまう。
インターネットオークションで何気にウインド・ショッピング(ディスプレイ・ショッピング?)を楽しんでいて、「おぉ、いい感じのデザインじゃん♪」とビビッとくると、ついつい入札してしまう。
店員ユーをはじめとする友人・知人は、「店長、何台買えば気が済むんですか!」とラジオ病の進行具合を心配してくれるが、自分の意識とは無関係に入札ボタンを押してしまうのだから、病的趣味に手の施しようが無い。

 シャープ5X-76は、昭和31年(1956年)頃に製造された円形周波数表示グリルを採用したmT管トランスレス式ラジオである。機能的に差異のないmT管5球スーパーでは、各メーカーがキャビネット、スピーカーグリル、周波数表示パネルの形状、カラーリングといったデザインに工夫を凝らすことで、消費者に訴求している。とりわけ円形周波数表示グリルを持つ機種はコレクターの間では人気が高い。

              

 このシャープ 5X-76もオークションに出品されると多くの入札者から人気を集め、価格が高騰するため、予算的に制限のあるボクはいつも諦めていたのだが、今回はやっと予算内で落札することができた。

 メーカー:早川電機工業(SHARP)『シャープラジオ 5X-76』

 サイズ : 高さ(約15cm)×幅(約25.5cm)×奥行き(約10.5cm)

 受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

 使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BD6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、35C5(電力増幅)、35W4(整流)

 電気的出力 : 最大1W  電源 : 50~60c/s 100V  消費電力 : 23VA

              

 宅配便で届いた荷物を開梱し、いつものように外観の目視点検から始めた。プラスチック製キャビネットは数十年の間に付着した汚れ、黄ばみ、擦り傷があるものの、パーツの欠品も無く全体的には美品の部類である。
裏蓋を取外すと、年代相応の埃が溜まっているが、修理された形跡は無い。

              

 パイロットランプのゴムブッシュが見事なまでに溶解し、パイロットランプ自体を覆ってしまっており、台座ごと新品に交換しなければ危険である。真空管を取外して、OA機器用エアクリーナーでシャーシ表面の埃を吹き飛ばし、ウエットティッシュを使いキレイに清掃した。

              

 シャーシー内部は部品が詰まって配線されているものの、修理した痕跡も無い。ブロックコンデンサーの状態を目視点検したが、外観は問題なさそうだ。ACプラグにテスターを当て、導通確認と内部抵抗値を測定。SPコイル、OPTの断線もなくOKだ。
ペーパーコンデンサーは、フィルムコンデンサーと交換することにして、事故が起こらないことを願いながら思い切って電源を入れてみた。

 真空管は灯るが、なかなか音が聞こえてこない・・・・不安がよぎる。やがて5球スーパー独特の小さなハム音が聞こえてきた。選局ダイヤルを回すと、市内にある民放中継局と10km離れたNHK中継局(共に1kW)、さらに弱いながらも隣接県の民放局まで入感する。
BC(中波)/SW(短波)切替えスライドスイッチをSW(短波)の位置にしたところ、何も聴こえてこない。スライドスイッチの接触不良が考えられるため、エレクトロニクス・クリーナーを吹きかけながら何度かカチカチとスライドを繰り返すと短波特有の空電ノイズが聴こえはじめた。

              
 
 キャビネットはいつもどおり、希釈したマジックリンを使い、塗装が剥げないよう気をつけながら洗浄後、コンパウンドとプラスチック・クリーナーで磨くと、新品の輝きをとり戻した。
 エッジにラウンド処理を施した横幅255mm×高さ150mmの一体形成プラスチック製キャビネットは、mT管トランスレス式ラジオの中では比較的小型の部類であり、キュートなデザインだ☆
正面右側に配置された円形周波数表示グリル(直径100mm)が目を引く。中央に描かれているヨーロッパ家紋調のマークの中に、白抜きで小さく描かれている電波(稲妻?)のシンボルはご愛嬌。

              

 レストア完了後、テストを兼ねて短波の放送を聴いてみた。
5球スーパーは、回路設計上、アンテナを接続しなければ感度が上がらない。シャーシーから延びるアンテナ線を窓枠アンテナに接続してみると、中国、台湾、朝鮮半島の国際放送に混じってハワイアンっぽいリズミカルな音楽が流れてきた。

「♪テレビニュースに映る砂の嵐ぃ~ 愛しい人の姿を探す・・・ ♪」    
  
 グアムのKTWR・・・?  いや、NHKの海外放送であるワールド・ラジオ日本だ。
NHKは、世界に向けて短波で放送しているラジオ国際放送「NHKワールド・ラジオ日本」を1日65時間、日本語と英語を含む22の言語で世界中に向けて放送を行なっている。

彼女の歌に続き、中東に駐在する商社マンの奥さんからのリクエスト・メールが紹介されていたのだが、その時はさして気にも留めず、聞き流していたのだが・・・。

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